ホンモノでホンキなんだよ
ゲーム終了まであと5分。
サーベルをかざす僕の隣では志成が音響機器のケーブルで全員の手首と足首を縛り終えたところだった。さっき監視カメラをペイント弾で使用不能にした男も、単にエアガンの射撃が上手い、ただの役員だった。因みに彼の上下グレーのスウェットは、吸血鬼ハンターのクールな主人公のつもりらしい。
「マシンガン、出して」
僕が言うと、皆、うつむく。
「知ってるんだよ。300万だってことも」
博士は明らかに動揺しているが、口を開かない。志成が鞘から刀をすっと抜き出し、博士の白衣をめくってお尻の辺りに突き立てた。
「手や足はちょっと怖いけど、お尻なら思い切って刺せそう」
「やめてくれ! 近田が持ってるんだよ!」
「近田が? だって、市長と会見するってのにそんなもん持ってる訳ないだろ?」
「近田はな、ホンモノでホンキなんだよ。本物の銃を手にして本気で撃つ覚悟があるのはうちじゃあいつだけだ。歪んでるけど、理想に純粋なのもあいつだけだ。ホンキで選民思想を理想にしてるんだよ」
「選民思想?」
「オンラインゲームを通じて愚民を淘汰するんだよ。課金だけむしり取ってな。それで、世の優秀な人財にどんどん投資する。まあ、俺らは自分の社会的成功が目的だけどな」
「それが本音だろうと分かり切ってたけど。でもホントに撃ったら Natural Ageもそれで終わりだろう」
「本気で撃つ覚悟があるから脅しが有効なんだよ。その巫女さんみたいにな。今までのコンペティターなら全員近田のホンキ見せられたら脅しに屈してきた。アメリカの議員やマフィアでさえな。なのにお前らは何なんだよ。強盗送り込んで殺されそうになっても怯むどころか反抗してきやがるしよ」
「ところであんたは近田がホントに人を撃ったの、見たことあるのか?」
「・・・ある」
「え!? その相手はどうなった」
「死んだ」
「ホントか、それ?」
「ホントだよ。だから俺達は近田から逃げられないんだよ」
「まずいよ、志成・・・」




