魔法幼女マジカル☆ともか
「いや、これは無い……」
自室の床で四つん這いになって嘆いてる魔法少女の格好をした幼女がいた。正確に言うと魔法幼女か。……いや、私なんだけどね。
この何とも言えない混沌な状況を説明するには、少し前に遡らなければならない。
私、藤沢友架は自他共に認めるヲタクである。なので当然魔法少女物アニメという物も見る。その時、大好きな魔法少女物アニメを見ていた私は何の気の迷いか、言ってしまったのだ。
「ミラクル☆マジカル みんなの平和を守るため、変身!魔法少女、友架!」
言い終わったあと、正直自分でもないと思った。これこそ正に、穴があったら入りたい気分。これで終わればまだ……良かった。しかし、この後には悪夢が待っていた。
私の体がピンク色の光で包まれたのだ。もしや、と思い鏡を見てみると……そこには魔法幼女が居ました。ふりっふりのロリータファッションに、先っちょにハートの石がついているステッキを身につけている。絶望のあまり私は床に四つん這いになる。すると、鏡の中の幼女も四つん這いになる。もうこれは諦めるしか無いでしょ。
いや、ね? 諦めるって言ったって、私だって信じたく無いから何度も確認したよ、夢かと思って。頬をつねったり、もう一度鏡で確認したり。そこまでしても駄目だと、現実だと認めざる終えないじゃないか。
ここはポジティブに考えよう。ここで魔法が使えなければ、ただの便利な変身能力じゃないか。よし、どうせ使えないだろうし呪文でも唱えてさっさと終わらせよう。
「マジカル☆ファイア!」
ドッジボール程の火の玉がステッキの上に出ました。一瞬の沈黙。
「何でだよぉぉぉおおおっ!」
可笑しいだろう、可笑しいだろう。何故だ、何故だ。そんな事を悶々と思っていると、不意に扉が開く音がした。入ってきたのは妹だった。
「おねぇちゃん?ちょっとうるさ……え?」
流石に扉を開けたら、ちっちゃくなった姉が魔法幼女してたら引くよね。
「もしかして、お姉ちゃん? そうだよねっ! その目の形とか輪郭とかそのままだもんねっ。ねえねえ、お姉ちゃんは正義の味方なのっ?」
……こいつはこういう奴だった。っていうか予想外の事に対応が遅れてしまった。もう、お先真っ暗、だ……。
「うん、そうなの! 実は私、この世界を救うために産まれてきた、魔法使いなの!」
何言ってんの私ぃぃぃいいい! 妹の事だから信じちゃうじゃんっ、アホか! もう駄目。色々あり得ない事が起こり過ぎて、倒れそ……
「……え……ん、…………ゃん、お姉ちゃんっ!」
え? ここ、ベットの上?もしかしなくても、夢オチ? まあ、現実であんなこと起こるわけ無いよね。
「もう、お姉ちゃん聞いてるの? あぁ、でもまさかお姉ちゃんが正義の味方だったなんて。写真とってテレビに投稿したら取り上げられてたよ。妹として鼻が高いなあ!」
……マイシスター、今なんと。
「お姉ちゃん、頑張ってね!」
夢オチかと思ったら違いました。どうやら私は、これから魔法幼女として正義の味方にならないといけないようです。
魔法幼女図鑑
藤沢友架
至って普通の女子高生。ただしヲタク。
呪文を唱えてみたら魔法幼女になっていた可哀想な子。
元が美人なので美幼女に。
「ミラクル☆マジカル みんなの平和を守るため、変身!魔法少女、友架!」
変身するための呪文(お約束)。魔法少女と言っているのに幼女になる不思議。
「マジカル☆ファイア!」
炎を出す事が出来る。普通の水では消す事が出来ない。実はドッジボールよりも大きく出す事が出来る。
他にも水、雷、風、光、闇など色々なことが出来る。マジチート。