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何も考えず・・・

 「それじゃあ真夜、また“DEAD ANGEL”でね」

 カオルは俺をさっきの公園で降ろすと、再び車を走らせ去っていった。俺はそれを見届けると、単車を置いていた所まで行き、サナトリウムへと帰っていった。

 サナトリウムに着くと、すぐにケイゴに今日の事・・・つまりカオルの事を話した。俺が話す一つ一つの内容に、ケイゴはただ驚いていた。

 無理も無い、俺は今までずっとカオルの事を毛嫌いしていたから。族にいた頃も、優しかったとカオルは言っていたがそれは偽物の優しさで、本当は物凄く鬱陶しかった。

 皆の前で、彼女ヅラして俺に触れてくるカオルにどれだけ嫌気がさしていたか・・・。そんな俺をケイゴはよく知っていたから、今日の話を聞いて驚いているのも仕方が無い。俺本人でも驚いているのだから・・・。

 とりあえず、1つの問題は解決した。カオルが約束してくれたから、真砂が帰ってきても安心できる・・・。そう思っていると、急に肩の力が抜けてきた。

 ベッドの上でボーっとしていると、ノックが鳴り三田が入ってきた。

 そういえば、三田と会うのは俺が倒れた時以来だったな・・・。確か、めちゃくちゃ言い争っていたような・・・。そう思い出すと、自然と背を向けてしまった。子供か、俺は・・・。

でも、面と向かって何を話せばいいか分からなかった。

 「真〜夜っ!お久しぶり。加賀から聞いていたけど元気になったみたいだね、よかったよかった」

 三田はコクコクと頷きながら、そう言った。

 なんだ・・・?こいつは俺と言い争いになった事、頭の中から消えているのか?

 俺は、自分1人が真剣に悩んでいたのに対して馬鹿らしくなってきた・・・いや、悩んでいた訳じゃないが。どうも三田のこんな様子を見ると、調子が悪くなる・・・。

 こいつの性格には、ある意味尊敬さえしてしまうよ・・・。

 「あれから・・・真砂から何か連絡来てる?」

 俺の質問に三田は首を横に振った。その答えに俺は、ああ・・・やっぱりとしか思わなかった。でも、心の中では少し期待していた。

 “もう、そろそろ・・・もう、そろそろ帰ってくるんじゃないか”

 “今頃、日本に向かっている飛行機の中にいるんじゃないかな?”

 時々そう思いながら、笑顔になっていた。

 「大丈夫だよ、真砂さんが帰ってきたら連絡してくれるよ。それまで楽しみにしておきなよ」

 三田の言葉に対し“ああ”と答えつつも、心の中では

 “楽しみになんかできるわけないだろ”

と思っていた。帰ってきても、連絡が無ければ俺は何も知らないままずっと待ちぼうけ・・・。冗談じゃない!悪い方へと考えている自分が嫌になってくる。

 それから俺はまた1人、部屋でボーっとしていた。何も考える事もなく俺は1人外を見ていた・・・。やがて太陽が沈み、部屋が暗くなってもまだ俺は外を見ていた。



   何も考えずに・・・。

こんにちは、山口です。今回20話を迎える事になりました。この小説を読んで頂き、本当にありがとうございます。これからも地道にがんばっていきますのでよろしくお願い致します。また、同時に連載中の「これも恋の始まり?」もよろしくお願い致します。

          山口維音

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