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プロローグ -約束-
それは、守るに難く破るに容易い。
ただ単純に、自分の力になって欲しいと彼女は言った。
それ自体は、難しい事ではない。
ただし、自らに課した条件の達成は絶対。
その条件を、彼は未だ達成したことはない。
彼は空を見上げた。
天を仰いだ。という表現の方が正しいだろうか。それだけ、難しい「約束」だった。
ほとんど鳴らなかった携帯が震えた。
最近になって、急に使用頻度の増えた端末。
手にとって見た差出人の名は予想通りで。
携帯をそっと仕舞う。
決戦は間も無く始まる。
「勝って、行く」
それが彼女との約束。