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狂い始めたシナリオ


 翌朝、目が覚めると時計の針は10時を指していた。

 ああ・・朝メシ食い損ねたな・・。そう思っていると、何やら外からざわざわと声が聞こえてきた。

 部屋から出て、下を覗いてみると・・ああ、退院するんだな。ガキが両親と手をつないで看護婦や加賀と笑いながら話をしていた。そのガキの幸せそうな顔を見ると、妙にイライラしてきた。

 “ナオッテ ヨカッタネ パパヤママト マタクラセルネ”

 “ガンバッタカラ ビョウキモ トンデイッチャッタンダヨ”

こんなの俺には

 “コノクタバリゾコナイ!”

そんな風に聞こえる・・。お前等の中で・・もしかすると両親のうちどちらかでもそう思っているんじゃねぇの?って言ってやりたくなる。病気になったらもうすぐに、死んで欲しいと思ってたんじゃねぇとか・・

 それなのに、ここにいる奴等全員善人ヅラしやがって。

そう思っていると、自然と口元が笑っていた。ホントにバカバカしい。そしてこんな所にいる俺もバカバカしい・・。

 夜中に“DEAD ANGEL”で遊んでいても、結局はここに戻ってしまう。シナリオの為とはいえ・・。

 「真夜」

振り向くと、そこには三田がいた。俺が夜中遊びに行くようになったせいか、最近三田はよく顔を見せるようになった。


 「ホント、呆れるくらいマメだね・・そんなに俺の事を見たい?」

少し嫌味っぽく言ったが、三田は言葉ではなく笑顔で返した。これは一体どういう意味なんだ?気色悪い・・。 

 「本当の事を言うとね、心配だったんだ。夜中に出歩くようになって、もしかしてここにはもう戻って来ないんじゃないかって。けど無駄な心配だったかな」

 三田は1人で嬉しそうに話をしていた。

 「あんたって、つくづくバカだなって思うよ。俺がここへ戻って来るのは、シナリオ通りなんだよ。昨日俺はシナリオを完璧にする為、本物の有也の情報を得てきたんだから・・。」

俺は笑いながら続けた。

 「せっかく こんなおもしろい“遊び”を思いついたのに、途中でやめる訳ないだろ?それなのに、俺の事を心配しているなんて・・あんたメデテーよ」

言い終わると、煙草を取り出し吸い始めた。思った事を、すべて外に出して気が済んだ筈なのに、イライラしていたせいかまた耳元がズキズキと痛み出した気がした。

 イライラしているのは、三田が怒らないからだ。俺がどんなにひどい事を言ってもこいつは俺を殴りもしなければ、怒りもしない。それがかえってイラつかせる。

 「まるで・・俺には出来ないよって言ってるみたいだな、三田さんよぉ」

すると三田はニッコリと笑い、

 「出来ないよ、真夜はそんな事できないよ。絶対に」

・・断言しやがった・・。三田が俺に。

 “オマエニ ソンナコト デキルワケネェダロ”

 “ミエ ハリヤガッテ オマエハ バカカ?”

三田が言った事は俺にはこう聞こえた。

 イヤダ・・イヤダ・・ジブンガ ワカラナクナル・・

俺は三田を見る事もなく、その場を去っていった。

 イヤダ・・イヤダ・・。俺のシナリオは完璧なんだ。

そんな言葉が頭の中を駆け巡っていた時、携帯が鳴っているのに気付いた。ケイゴからだ・・。

 「はい・・どうしたんだ?」

ケイゴが昼間に電話を掛けてくるのは珍しかった。

 「真夜・・落ち着いて聞けよ・・。さっきな・・」

 「・・えっ・・」

ケイゴの口から出た言葉に思わず持っていた携帯を落としてしまった・・


  −さっきな水原が訪ねて来たぞ・・お前の事で−

こんな事、俺のシナリオにはない展開だった・・



・・イヤダ・・イヤダ・・・

 これがきっかけで何かが変わってしまうような気がした。



第13部分「狂い始めたシナリオ」はいかがでしたか?最後に出てきた、“水原”さんは真夜の何なのか、想像して下さると嬉しいです!(ちなみに女性です)

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