悼の章-2
到着した警察に様々なことを訊かれたが、ルカは混乱して答えられず、その分トウコがしっかり受け答えをしてくれた。普段のあのおどおど感からは想像もできないほどにはきはきとしていた。
警察の取り調べが終わり、ルカたちは家へ帰された。
「おばあさんのところに、行きましょう」
トウコが提案し、ルカは小さく頷いた。
もう夜、外は暗い。
「こんばんは」
トウコが呼び鈴を押し、中に声をかけるとすぐに加賀美が出てきた。
「あらあら、もう暗いのに、二人共どうしたの? まずあがらいあがらい」
部屋に上がり、ぱたんと戸を閉めると途端にトウコがへたり込む。
「き、ききき、緊張、したよぉぉぉ……」
ある意味いつものトウコだった。
肩は小刻みに震え、顔は泣きそうなくらいにくしゃりと歪んでいた。
「と、トウコさん、大丈夫ですか?」
その様子にルカは落ち着きを取り戻す。そこではっとした。トウコは虚勢を張っていたのだ。ルカが混乱していたから。
「ごめんなさい」
「? なんで?」
ルカの謝罪にトウコはきょとんとする。
ルカは咄嗟に答えられず、言葉に詰まった。すると脇から加賀美がルカに微笑む。
「ルカちゃん、こういうときはごめんなさいでねくて、ありがとうって言うんだよ」
加賀美の指摘に、ルカははっとし……何故か涙を浮かべた。トウコが更に混乱し、あわあわとなる。
「ふ、双見さんっ? わわわ、私何か粗相を、あわわ、泣かないでください」
「トウコさん」
「なんですか? 双見さん」
「トウコさん」
「はい、双見さん」
「トウコ、さん」
「どうしました? 双見さん」
「ト・ウ・コ・さ・ん」
「はい」
「ト・ウ・コさん」
「えと……」
「トウコさん」
「あっ……はい、ルカさん」
ぎこちなく微笑ましい二人のやりとりに加賀美はちょっと噴くのだった。




