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第③話 狩り狩られ



 ペンドラゴンのモンスターに決まった属性は無い。

 無いが、大まかに分けると打撃耐性だとか魔法耐性だとかを持っている。

 パーティーの基本としては壁役、アタッカー、ヒーラー、攻撃魔法の4種を敵に合わせて構成していく。

 その構成も連続でザコモンスの狩が出来る様にバランスを取っているだけに過ぎず。レアモンスや、何組ものパーティーと組むボスモンス戦等はまた別の話しである。


――

――「今日の狩場はこの辺りでいいかしらね」


 振り返り、背中の大剣と盾を構えるポコアポコ。

 その仕草に合わせ、俺のピッさんも振り返り。


「では壁、ポコアポコさん。アタッカー、サムシンさんとナンシーさん。援護と回復は私と犬の使いさんで回して行きますんで。武蔵さんはさらに後方で観戦しておいて下さいね」


 よっしゃーと其々が気合を居れ数百メートル離れた小高い丘の上でたむろしているモンスターの一団へ向き直る。

 今回討伐のモンスはレベル80前後の獣人系ミノタウロス。

 魔法の通りは良いが、打撃が通り辛いのが難点なモンスであり、連続狩のレベル上げには適さないのだ。


 だがこのモンスを選んだ理由が、ポコアポコさんのスキル試しと言うならそれも納得である。敵の打撃による単体攻撃は激しくまた範囲攻撃も稀に行ってくるとなれば、ナイト職冥利に尽きるだろう。

 先頭を歩くポコさんにモンスの一匹が気が付くと、けたたましい咆哮で威嚇をする。

 そして手に持つ棍棒を振り上げ全速で丘を駆け下りてきた。

 その姿は口からは涎を垂らし棍棒は何かの動物を叩き潰したのか肉片がこびり付いている。


――「……だ、大迫力ですねこれ」


 ゲームの世界とは言え、その姿をリアルで見る大迫力は映画なんか足元に及ばない臨場感で溢れかえり、アドレナリンも相当出ていると感じている。


 犬の使いさんは商人専用武器のボウガンを構えながら。


「ほんとこんな恐ろしいモンスに、例え異世界に飛ばされたとは言え、リアルで最初に向かって行ったプレーヤーに頭が上がらないよ」


 それはもっともな話しだ。

 今はそれらモンスターと戦えると知っているから立ち向かえる事が出来るが。

 この世界に飛ばされスライムなんかとは違う、本気のモンスへ立ち向かったプレーヤーが居たとすればどんな奴なのかは気になると言うものだ。


 その時。


「パーフェクトシールド!!」


 ポコさんのスキルが発動する。効果時間は1分でリキャスト時間は3分。

 周囲の仲間のダメージを一身に受けつつ、自身の耐久度も40%増しと言う、ナイト屈指のスキルだ。


「おぉ~やってるやってる」


 結局HP150まんまの俺には観戦にてっする事しか出来ず、ナンシーが言った様に飛んできた瓦礫で死んでしまう程の弱小ぶりである。


「犬の使いさん、そろそろサブ職のヒーラー準備した方がいいかもです」


「そう?」


「ええ、多分周りのアタッカーさんがポコさんの効果時間とリキャスト時間理解してないかもです」


 そう言っている間にポコさんのスキル効果は切れ、サムシンさんとナンシーさんのHPがみるみる削られていく。


「ヒール!」


 犬の使いさんより早く俺のピッさんのヒールが発動する。


「流石元虹出身者。良く理解されてますね」


 俺も知ってたと言わんばかりのヒールを放つ俺さん。


「いえ、出過ぎた真似ですみません」


「全然、褒めたつもりなんですが。どうも私は誤解されやすい体質な様で」


 まぁイケ面だからね……と訳のわからぬ言い訳を脳内でしつつ観戦を続けていたが。状況は一変する。


「ぐはっ!」


 横から飛んできた弓矢が犬の使いさんの胸を貫いていたのだ。


「な”」


 声も出せぬまま2本3本と次々犬さんを刺し貫いていく矢。


「全員退却!!」


 状況の変化に気付いた俺が大声で叫ぶと、漸く前衛が異変に気付き、戦闘を継続しながら後退を始める。


 そんな中、もう一人冷静なギルメンが一人。


「犬さんへのヒールはもう無駄でしょう。彼にはこのままホームポイントへ帰ってもらいます」


「それしか無いようですね。犬さんはもう息をしていないようですし」


 そう俺のピッさんへ応えると、矢の飛んできた方角へ視線を向ける。

 すると俺さんが。


「あれは……プレーヤーキラーギルド……深淵の騎士猟団!」


 例の小耳に挟んでいた、プレーヤーキラー集団のお出ましであった。


「ポコさん! PK集団です! 逃げますよ! ――グハッ!」


「俺のピッさん!」


 見れば重力魔法で彼の背中はえびぞりに折れ、地面に押し潰されていく最中だった……


「クッソ! こんな気持ちの悪いもん見せやがってあいつら」


 そんな怒りも、次の悲鳴で全身が冷気で凍りつく。



――「ギャーーーー」



 その声は後衛の回復を失った前衛の三人がバキボキとミノタウロスの鋭い牙で全身を噛み砕かれて行く悲鳴だった。


「おえ”-------っ」


 その光景を目の当たりに、胃の中を全て地面に撒き散らす。

 ゲームの中とはいえ、今目にしている残酷な光景は完璧なリアルなのだ。

 そんな一部始終を、モンス達と反対の丘の上でこちらを伺いながら数人がお腹を抱えわらっていた。


「けへへへへっ。お頭、あいつゲロ吐いてますぜ? ダセーな全く」


「ほんとダッセ。弱いくせに遊んでんなよな」


「あははははっ弱すぎっしょあいつら」


 その中央に立つ獣人系プレーヤーが俺を指差し。


「さぁ、ミノタウロスが先にアレを狩るか。俺たちが先か勝負だな」


 俺の逃げ場を無くすそんな無茶苦茶な集団イジメが始まろうとしてた。

 ……絶体絶命ってこの事か。HP150でどうしろと? ……はぁ、大人しく殺されてギルメンの待つホームポイントにでも帰るか。と、諦めたのだが。


――あれ? 俺のホームポントってどこ! まて、ここでこのまま死んだら俺どこに飛ばされてしまうんだ。


 その焦りは本能だったのかもしれない。


 ここに居る他の人々は現世よりなにかしらの事情でこの世界に閉じ込められた住人。

 対する武蔵は一度リアルで死んでメディアに飛ばされた身の上。

 もしここで殺されれば本当に死が訪れてしまっていただろう。


「ちょ、なんかないの! フライシューズでもなんでもいい!」


 ステータス表示からギルドアイテムBOXを開こうとすれど、別ゲームのステータス表示なので開くわけもなく……途方に暮れる。



――ピコン。



 その時、自分のステータス表示の一番下に文字が流れ出す。


――獲得したアイテムの開封期間が迫っております。お早く開封下さい――


 武蔵の開くアイテムBOXには虹色に輝く2枚のアイテムカードが光り輝いていた。


「……これは? ……ええい!ままよ!!」


 武蔵は虹色アイテムカードを開封する。


 すると天空は割れ、その割れ目から光り輝く物体が光速で天から降ってくる。



――ズドドドドドドーーーーーーン!!!



 その物体はの全長14メートルの巨人。

 巨人の背中から差す太陽の日差は長い影を作り、武蔵に届く。

 その影を作る巨人に武蔵は向かい。


「キターーーーーーーコレキターーーーーー!」


 とはしゃぎ出していた。


 そう、現れたのはパイロットウォーズ最新人型レア兵器「アージス」




誤字脱字見直してませぬ・・・

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