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第10章:誓い、光、そして絆(後半)

 ノクト王子は、言葉を発することなく、ただじっとアスタを睨みつけていた。


 彼の瞳は、暗く、そして、氷のように冷たかった。彼の両手からは、不吉なまでの闇の魔力が、ゆらゆらと揺らめいている。

 それは、アスタが放つ闇の魔力と、同じ性質を持っているように見えた。


 「俺に逆らったことを、後悔させてやる」


 ノクト王子はそう呟くと、静かに、しかし、確実に、アスタに近づいていく。彼の足元から、黒い影が這い出し、アスタを絡め取ろうとする。


 アスタは、傷ついた体を起こし、四人の王子たちを睨みつけた。


 「……くそ……。たかがノアリウム界の王子どもが、この俺を追い詰めるとは……!」


 アスタは、悔しそうに歯を食いしばる。彼の表情には、屈辱と、そして、激しい怒りが浮かんでいた。四対一。アスタは、もはや逃げ場がないことを悟っていた。


 ゼフィロス王子は、自らの魔力を解放し、泉の水と空気中の魔力を操って、アスタを包囲した。セレス王子は、癒しの魔術でルキの傷を完全に治癒し、ルキの力を最大限に引き出そうとする。


 そして、ノクト王子は、アスタの闇の魔力に対抗するように、自らの闇の魔力を放ち、アスタを牽制する。

 四人の王子たちが、私というたった一人の少女のために、教国の王子と対峙している。


 その光景は、あまりにも現実離れしていて、私の心は震えが止まらなかった。彼らの絆と、私への想いが、この場所で、一つの力になろうとしていた。


 アスタは、四人の王子たちの圧倒的な魔力に、次第に追い詰められていく。彼の表情からは、先ほどの傲慢さは消え、焦りと、そして、微かな恐怖が浮かんでいた。


 「……だが、このままでは終わらない。お前たちに、本当の絶望を教えてやる」


 アスタはそう言って、不敵な笑みを浮かべた。その笑みは、まるで、何か恐ろしい策略を隠しているかのようだった。彼は、掌に魔力を集中させると、自らの腕に刻まれた、教国の王族の証である紋章に、その魔力を流し込んだ。


 ザワワワワワ……


 その紋章から、禍々しい闇の波動が放たれた。それは、この泉の魔力を、そして、この世界の魔力そのものを、吸収しようとするかのようだった。


 「この力は……!」


 ルキが、驚きと、そして、警戒の色を浮かべた。


 「我が教国の王族に伝わる、禁じられた魔術……『闇の聖杯』。他者の魔力を吸収し、己の力に変える。お前たちの魔力は、全て、俺のものとなる!」


 アスタは、高らかに笑った。彼の体から、闇のオーラが、嵐のように渦を巻き始めた。彼の力は、急速に増大していく。


 「馬鹿な……! そんな、禁じられた魔術を……!」


 ゼフィロス王子が、信じられないという表情を浮かべる。

 アスタは、その増大した力で、再びルキに攻撃を仕掛けた。ルキは、その攻撃に耐えきれず、再び吹き飛ばされる。


 だが、今度は、セレス王子が、ノクト王子が、そして、ゼフィロス王子が、ルキを庇うように、アスタの前に立ちはだかった。


 「僕たちの愛は、君の闇には負けない!」


 セレス王子が、ルキの言葉を代弁するように叫んだ。


 「お前が闇を操るなら、俺は、お前を闇の中に閉じ込めてやる」


 ノクト王子が、静かに呟くと、彼の周りの闇の魔力が、アスタを包み込もうとする。


 「星の鍵は、我らノアリウム界が守る。お前ごときに、手出しはさせん!」


 ゼフィロス王子が、力強く宣言した。


 四人の王子たちが、それぞれの魔力を解放し、アスタに立ち向かう。光と、闇と、水と、そして、癒しの魔術が、一つの力となり、アスタを追い詰めていく。


 アスタは、四人の王子の連携に、次第に追い込まれていく。彼の増大した力は、彼自身の体を蝕んでいくようで、その顔からは、苦痛の表情が読み取れた。


 「……くそ……! この俺が……! このまま、終わってたまるか……!」


 アスタは、血を吐きながら、そう呟いた。彼の表情には、屈辱と、そして、激しい怒りが浮かんでいた。彼は、最後の力を振り絞り、自らの体に、闇の魔力をさらに注ぎ込んだ。


 夜の闇の中、四人の王子たちの光と、教国のアスタの闇が、静かに、しかし、激しくぶつかり合おうとしていた。

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