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〜プロローグ〜


「……随分派手にやってくれたね……」


 崩壊した魔法都市。

 魔導の灯が夜空を照らしていた街は、

 今や黒煙と瓦礫の荒野と化していた。

 焦げついた香のような魔力の残滓が漂い、

 風が吹くたび、粉塵が赤く舞い上がる。

 倒れた街路樹には魔力の結晶がこびりつき、

 それが微かに光る様子は、まるで都市が

 まだ息をしているかのようでもあった。


 都市の中心——高台にそびえる魔術学院。

 白亜の塔は半ば崩れ落ち、

 中央の広場は巨大な衝撃痕で抉られている。

 そこに、一人の騎士が立っていた。

 風が鳴る音の中、

 ゆっくりと、瓦礫の影から一つの影が現れる。


 透き通るような白髪が揺れている。

 顔の半ばを覆うほどに大きな帽子を被り、

 その下の表情はほとんど見えない。

 だが、その立ち姿にはどこか、

 この終焉の景色に馴染みすぎたような

 静けさがあった。


「会うのは——二度目、になりますね」


 白髪の彼女は微かに微笑んだ。

 その笑みは懐かしさと、

 ほんの少しの痛みを含んでいるようでもある。

 対する騎士は、しばらく沈黙した後、答えた。


「……そうか。……そうだね…………」


 兜に覆われた顔は見えない。

 だが、声の奥に宿るためらいを、

 彼女は確かに感じ取っていた。


「聞きたいことは山ほどあるけど、

 まずは君を止めなきゃならない」


 金属の音。

 騎士が盾を掲げ、直剣を抜く。

 その構えはまるで祈りのように整っていた。

 彼がただの兵士でないことは、

 その佇まいだけで理解できた。

 魔法都市の三騎士——第一席。

 大陸に名を轟かせる力の象徴。


 ——けれど、私は退かない。

   彼を殺さねば、私の願いは届かない。


「そう簡単にいくとは思えないけど……」

 

 帽子の下で、彼女の瞳が静かに光を帯びる。


「それは——やってみなきゃわからないさ」


 次の瞬間、瓦礫の上に立つ二つの影が、

 閃光とともに交錯した。

 

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