罰
目が覚めた時、部屋は真っ暗だった。
そばにあった電気を付け、時計を見るともう夜中の12時を過ぎていた。
ベッドから降り、ベランダに出てケイゴに連絡をしようとした時、逆にケイゴから電話がかかってきた。
「真夜?一体どうしたんだ?水原の事気にして来ないのか?」
ケイゴからそこに水原がいないのを確認すると、携帯を切り自分の部屋に戻った。
そして、キーとジャケットを持ち出すと、外に出て単車に乗りDEAD ANGELに向かった。
しかし、DEAD ANGELに着いた時、一瞬目を疑った。
いつもは入り口の近くには、多くの単車や車が並んでいるのに、今日はそれが1台もなかったからだ。
単車から降り、ドアに近づくと、そこには“本日貸切”という札までが付いていた。
ケイゴとカイの奴・・一体何を考えているんだ。
中に入ると、カウンターにはケイゴとカイの2人しかいなくて、いつも鬱陶しいくらいの騒がしさは微塵も感じられなかった。
階段を1段1段降りていくと、ケイゴは俺の方を振り返った。
そして、俺の耳の怪我を見ると、1回深いため息をしていた。
カイは俺にそこに座るよう指示をすると、自分は中からボトルを出し、俺の前に差し出した。一体何なんだ・・。
「オイッ、どうしたんだ今日は・・貸切なんかにしやがって。」
俺が笑いながらそう言っても、2人は何も言っては来なかった。
「俺とお前が初めて会ったのは、確か高1の時だったよな。」
突然ケイゴが重い口を開き話し始めたが、何だ?イキナリ出会った頃の話なんか持ち出して・・一体どうしたんだ。
「俺たちは高校は全然違ったけど、意外な事で知り合ったんだよな」
ケイゴはそのまま話を続け、カイはただグラスを拭いていた。
そう、ケイゴの言うとおり俺達は出会うまで全く異なった生き方をしていた。
ケイゴは中学からバリバリの不良だったので、高校生になってもそれは引き継がれ高校もまた、あまり評判の良いとは言えないトコに通っていた・・。そして・・俺は・・
「俺が他校の奴等とケンカして、路地裏に行ったら・・名門藤宮学園の制服を着たヤローが煙草吸っているじゃねーか。」
「それが・・真夜、お前だったよな」
ケイゴが言った後、カイがボソッと言った。
そう・・俺は高校の時、今とは全く違う生き方をしていた。
「懐かしいよな・・ホント」
ケイゴは呟いた・・
第15部分まで読んで頂き、ありがとうございます。
次回は今までの真夜視点を、ケイゴ視点に変えて2人が出会った時のエピソードを書きたいと思います。
2人はどのようにして出会ったのか、そしてケイゴはなぜそんな話を急にし始めたのか、想像して下さると嬉しいです。