やっぱり殺されちゃったかなあ・・・
季節は冬へ移ろうとしている。
嶋の立場も考えて、CEOからの連絡は一週間の猶予をつけてあげておいた。その間、僕と志成は、バイト、トレーニング、家事、勉強と、淡々と日々を過ごす。
「嶋さん、やっぱり殺されちゃったかなあ・・・」
期日の朝、僕が冗談を言うと、志成が真顔で否定する。
「そんな事ないよ! 大丈夫だって言ってたし・・・」
その日のバイトが終わり、家に着いたところで近田忠の父親から着信があった。ばあちゃんも志成も在宅で、3人して電話に顔を近付ける。
「あ、近田ですが、忠から電話がありました。来週、うちに帰省すると言ってます」
「本当ですか?」
「はい。東京で1泊してからこちらに来ると。どうされますか?」
「僕たちも当日お邪魔していいですか?」
「もちろんです。まずは私が本人を諭してみますが、今更素直に親の言うことをきくとも思えません。どうぞ皆さんも一緒に息子に話して聞かせてやってください」
「分かりました」
電話を切るとすぐにばあちゃんが首尾を訊いてきた。
「来るか?」
「うん。来週だって。まずはお父さんがCEOを諭してみるって」
「・・・まだ息子がまともな世界におると思いたいんじゃろうな」
嶋のことは近田忠の父親には話していない。その方が自然な形で息子に対応できると思ったからだ。当日、僕と志成の2人で近田家で待機することにした。




