18年で一番濃密
2月の1か月間はおそらく18年の人生の中で一番密度の濃いものになるだろう。僕も志成も忙殺されていた。
家事、アルバイト、トレーニング、ボクシングジムでの特訓、志成は神社の掃除、除雪。もう1つ、僕に課題が与えられた。
「大志、連峰の麓に一の宮があるじゃろう」
「うん、気澄神社のことでしょ」
「毎朝、参拝せえ」
「毎朝? でももう雪も積もってるから、自転車で行くわけにもいかないし」
「走って行け」
「・・・片道10kmあるよ」
「往復20kmじゃろ。大志なら訳なかろう」
「そりゃあ距離としては走れるけど、路面も朝だと凍ってるだろうし」
「1か月走り切れば、必ず運を頂ける」
「分かった」
東京の向井さんからも情報がどんどん入って来る。
「サバゲーの募集、定員100人の所に2000人の応募があって、抽選だってね。地方のイベントじゃあり得ないよ。大志くんたちは?」
「市民優先枠ってのが50人分あって。僕も志成もそれでエントリーできました」
「Natural Ageに法人顧客向けのページがあってね。そこにイベントの受注仕様が載ってるんだけど、マジックだね」
「え?」
「国際会議場って広いんだね。1階のエスカレーターもイベント参加者が戦略的に使えるように、START、STOP、逆走ボタンつけるって」
「危なくないかなあ」
「多分、市街でのテロ戦をイメージしてるんだろうね。2階は部屋がいくつもあるね。あ・・・でも、3階は使用しないことになってるな」
「大会議室で半分ぶち抜きですから。広すぎて使いづらいんでしょ」
「俺と寺田もイベント行くからね」
「ありがとうございます」
「いやいや。本業の方のPRだよ。ブース出すから」
僕はいつも向井さんがゲーム会社の社長だってことを忘れてしまう。




