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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

でかにく

スカーレット爆死

作者: 汽船位(キセンクライ)
掲載日:2025/12/10

 雨の降る工事現場…コンクリートの隙間から、雨水が滴り落ちてくるのを眺めながら…

その時、事務員をしていた高市(こういち)は、今日も休憩時間を持て余している…

 「私…操り人形が欲しいの…」

そう呟くのは、彼が密かに憧れていた同僚の女性…とはいえ、まともに口をきいた事も無く…いつも赤い服を着ている事から、心の中でスカーレットと呼んでいた… 

 「スカ…いえ…どう言う意味…」

自分に話かけられていたのか、分からないままに返事をしてしまう…

 「今から…買いに行こ…」

手をつかまれ、立ち上がる高市…

 「でも…休憩時間あと…少ししか…」

 「大丈夫…すぐ近くだから…」

慌ててロッカーから、傘を取りに行き、彼女の後を追う…相合傘を一瞬期待したが、彼女は無言で自分の傘をさし、前を歩いてゆく…

 「ここなんてどう?」

店名の見当たらない、怪しげな雑貨店を見つけ…立ち止まるスカーレット(仮称)。

 「ひとりで入る勇気無いよね…」

高市の問いかけに、照れくさそうな笑顔で頷く彼女の意識は、ここから離れてゆく…


 雨音がもたらす記憶の再生…

 

「先生…私…好きな人がいるんです…」

そう医師の前で呟くのは、高市がスカーレットって仮称している女性…国宝(くにだから)サメである。彼女は、自分の名前にコンプレックスを持っており…人に伝えようとはしない…

 「一カ月です…あなたが生きられるのは…それまでに、やりたい事を全部しなさい…」

(それは…私の意思で決められる領域の話…相手の気持ちを変えるのに…一カ月じゃ、足りない…)


 時間は、ふたりの恋が発展したと、錯覚させる…


 晴れた工場の屋上…

 「私に言いたい事は?」

 「僕は…君が…」

 「ハイ…時間切れです…」

両手を広げ…空を見上げる彼女の視線は、遥か彼方を見据えている…

 「私の寿命は…今日でおしまい…もう少し早く言ってくれれば…何か展開があったかもね…」

 「スカーレット…」

 「そんな名前じゃないよ…」

彼女の背中から生えた、天使の羽は…彼女自身の心臓を、その羽先で貫く…

 「あ…」

高市の顔に鮮血がかかり…五十音の一つ目以外の言葉を失う…

バシャ〜ン…ビチビチ…

 一匹のホオジロサメに、生まれ変わった彼女を、天空に仰ぎ見る…

 「僕は…」

彼は即座に…自分の胸元に、突如現れた…自爆ボタンのスイッチを、押した…

ズドドドド〜ン


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