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ならぬかんにんするのこそ・・・
バイトの関係で、学祭は最終日の日曜午後に行くことになった。
一緒に並んで歩いてるのに、志成はどうしても遅れがちになる。気持ちは、わかる。
「ほら、志成。学祭終わっちゃうよ?」
「うん。ごめん」
声を掛けると、たたっ、と歩き、しばらくするとスピードが落ちる。
「志成。別に制服じゃなくて私服なんだし、そんなに目立たないよ。なんなら、樹と田中さんの顔だけ見て帰るんでもいいから」
「うん、わかった・・・」
気が付くと志成は僕のリュックの端っこを指でつまんで歩いている。かわいそうに。余程不安なんだろう。2人に会ったら早々に退散しよう。
「あれ? リバじゃない?」
げ、誰だ? ちらっと横目で見ると5組の女子が3人固まってる。幸いなことに広田さんはいない。
「キモ!」
「あーあ。何しに来たんだよ」
「あいつ、先代だっけ? どーせリバとやりまくってんだろ」
くそっ。全部聞こえるように言ってやがる。
志成は完全に俯いてしまった。
「ならぬかんにんするのこそ・・・」
志成のつぶやきがかろうじて僕の怒りを抑えた。




