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第⑧話 ゲームでも、お金がないと困ります



――始まりの街「アイアンロック」


 その名の通り荒れた大地に突如現れる鉱山街。三つある始まりの街の一つである。


 初期職業を選んでいなければ「桜」でスタートだが、特定の上級職を決めていればこの街からのスタートが可能である。


「一応ナイト職にしたけど、なんであんな所からスタートしたのかなぁ」


 そんな疑問に。


「そんな事を気にするのはどうかと思うぞ? 大体この世界の根幹がワレの知ったる元の世界と少し異なっておるようじゃしの」


 かなり重要な事をメディアは言ったのかもしれないが、それこそ気にしても仕方がないようなので取り合えず宿屋を探す事にした。

 鉱山を中心とした街は機械的なギミックが多く、オブジェと思いきや何かしらの意味があったりするものが多い。

 その中でもこの街はエレベーターが多く、主要施設のほとんどは昔掘られた採掘の後を利用した地下施設が殆どだ。

 先にも述べたが、初期職業をナイト等の上級職に設定すると、このアイアンロックからスタートとなるわけだが、最初にこの街へ来れる様に設定するプレーヤーは少ない。

 その最たる理由は、初期状態から金が掛かる街だと言う事だ。


 クエストを受け様にも最初のクエストは地下にあり、地下に下りるにはエレベーターの使用が不可欠である。

 しかしこのエレベーター。有料なのである。


「……いきなりつまづいてんすけど」


「お主、お金を持っておらぬのか?」


「ええ、初期状態なので全く」


「ほ~お主はお金を持っておらぬのかぁ~そうかそうか。……ワレにひれ伏せ」


「え?」


「だから我にひれ伏せと申しておるのじゃ」


「……お金持ってんの?」


「ふふ~ん。どうじゃか解らぬが、それに似たような物を持っておる!」


「なんと! ……ちなみにそれはどんなもので?」


「よくぞ聞いてくれた若者よ。強制的にこの世界から排出される前の事をお主は覚えておらぬのか? ワレは覚えておるぞ」


 俺も覚えているが一応聞いておく。


「ぉお? それはなんですか神様」


「うむ、そう呼ぶか。よい心がけじゃの。では見せてやろうぞ、我がゴールデンアイテムカードじゃ!」


 言いながらパントマイムの様にステータス画面をポチポチしている。


「……コレをこうして……あれ? こうか? あれ?」

 

「メディアさん?」


「少し待っておれ。今恵んでやるからの……あれ?」


「一応聞くけど、それ薄暗く表示されてない?」


「うむ、なにやら薄暗いのぉ」


 俺が思った通り、保障アイテムの事だった。


「メディア。言いにくいんだけど、そのアイテムって街の案内所カウンターじゃないと交換出来ないんだよね……」


「なら早ようそのカウンターとやらへ向かうぞ!」


「そうしたいんだけどさ、そのカウンターも地下なんだよね……」


「……金が無いと行けぬではないか」


「そうだね……戦って少しでもモンスかたお金奪わないと」


「仕方が無いのぉ。では行くか」


 立ち話をしていてもお金にならぬと、二人は街の入り口へ向かう。

 そこで少し気になった事があり、メディアに尋ねておいた。


「俺ってナイトなんだけど、あ、騎士ね。今は布の服一枚で、剣が無くて戦えないんだけど。もしかしてメディアって魔法使いとかかな?」


「ワレか? ワレは昔憧れておった踊り子じゃが?」


 俺たちは、街を出るまでもなく……積んていた。

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