第一話
神を創りし者達と神を破壊する者達との戦い
┝『この世界は、失敗だ。』
世界を創造した【神】は、そう言って、世界を捨てた。
【神】に見棄てられた世界は、瞬く間に、乱れ、戦争が起き、荒廃した。
後に【神無時代】と呼ばれる時代の始まりだった。
『神は、いない。』
皆が、そう思っていた。
そんな時だった。
【創造主】が現れたのは。
┝「諸君。ついに、この時が、来た!」
白衣を着た少女が、大勢の科学者達を前に、そう宣言する。
少女の前に、いる大勢の科学者達は、皆、疲労していたが、その目には、光が、あった。
希望が、あった。
何故ならば。
彼らの前に立つ少女が、彼らの希望を創造したからだ。「もう我々を見棄てた神など、もういらない!!今、この時より!!我々が創造した【神】が、この世を統べるのだ!!」
そう少女は、言いきると、手に持っていた小型コンソールを操作する。
「諸君、喜びたまえーーーーーー今より、我々は【創造主】となるのだ。」
そう少女が言った瞬間。
少女の後ろに設置されている巨大実験場から、目映い光が発生した。
この時。
一人の少女【ザギ】により。
第一の神である【天照】が誕生した。
┝ザギにより、第一の神【天照】が誕生して一年。
ザギ達は、神を創造する機関【創造主】を設立、【創造主】の最高司令機関【神創】を設立し、【神創】の最高決定機関【五人の創造主】をザギを中心に編成し、設置した。
その後、ザギが神を創造したように、人類は、【創造主】を中心に、神を創造することに注力するようになった。
しかし。
そんなザギ達とは違う行動をする人々がいた。
その人々の名は。
【壊神族】
名の通り【神を壊す】者達がいた。
┝「【紛神】は、神なんかじゃねぇ。ただの【紛い物】だ。」【壊神族】の集落の一つである【天光】の大広場で、大柄な女性の声が響く。
大広場には、大柄な女性を囲むように、大勢の人々がいる。
大柄な女性は、灼熱のように紅い髪をポニーテールに纏め、目は、金色の瞳を持ち、体中に、傷があった。彼女こそ、数多くの戦いを乗り越えた【天光】の族長の【龍】である。「あの【創造主】どもは、【紛い物】を創って、世界の均衡を保とうとしているようだが………意味はない。そうだろう?みんな!」
龍の言葉に、皆が、そうだ!、などを口々に言う。
しかし。
「―――――たが、【紛い物】を倒すばかりでは、意味はない。本部を倒すほうが早い気がするが?」
そんな中、一人の少女が、声を上げた。
「っ……誰だ?」
「私だよ。龍。」
人々の中から、一人の少女が出てきた。
真っ赤な瞳と、蒼き髪を持つ少女。
【紛い者】
村では、そう、畏怖されている少女、天だった。
「天か。」
「私で悪かったかな?まぁ、そんなことはいい。創造主共の本部を見つける方を優先させるべきだ。前々から、言い続けているが、何故に実行しない?」
「【紛い物】を減らす方が、優先だからだ。今この時も、【紛い物】は創られている。【紛い物】が、多いとーーーー」
「それは、聞き飽きたんだよ、龍。……もう戻る。来たのが、間違いだった。」
龍の返答に、呆れた感じで、そう言うと、踵を返した。
「………おい。待てよ。」
「っ…」
龍の呼び止めに、天は、歩みを止めた。
いや。
止められた。
いつの間にか、天の首筋に、龍の愛用する回転鎌【円舞鎌】の刃が、当てられていた。
「……………何をするつもりだ?」
「アタシに、謝れよ、天。」
「何故だ?何故、私が、お前に謝らなきゃならない?」
「っ!天!!アタシは、族長だ。今ここで、お前を殺しても、いいんだぞ?」
龍は、円舞鎌に力を込める。
つつ……
と、天の首から、少し血が流れた。
その光景に、周囲にいた人々が、どよめく。
「さぁ、謝れ!天!!首斬られたくなけーーーーー」
「その前に、私が、お前の心臓を撃ち抜くよ。」
「何?ーーーーーーっ!?」龍は、驚きを隠せなかった。
いつの間にか、龍の胸に、天の愛用する銃【神殺し】が、突き付けられていたのだ。
「……お前、いつの間に……」
「武器を、納めろ、龍。【紛い物】に、殺される前に、私が、お前を殺してやろうか?」
キッ!と、天は、思いきり龍を睨み付ける。
その睨みに龍は、ひっ、と小さく悲鳴を上げると、直ぐ様、円舞鎌を納めた。
「………それで、いい。お前を殺さずにすんだよ。」
そう、一言だけ言うと、天は、後ろで、呆然としている龍を尻目に、その場を、離れていった。
┝「まったく〜、今日は、ハラハラしちゃったよ〜、天。」
広場から、少し離れた場所で、天は、頭上から声をかけられた。
「怪か……なんで、あの時助けに来なかったんだ…」「いや〜、だって怖かったんだも〜ん。」
天に、話し掛けてきた少女、怪は、木から、降りてきた。
「よっと……まぁ、今日は、凄まじかったね〜。」
「そうか?」
怪の言葉に、天は、意外そうに答える。
龍と天との喧嘩は、以前から何度かあった。
理由は、考え方の違うためだ。
龍は【紛い物】を倒し続けて根絶やしにする、考え。
天は【紛い物】を創っている場所を見つけ、そこを叩く、考え。
二人の考えは、相違しているのだ。
しかし。
ここまで、大きな喧嘩になったことは無かった。
「けど、まさか【神殺し】を抜くとはねぇ……天ちゃんも、イラついてたんだね」
「当たり前だ。敵の本拠地を叩かない限り【紛い物】は、無くならない。なんで、それを龍が、解らないのか……」
「ねぇ、天ちゃん。狩りに行こうよ。」
「え?」
「そう!狩りだよ!狩り!ほら、行こ♪」
怪は、天の腕をギュッと掴んで、無理矢理連れていこうとする。
「ま、待て待て!行くから!手を離せ!な!?」
天の言葉に、「あ、ごめんごめん♪」と笑いながら、天の腕を離した。
「お前は、行動力あるなぁ……さて、行くか」
「行こ行こ♪」
天は、愛用する銃【神殺し】と、愛用する刀【神殺しの刀】を持ち、
怪は、愛用する弓【空裂き(そらざき)】を持って、
【狩り】。
【紛い物】を狩りに、行った。
┝【創造主】では、【五人の創造主】と呼ばれる最高決定機関が設置されている。
【五人の創造主】のメンバーは、
まず、創造主のリーダーにして【壊神族侵攻軍『レヴィエル』】総司令官【ザギ】。
そしてザギの妹であり【壊神族侵攻軍『レヴィエル』】の副司令官【ゼス】。
【壊神族侵攻軍『レヴィエル』】の軍師【ユーラム】
兵器開発長官の【エーデルワイス】。
そして、諜報部の長官【ニーナ】。
この五人である。
【創造主】の全ての方針は、この五人により決定されるのだ。
┝「ーーーー諸君。今より、【創造主】定例会議を行う。」
【創造主】本部基地の会議室にて、【創造主】のリーダー【ザギ】が、すでに集まっている、ゼス達四人に、そう言う。
「では、まず、エーデルワイス。君から、頼むよ。」「わっかりました〜♪」ザギの頼みに、座っていた、うす黄色の髪を短く纏めた少女【エーデルワイス】が立ち上がった。「最近、旧時代の遺産である【ガトリング砲】を改造してみましてね。【ガトリング砲・改】と名前付けましたんですけど、その【ガトリング砲・改】がテスト段階に到達しました〜」
「そうか。テスト段階に到達したなら、あの【失敗作】共でテストしろ。いいな?」
ザギの指令に、エーデルワイスは、「わっかりました〜♪」といい、席に座った。
「あ、そうだ〜。あの【例の奴等】なんだけどーーーーー」
「エディ。それは、私から話そう。」
追加で何かを言おうとしたエーデルワイスを、隣に座っていた栗色の髪を短くまとめた少女、ニーナが、途中で口を挟んだ。
「【例の奴等】?…あぁ〜【壊神族】ていう蛮族共のことね〜」
「そうだ。ザギ様、その【壊神族】についてのご報告をいたします。」
「話せ。」
「はっ。今回が初めてでしが、壊神族の部落の一つに【草】を放ったところ、奴等の武器は、弓・槍・刀・剣などでした。銃や大砲もありましたが、【草】によれば、我々の武器より遥かに劣っている、とのことです。」
報告書を読み終えると、ニーナは、席に座り、「ニーにゃん呼ぶなっ」と、エーデルワイスを小突く。
「ふむ………ウチの考えていた策も、幾つかは、いらなくなるなぁ。」
ニーナの報告に、ザギより先に、彼女の隣に座っていた【壊神族侵攻軍『レヴィエル』】の軍師ユーラムが、反応した。
「ユーラムは、いつも策を考えてるんだね〜?」
「当たり前や。いつ、ウチの策が必要になるか、わからんからな。ちなみにウチからの報告は、ないで。」
「これで、報告は以上なのですか?」
エーデルワイス達の報告が終わったのを見計らい、ザギの妹のゼスが、そう口を開いた。
彼女の質問に、三人とも「無い」と答える。
「壊神族共は、我々の障害となる。警戒だけは、怠るなよ。ーーーーー以上だ。解散。」
ザギの言葉に、エーデルワイス達は、席を立ち、
「「「【創造主は永遠なり】!!」」」
そう言って、部屋を出ていった。
「………」
「お姉様。あの蛮族共は、必ずエーデルワイス達が、駆逐いたします。」
「…あぁ、わかっている。誰であろうと、我々の邪魔はさせないさ。そうーーーーー誰であろうとも、な…」
そう言うと、彼女は、ゼスと共に、部屋を出ていった。
「創造主は……永遠なり…だ。」
【了】
次回お楽しみに