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七つの子  作者: 九JACK
録の章
13/73

勒の章-2

 生染小学校で男子児童が不審死。

 今朝未明、比灘町の生染小学校で男子児童が遺体で発見されるという事件がありました。発見者はその児童といつも仲良くしている子どもたちとのことです。

 この事件は遺体の内臓が全て抜き取られていたり、昇降口の上から落ちてきたりなど不可解な点が多く存在します。

 何より不可解なのは亡くなった男子児童は前日まで拒食症のために病院に入院していたということです。

 医師の話によれば、とても動けるような状態ではなく、自力で病院から抜け出した可能性はないということですが、だとしたら病院に何者かの不審者が立ち入り、男子児童を連れ去ったということになります。そうなりますと、病院側のセキュリティにも問題があったのではないかと騒がれていますが……


 ピッ

 シランはテレビのチャンネルを変えた。しかしどこに変えても同じニュースしかやっておらず、溜め息と共に電源を切り、リモコンを放る。

 シオンの事件はあまりにもあまりなニュースであるため、全国ネットで流されているらしい。もっと別なニュースはないのかとザッピングしたが、結果は言うまでもない。

「ルカ、大丈夫?」

 シランはソファでバスタオルにくるまって震えているルカに振り向く。学校が臨時休校となり、家に保護者のいないルカをシランが自宅に招いたのだ。

 ルカは血まみれの服を着替え、ついでにシャワーを浴びた。今着ているのはシランの義理の姉のお古である。

 シランがテレビを消したことで安心したのか、微かにその表情が和らぐ。ルカは頷いた。

「もう、大丈夫。ごめんね。なんか突然おうちにお邪魔しちゃって」

「いいよ。なんか母さん喜んでるし」

 シランの義姉、つまり市瀬夫妻の実子は何年も前に自立してしまったそうだ。市瀬夫妻は二人で飲食店を営んでおり、忙しさのため、一人娘にかまってやれなかったという後悔から、シランを引き取ったのだという。

 それはいいとして。

 ルカもシランも会話が続かない。お互い、朝のことを思い出したくないし、相手にも思い出させたくないため、口を開かない。

 いっそ、学校がやってくれていれば、何も考えずに過ごせただろうに、と思うが。

 孤児院でお兄さんお姉さんだったシランとルカは宿題などとうの昔に終わらせてしまっている。孤児院にいた頃は他の子どもたちと遊ぶのが日課だったが、今はそうもいかない。

 一部のニュースでは"通り魔"が犯人であるという可能性を示唆し、子どもはもちろん大人も出歩くのは控えるべき、などと言っている。

 シランは一人でいつまででも考え事ができる集中力の持ち主だが、ルカは異常聴覚のために、何かに長時間集中することはできない。故に一人遊びなどしたことがなかった。

 シランもこれといった趣味はなく、考え事──考えるだけなので、遊び道具などは一切ない。

 けれどやはり考えることはできるので……考えた。

「気分転換に、図書館に行こうか」




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