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逢の章-6
そのときであった。
「からすなぜなくの」
聞き覚えのある女性の歌声。
え、とルカが笑顔を凍らせ、目を開けると、目の前ではミズキが笑顔で頭を撫でていた。
気のせいか、と安心して息を吐くが。
どさり。
「…………え?」
ミズキの体が後ろに倒れた。
おかしい。まだ右手が頭を撫でている感触があるのに。そう思って頭に手を伸ばすと、ミズキの手はやはりそこにあった。それを確認し、ほっと息を吐こうとして気づく。
倒れたミズキには右腕がない。
瞬間、触れた手がずるりと落ちる。
べちゃり。
落ちた右腕が赤い飛沫を飛ばす。その雫がルカにもかかった。
「あ……」
口に当てようとした手が何故か濡れていることにも気づく。
赤く、だらだらと。
「あ、あああああああああああああああああああっ!!」
ルカの叫びがその場に轟いた。




