アイデアの泉と涸れた心 前編
前編・後編で1エピソードのオムニバス形式の物語です。
ハッピーエンドで終わるエピソードもあれば、バッドエンドで終わるエピソードもあります。
全てはその人の紡ぐ縁・・・。
今日もまた、新たな参拝客が様々な希望や欲望、絶望を持ってやって来ます。
(ああ、また朝が来てしまった……そして私は、まだ何も変われないまま……)
スマートフォンのけたたましいアラーム音より先に、重苦しい現実感が桜井真琴を覚醒させた。
見慣れないビジネスホテルの天井。
そうだ、昨日、全てから逃げ出したくて、私は伊勢に来たんだっけ。
ゆっくりと身体を起こすと、首から肩にかけて、まるで鉄板でも入っているかのようにガチガチに固まっている。
連日の残業とプレッシャーによる疲労は、もはや慢性的になっていた。
三年目。企画職として、もう「新人だから」という言い訳は通用しない。
それなのに、先週も渾身の企画を上司に鼻で笑われた。
「悪くはないけど、平凡だね。君の『色』が見えないんだよ」
追い打ちをかけるように、隣の部署の同期が大きなプロジェクトを成功させたという噂が耳に入ってきた。
焦りと、嫉妬と、そして深い自己嫌悪。そんな感情がないまぜになって、胃のあたりが重たい。
(もっと……何か、特別な才能があれば……)
そんな、叶うはずもないことばかり考えてしまう。
窓の外は、伊勢の澄んだ青空が広がっている。
GW前の週末。貴重な三連休の初日だ。
気分転換に来たはずなのに、結局は東京のオフィスに心を囚われたまま。
(でも、せっかく来たんだから)
重い身体に鞭打ってシャワーを浴び、簡単なメイクを施す。
ホテルの簡素な朝食を無理やり胃に詰め込み、外へ出た。
ひんやりとしながらも、どこか柔らかな伊勢の空気が肌を撫でる。
バスに乗り、まずは伊勢神宮の外宮へ。
鬱蒼とした木々、玉砂利を踏む音、清浄な空気。
背筋が伸びるような感覚はある。
けれど、神様に何を祈ればいいのかも分からない。
ただ「うまくいきますように」と願うのは、あまりにも漠然としすぎていて、そして虫が良すぎる気がした。
結局、形だけ手を合わせ、足早に後にした。
次に向かったのは、内宮へと続く、おはらい町。
石畳の通りには、時代劇に出てくるような古い建物が軒を連ね、土産物屋や飲食店が活気にあふれている。
伊勢うどんの出汁の香り、焼きたての餅の香ばしさ、そして人々の楽しそうな笑い声。
その賑やかな喧騒の中に身を置くと、不思議と、さっきまでの心の重さがほんの少しだけ和らぐ気がした。
まるで、周囲の陽気なエネルギーが、自分の内の淀んだ空気を押し出してくれるかのようだ。
「赤福、久しぶりに食べたいな……いや、伊勢うどんもいいかも……」
少しだけ食欲も湧いてきた。
店先のメニューを眺め、何を食べようかと考え始めた、その時だ。
ふと、またあの黒い願望が頭をもたげた。
(もっと、こう……楽にアイデアが浮かんできたりすれば、こんなに悩まなくても済むのに。魔法みたいに、誰もが唸るような企画が、苦労せずに次々と思いついたら……)
そうすれば、上司に認められて、同期にだって負けないで、自信だって持てるはず。
こんな風に、休日にまで仕事のことで思い悩むこともなくなるのに。
(……馬鹿みたい)
あり得ない空想に、自嘲の笑みが漏れる。
現実から目を背けたいだけだ。
顔を上げ、賑わう通りの方へ視線を戻そうとした、まさにその瞬間だった。
人混みの向こう、通りの脇へと続く細い路地の入り口に、真琴は、信じられないほど美しい、奇妙な存在を目にした。
それは、白昼夢の続きか、あるいは疲れた心が見せる幻覚かと思った。
人々の賑わい、行き交う足音、様々な店の呼び込みの声。
そんな現実の音に満ちたおはらい町の通りの端、細い路地の入り口近くに、その鳥は、まるでそこだけスポットライトが当たっているかのように、凛として佇んでいた。
(鶏……? いや、でも……)
真琴は目を凝らした。艶やかな純白の羽毛は、伊勢の強い陽射しを受けて眩しいほどだ。
すらりと伸びた首、賢そうな黒い瞳。
そして何より、頭上で輝く、見事な金色の冠羽。
それはまるで、精緻な金細工で作られた王冠のようだった。
長く、床に届きそうなほど豊かな尾羽が、風もないのに時折、さらりと揺れる。
明らかに普通の鶏ではない。
神話か何かに出てくる、伝説の生き物のような気配さえ漂わせていた。
不思議なことに、真琴以外の誰も、その異様なまでに美しい鳥の存在に気づいている様子はなかった。
人々は楽しげに語らいながら、鳥のすぐそばを通り過ぎていく。
まるで、その姿は真琴にしか見えていないかのようだ。
(どうして、こんなところに……?)
真琴が呆然と立ち尽くしていると、その尾長鶏は、ふいに足を止め、ゆっくりとこちらを振り返った。
澄んだ黒い瞳が、真っ直ぐに真琴を捉える。
気のせいではない。
確かに目が合った。
そして、その瞳の奥に、まるで人間のもののような、深い知性を感じた。
次の瞬間、尾長鶏は、まるで「さあ」と促すかのように、軽く一声「コ……」と鳴き、ひらりと身を翻した。
そして、人々の足元を巧みにすり抜け、あの細く薄暗い路地の中へと、吸い込まれるように入っていったのだ。
「あっ……待って!」
考えるより先に、声が出ていた。
そして、足が勝手に動き出していた。
行かなければ。あの鳥を、見失ってはいけない。
強い衝動に突き動かされ、真琴は人混みをかき分けるようにして、路地の入り口へと急いだ。
一歩足を踏み入れると、世界が一変した。
あれほど満ちていた喧騒と陽光が嘘のように消え去り、ひんやりとした静寂と、古い家屋が落とす影に包まれた。
両側には黒ずんだ板塀が続き、苔むした石畳が奥へと伸びている。
どこか懐かしいような、それでいて少し不気味なような、不思議な空気が漂っていた。
(本当に、こっちで合ってるの……?)
一瞬、迷いが心をよぎる。
けれど、路地の少し先、薄闇の中に、あの純白の尾羽が揺れるのが見えた。
尾長鶏は、時折こちらを振り返り、まるで道案内をするかのように、ゆっくりとした足取りで奥へと進んでいく。
真琴は、ごくりと唾を飲み込んだ。好奇心と、ほんの少しの恐怖。
そして、何か特別な場所へと導かれているような、抗いがたい予感。
それらが綯い交ぜになった気持ちで、一歩、また一歩と、その不思議な鳥の後を追い、静かな路地の奥深くへと、足を踏み入れていった。
薄暗い路地を抜けると、そこは不意に開けた小さな空間になっていた。
真琴は息を切らせ、立ち止まる。目の前に現れた光景に、しばし言葉を失った。
路地の突き当たり。
そこには、まるで長い間忘れ去られていたかのように、しかし、確かに人の手が入っていることを感じさせる、小さな神社がひっそりと存在していた。
周囲は低い玉垣で囲まれ、入り口には古びた木製の鳥居が立っている。
鳥居のすぐ脇には、「縁結神社」と風化した文字が刻まれた石柱。
鳥居の奥には、こぢんまりとした社殿が見える。
屋根には緑の苔がむし、長い年月を経たことを物語るように柱の色は黒ずんでいる。
けれど、不思議と荒れた印象はない。
境内は塵一つなく掃き清められ、どこからか清浄な空気が流れてくるようだった。
(ここが……あの鶏が向かっていた場所……?)
真琴を導いてきた尾長鶏の姿は、もう見えない。
おそらく、あの社殿の奥へと入っていったのだろう。
周囲は驚くほど静かで、ついさっきまで歩いていたおはらい町の喧騒が、まるで遠い世界の出来事のように感じられた。
伊勢の昼過ぎの明るい陽射しが降り注いでいるはずなのに、この一角だけは木々の緑に覆われ、時間の流れが違うような、不思議な空気に満ちている。
縁結び、という名前。
でも、雑誌やネットで見るような、若い女性で賑わう華やかなパワースポットとは明らかに違う。
もっと古く、深く、そして少しだけ、畏れ多いような気配が漂っていた。
(どうしよう……入ってもいいのかな……)
普通の観光客が迷い込むような場所ではない気がする。
引き返すべきかもしれない。
そう思いながらも、真琴の足は、まるで意思に反するかのように、鳥居へと向いていた。
ここまで導かれたのには、何か意味があるのかもしれない。
そして、心のどこかで、ここでなら、あの漠然とした苦しみから解放されるかもしれない、という淡い期待が生まれていた。
真琴は、鳥居の前で一度立ち止まり、見様見真似で軽く頭を下げた。
そして、意を決して、静かに境内へと足を踏み入れた。
鳥居をくぐった瞬間、空気がさらに澄み渡ったように感じた。
外の世界とは完全に隔絶されたような、深い静寂。
ひんやりとした空気が肌を撫でる。
境内は狭いが、古い木々が枝を伸ばし、柔らかな木漏れ日が地面に落ちていた。
土と苔の匂いが、微かに鼻をつく。
右手奥に、小さな手水舎を見つけた。
龍の口から流れ落ちる水は、驚くほど清らかで冷たい。
真琴は、作法もおぼつかないまま、柄杓で水を汲み、両手を清めた。
最後に手のひらに水を溜めて口を漱ぐと、冷たさが身体の中に染み渡り、少しだけ心が鎮まるような気がした。
改めて社殿を見る。
やはり人の気配はない。
扉は固く閉ざされているように見える。
どうすればいいのだろう。
ここで何かお願い事をすればいいのだろうか。
それとも、もう帰るべきなのだろうか。
途方に暮れ、社殿の前で立ち尽くしていた、その時だった。
するり――。
社殿の脇にひっそりと建っていた、社務所と思われる小さな建物の引き戸が、まるで誰かが内側から開けるかのように、音もなく、静かに横に滑った。
*****
するりと音もなく開いた社務所の引き戸。
真琴は、息をのんでその奥を見つめた。
薄暗い影の中から、ゆっくりと姿を現したのは、先ほどまでの不安や戸惑いを一瞬で吹き飛ばすほど、圧倒的な存在感を放つ人物だった。
(……きれい……)
それが、真琴の最初の感想だった。
男性とも女性とも、あるいは人間ですらないのかもしれないと思わせるような、中性的で、この世のものとは思えないほどの美しさ。
透き通るように白い肌に、長く切れ長の涼やかな目元。
腰まで届きそうな艶やかな黒髪は、結い上げられ、小さな金の冠のような髪飾りで留められている。
その髪飾りが、境内に差し込む午後の陽光を反射して、微かにきらめいた。
身に纏っているのは、白を基調とした、狩衣を現代的に仕立て直したかのような、流れるようなラインの装束。
清浄で、気品があり、けれどどこか近寄りがたい神聖な空気を纏っている。
そして、その人物の肩には、あの金色の冠羽を持つ尾長鶏が、まるで定位置であるかのように、静かに止まっていた。
「……!」
真琴は、声もなく立ち尽くした。
まるで美しい絵画か、あるいは夢を見ているかのようだ。
現実感が、急速に薄れていく。
肩に尾長鶏を乗せた人物――常世は、音もなく真琴の前まで歩み寄ると、深淵を覗き込むような、静かで凪いだ瞳で彼女を見つめた。
その視線に射すくめられ、真琴は金縛りにあったかのように動けない。
「ようこそ、縁結神社へ」
常世の声は、やはり穏やかで、透き通っていた。
しかし、その響きには、人の心を静かに落ち着かせると同時に、抗いがたい何かを感じさせる力があった。
「何か、お探しものでも?」
静かな問い。
しかし、常世の目は、真琴が言葉にするよりも前に、彼女の心の奥底をすべて見通しているかのようだった。
「あ……あの、私は、その……」
何か言わなければ。
でも、何を? 偶然迷い込んだだけだと言うべきか。
それとも、心の奥で願っていた、あの浅ましい望みを口にすべきか。
真琴がしどろもどろになっていると、常世は、ふ、と微かに口元を緩めた。
それは、やはり不思議な微笑みだった。
「お顔に書いてありますよ。『助けてほしい』と。そして、『楽になりたい』と。……満たされぬ思いが、あなたをここまで導いたのでしょう」
「……!」
やはり、見抜かれている。
仕事の苦しみ、自信のなさ、そして、楽をして成功したいという、心の弱さまで。
恥ずかしさと、それ以上に、この人なら本当に何とかしてくれるかもしれないという期待が、真琴の中でせめぎ合った。
「ここでは、様々な『縁』を結んでおります」
常世は続けた。
「良き縁を結びましょうか?」
その言葉は、抗いがたい響きをもって真琴の耳に届いた。
警戒心よりも、すがりつきたい気持ちが勝る。
真琴が、小さく頷こうとした、その時だった。
常世の肩の上の尾長鶏が、「コ、ココッ」と短く鳴き、常世の耳元に何かを囁くように嘴を寄せた。
常世はそれに静かに耳を傾け、そして小さく頷くと、再び真琴に向き直った。
「……なるほど。仕事の才、ですか。泉のように尽きぬ発想を、お望みと」
まるで、尾長鶏が真琴の心の声を伝えたかのように、常世は言い当てた。
真琴は、もう驚きを通り越して、呆然としていた。
この神社も、この神職も、この鶏も、全てが常識を超えている。
けれど、だからこそ、信じてみたいと思ってしまった。
*****
「仕事の才……泉のように尽きぬ発想を、お望みと」
常世の静かな声が、真琴の心の最も柔らかな部分に突き刺さった。
そうだ、それが私の、喉から手が出るほど欲しいもの。
恥ずかしさよりも、切実さが勝った。
「……はい」
真琴の声は、まだ少し震えていたが、先ほどよりははっきりとしていた。
「企画が、なかなか通らなくて……自分には才能がないんじゃないかって、いつも不安で……。どうしたら、もっと良いアイデアが出せるのか……自信が、欲しいんです」
言葉にすると、改めて自分の情けなさが身に染みた。
けれど、もう後戻りはできない気がした。
常世は、真琴の言葉を静かに受け止めると、「承知いたしました」と短く答えた。
そして、再び社務所の中へと姿を消し、すぐに小さな桐箱のようなものを持って現れた。
その所作は、どこまでも滑らかで、無駄がない。
桐箱が、真琴の目の前でゆっくりと開けられる。
中に敷かれた紫色の真綿の上に、一本の万年筆が恭しく置かれていた。
黒檀と思しき艶やかな軸、金色のペン先には精緻な雲のような模様が彫られている。
一目で、ただならぬ品だとわかる。
古いが、大切に手入れされてきたのだろう、不思議な生命力のようなものさえ感じられた。
「これには、知恵を司る神の一柱、思金神様の御分霊が、僅かながら宿っております」
常世は、万年筆にそっと指を触れながら言った。
その指先から、微かな光が放たれたように真琴には見えた。
「これを使えば、あなたの頭の中に、良き考えが泉のように湧き出で、尽きることはないでしょう。人々を感嘆させ、あなたに成功をもたらすはずです」
泉のように尽きぬ、良い考え。
成功。その言葉は、真琴の乾いた心に甘露のように染み渡った。
ゴクリと喉が鳴るのを、自分でも感じた。
「ただし」
常世の声が、静かだが有無を言わせぬ響きで、真琴の心を現実に引き戻した。
「神様の御力を借りるには、守っていただかねばならぬ約束事がございます。心して、お聞きなさい」
常世は、すっと背筋を伸ばし、真琴の目を真っ直ぐに見据えた。
その瞳の奥の輝きは、もはや人間のそれではないように思えた。
「一。この筆にて得た考えは、必ず、誰かの喜びや助けとなるためにのみ用いねばなりませぬ。己の欲や、ましてや他者を貶めるために使ってはなりませぬ」
「二。一日に浮かぶ良き考えは、ただ一つ。決して欲張ってはなりませぬ」
「三。この筆のこと、そして、この縁結神社のことは、決して他言してはなりませぬ」
一つ一つの言葉が、重く、真琴の胸に響く。
特に最初の約束事。
「誰かの喜びや助けのため」……それは、今の自分にできるだろうか? 自分のことで精一杯なのに。
「……もし、約束事を破ったら……どうなるんですか?」
不安に駆られ、尋ねずにはいられなかった。
「神様は、清浄を好まれ、偽りや私欲をお嫌いになります」
常世は、静かに、しかし厳しく言った。
「約束を違えれば、御力はたちまち失われるでしょう。それだけならまだしも……時には、神様のお怒りに触れ、良からぬことが起こるやもしれませぬ。全ては、あなたの心掛け次第。ゆめゆめ、お忘れなきよう」
その言葉には、軽い脅しなどではない、真実の重みが感じられた。
リスクはある。けれど、この苦しい現状から抜け出せるかもしれないという希望は、あまりにも魅力的だった。
真琴は、ぎゅっと唇を結び、覚悟を決めた。
「……わかりました。約束は、必ず守ります」
「結構です」
常世はわずかに頷くと、社殿の前にある古びた賽銭箱を顎で示した。
「では、御力をいただく対価を。あなた様の、真の心を」
真の心。
真琴は、バッグから財布を取り出した。
中には、旅行用に下ろした数枚の一万円札と、いくらかの千円札、そして小銭が入っている。
いくら入れるべきか。
迷った末、真琴は、今の自分の感謝と覚悟を示す気持ちとして、千円札を一枚、取り出した。
そして、賽銭箱の前に進み出て、静かに手を合わせ、お札をそっと滑り込ませた。
お札は、音もなく箱の闇に吸い込まれていった。
常世は、その様子をただ静かに見ているだけで、金額には一切触れなかった。
「確かに、お預かりいたしました」
常世は言うと、桐箱から万年筆を取り、両手で恭しく真琴に差し出した。
真琴は、息をのみ、震える指でそれを受け取った。
ずしり、とした重み。
そして、ひんやりとしているかと思いきや、手のひらにじんわりと伝わる不思議な温もり。こ
れが、神様の力が宿る万年筆……。
「さあ、お行きなさい。良き縁となりますように」
常世の静かな声に見送られ、真琴は深く一礼した。
肩の上の尾長鶏が、また一声、「コケッ!」と高く鳴いた。
その声は、今度は何か、未来への門出を祝うファンファーレのようにも、あるいは、これからの道のりへの警鐘のようにも聞こえた。
真琴は、万年筆を落とさないよう、壊さないよう、胸元でしっかりと抱きしめた。そして、夢と現実の境目が曖昧になったような、不思議な感覚のまま、一歩一歩、縁結神社の境内を後にする。
背後で、社務所の引き戸が、するすると音もなく閉まる気配がした。まるで、何事もなかったかのように。
後編は10分後。
面白い。
続きが気になる。
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