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第四章 ・頼慈 令恵SIDE②

 その結果が、今ここにある。

 Norind+0617は現在、陣地取り領域となっている江戸川区でも葛飾区でもなく、埼玉県三郷市の江戸川ライン野球場でSWOWに三時間前からログインしていたのだ。江戸川橋梁を破壊するインパクトに気を取られて、他のプレイヤーも他のエリアの仕掛けは気付かなかったようだ。もちろん梟ちゃんや、それだけでなくアナブナヴィリオ製薬もSWOW上の他県の事まで気が回らなったに違いない。

 濁流が『戦車』を飲み込み、その姿が見えなくなる。『戦車』の重量であれば、流される事はそうないだろう。しかし逆に、『戦車』の中の人である梟ちゃんには、相当きつい状況になっているはずだ。プレイヤーキャラクターが川に沈んだのであれば、その結果もプレイヤーに返る。息苦しさに、ログインし続けるのは難しい状況になるはずだ。

 でも、ログアウトだけは、自ら負けを認めるような事だけは、梟ちゃんはしないだろう。彼女の背負っているもの、想いの強さを考えれば、どんな事をしてもこの奔流から抜け出そうとするはずだ。フラッグの周りを飛んでいる装備品も、ここまで戻すまで息も続かないだろう。

 この激流から抜け出せないのは、ある意味重厚な装備品を身に着けているからで、逆に言えば装備品を変更すれば脱出することが出来る。装備品は弱体化させて、ポイントに変更する事が出来るのだ。分厚い装甲ではなく、水中で泳ぐのに適した装備品に変更すれば、梟ちゃんはこの状況から抜け出せる。

 もちろん、それを見越して、川下にはNoquez999とAnna_0083が待機している。すぐに装備品を元に戻せるかもしれないけれど、ダメージを与える隙は増えるし、頭部破壊も狙えるのだ。私たちが勝てる可能性が、格段に上がる。

 私も狙撃用に装備品を変更しようとした、その時。

 

 川が、爆発した。

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