ゲームスタート
参加者のパターンは大きく2つに分かれる。学園ものや明るめのファンタジーなど、外見戦闘要素の低い部類とダークファンタジーやミリタリーものの外見戦闘要素の高い部類。僕は後者だけれども、志成はまあ前者だろうか。
僕も志成もできるだけ身軽に、ということで拳銃を1丁ずつだけ借りた。他の参加者を見てるとライフルやマシンガンを選んでいる人が多い。一応、ゴーグルを着ける。けれども、本物のマシンガン相手じゃ意味無いな、とぼんやりと考えた。山田さんの言う”失明”という言葉がよりリアリティを増す。反してみんなワイワイガヤガヤという感じで、あくまでもお祭り気分だ。
「志成、なんかシュール」
僕にそう言われて彼女自身も感じたのだろう。巫女さん姿で、きゅっ、と両手で拳銃を構えて見せた。
僕と志成は階段脇のポジションだった。
「では、カウントダウンを行います。3、2、1、スタート!」
館内放送の合図と共に、あちこちで、タタタ、とか、タン、タン、とかいう音がする。
女の子の、きゃー、という悲鳴も聞こえる。だが、わーきゃー言う、のどかさが大半で、笑い声も結構聞こえる。
「大志、危ない!」
そう言って、中腰のまま志成は、タン、タン、タン、と僕の背後に3発撃った。廊下の向こうで、アームドスーツを着込んだ男のプレイヤーが1人、
「うわー!」
というオーバーアクションで倒れる。そのまま起き上がり、志成ににこにこと手を振って1階へ降りて行った。
「かわいそうに、あの人、一瞬でゲームオーバーになったよ」
「だって、近づいてきたらあの人もわたしたちに巻き込まれちゃうと思ったから」
「確かに」
そう言っていると、また廊下の向こうから誰か近づいてきた。志成はまた姿勢を低くして銃を構えた。
「志成、ダメだ!」
僕は志成の腕をひっつかんで階段の陰に身を隠した。
何のコスプレだかよく分からない、グレーのスウェット上下の男は全力疾走して来る。途中で急ブレーキをかけ、コンクリートの柱の陰から銃口を上に向けた。
「何してるんだ?」
タン、タン、と2発男は撃った。その弾痕を追うと、監視カメラのカバーにペイント弾がべっとりついている。
「まずい!」
男は監視カメラを使用不能にすると、ゲームのルールから外れる攻撃を仕掛けようとした。ジャキッと一振りして特殊警棒を伸ばした。
ペイント弾なんかで応戦できる訳がない。1階へ一旦駆け下りようとすると、防火扉ががしゃん、と締まるところだった。3階へ行くしかない。
やはり3階は僕ら専用スペースだったってことか。
階段を駆け上がり、”立ち入り禁止”の看板を跨ぎ越えた。登り切ると、カーペットが敷かれたその向こうに大会議室の大きな扉があった。
「僕がまず行く。志成は後から入って来て」
こくっ、と巫女姿の志成が頷いた。




