胸の傷
家に帰ってきた面々。もうすっかり夕暮れ時である。
「今日はサボっちゃったね。ごめんなさい。」
レインがみんなに頭を下げた。シルクとダイヤもまた揃って頭を下げる。
「無事で良かったです。さあ、今日はもう休みましょう。」
ロックがそう言った。それで解散という雰囲気になったところで、レインがロックの腕を掴んだ。
「あ、あのさ。僕、胸に傷が出来ちゃったから・・・薬塗ってくれない?」
他の面々は、部屋に戻りかけたものの、そのセリフが耳に入って動きを止めた。敢えて二人の方を見ないようにしているが、聞き耳だけは立てている。
「薬ですか?いいですよ、もちろん。」
意外にもロックはさらっと答える。
「じゃあ、僕の部屋に来て。」
レインがそう言うと、
「はい。じゃあ、薬を持って行きますね。」
ロックがそう答える。レインは先に部屋へ戻った。
ロックがリビングの棚の中から薬箱を出し、傷薬を探しているので、
「お前、分かってるのか?」
思わずメタルが言った。
「何がですか?」
薬を取り出したロックがメタルを見た。
「薬を塗るのは背中じゃないんだぞ。」
メタルが一言そう言った。
「え?」
ロックはきょとんとしている。
「胸、だぞ。」
メタルが更に言うと、ロックはハッとして目を見張った。
「まあ、行ってこい。しっかりやれよ。」
メタルはロックの背中をポンと叩いた。ロックはギクシャクした動作で、歩いて行った。
「僕も、胸に傷が出来ちゃったんだよなあ・・・ハイド、僕にも薬塗ってくれる?」
ダイヤがハイドに言うと、
「あ、でも、薬はロックさんが持って行っちゃったし。」
ハイドが言う。するとメタルが、
「薬なんてなくても、舐めときゃ治るって。」
と、横から言った。ちょっとニヤッとしながら。
「え・・・。」
ハイドはその場で硬直した。
「胸は、自分じゃ舐められないな。」
ダイヤがそう呟いてハイドを見る。ハイドの顔はみるみる真っ赤に。耳まで真っ赤になっている。
「うふふ。なーんだ、ラブフラワーなんて必要ないじゃん。」
少し離れたところで、シルクが笑って呟いた。
「で、お前の傷もだいぶ酷いよな。どうする?」
そんなシルクに、メタルが言った。
「あーあ、僕も胸にキズ作ろうかなー。」
アイルは独り言を言って、店を出て行った。アイルはこれからバースの元へ行くのであった。




