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ノア~異世界BLファンタジー  作者: 夏目碧央
9/33

取りに行こう

 カフェが閉店になった後、レインは廊下をウロウロしていた。それをシルクが見かけて声を掛けた。

「レインさん、どうしたんですか?何か心配事でも?」

「ああ、シルクか。あの話、聞いたか?ラブフラワーの事。」

レインは立ち止まってそう言った。

「ああ、聞きましたよ。ラブフラワーって、高価なんでしょ?」

「そうだよ。欲しくたって僕たちには手に入らないよ、普通は。」

レインが言った。普通は、と少し語気を強めて言ったレインに、シルクはハッとした。

「レインさん、もしかして、手に入れたいの?」

そこへ、ダイヤがお風呂から出て歩いてきた。

「何の話ですか?」

頭をタオルで拭きながら、ダイヤが言う。

「ラブフラワーだよ。」

シルクが言った。

「えっ、レインさん、手に入れたいの?」

ダイヤが驚いてレインを見た。

「お前達、ちょっとこっちへおいで。」

レインは自分の部屋に二人を招き入れた。

「あのな、ラブフラワーは子供を作る道具だけど、それだけじゃないんだよ。」

レインが部屋に入るなり言った。

「どういう事?」

ダイヤが聞く。

「愛し合っている二人が育てると、実が成る。愛し合ってるかどうかが、あの花で分かるんだよ。」

レインが言った。

「レインさん、愛を確かめたいって事?」

シルクが言った。

「お前達は、確かめたくない?」

レインがいたずらっぽく笑って言った。

「た、確かめたい・・・かも。」

シルクが最後は弱々しく言った。シルクは不安なのである。あれから時々メタルは部屋に来てくれるのだが、メタル本人が言ったように、シルクが魅力的だから、ただ体を求められているだけなのかもしれない。最初はシルク自身がそれを望んだのに、いつしかメタルの本心が知りたくなっていた。愛があるのかどうか。

「僕は、分かってるし・・・。」

ダイヤも、最後は尻切れトンボだった。ハイドと自分は仲良しだ。大好き、と言えば僕も、と返してくれるハイド。だが、いかんせん年下だ。やっている事は子供同士の遊びばかり。ハイドの本当の心が分からないというのが正直な気持ちだった。ハイドは小さい頃に両親を亡くしている。仲良しの相手が欲しいだけで、恋愛ではないのではないか。その証拠に、恋人同士がするような事は、ほとんどしていない二人だった。ハイドが若いから、と思いつつ、自分からはなかなか積極的になれないダイヤ。実は欲求不満でもあったのだ。

「僕は、知りたいんだ。あいつ、全然手を出さないどころか、何も言ってくれないからさ。」

レインが言った。

「でも、今僕たちみんなに子供が出来たら大変じゃないですか?」

シルクが言った。

「そうですよ。僕らにはまだ早いって、レインさんいつも言ってるじゃん。」

ダイヤも言う。

「子供はまだ要らないよ。ラブフラワーは、愛し合う所を見せると実が成るんだけど、何度も見せないと子供にはならないんだ。一度だけ見せて、後は見せないようにすればいいんだよ。」

レインが言う。

「そうなんだ・・・。でも、見せないようにって、どうやって?」

シルクが言うと、

「簡単だよ。布をかぶせるとか、部屋の外に出しておくとかすればいいだろ?」

レインがしれっと言う。

「そういうもん?間違えて出来たりしない?」

ダイヤが言う。

「できちゃったら、みんなで育てりゃいいじゃん?」

レインがにこやかに言う。

「まあ、確かに・・・それで、どうするんですか?ラブフラワー、取りに行くんですか?」

シルクが言った。

「明日、トラックで運ばれちゃうんでしょ?」

ダイヤも言う。

「そう。だから、朝早くから取りに行こうかなーと思って。二人とも、一緒に行くか?」

レインがそう言うと、シルクとダイヤは力強く頷いた。


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