1 チュートリアル
「ようこそ、フレイヤ・オンラインへ」
ゲームを始めると目の前に女の私からみても美人な女性がいました。
あ、どうも初めまして。
私は、平凡な高校三年生の天宮麗華と申します。
受験勉強も終わり、大学入学が確定したので友人に誘われて最近流行りのフレイヤ・オンラインをしてみようと3万円も出してVRゴーグルとゲームパッケージを購入してログインしたところですね。
はい、現状整理おしまい!!
「えっと、もうゲームは始まっているのですか? いかんせん、私はこういうゲームをやったことがないものでして……。」
「そうなのですか? 最近はそういう方も増えてきて運営の方もお喜びです。」
優しい微笑みを向けながらそう言われるとドキッとしますね。
母性を感じるとかそんな感じでしょうか?
それより、NPCが軽々しく運営とか言っても大丈夫なのでしょうか?
「えっと、説明とかってしていただけますか?」
「はい、勿論です。」
そう言っていろいろ話してくれた。
実は話半分で聞いてて内容を覚えてないというわけではない。
断じてそうではない。
「実際に体験してみた方が宜しいと思いますよ?」
「あ、わかりました。」
「いい返事ですね。では体験するためにアバターの作成に取り掛かりましょうか。」
「わかりました。」
ちょうど良いタイミングで話を逸らして頂きました。
こう言うのは有難いですね。
空気が読めるNPCに感謝です。
「体格とか変更しますか?」
「いえ、髪の色だけ変えて頂ければ結構です。」
「そうですか。女性プレイヤーの方は結構顔を美形にしてくれと仰るので珍しいですね。」
「あー、最近は加工技術も一流らしいですからね。身長が10センチ程度変わっただけならば感覚的な誤差もほとんど無いのでしょう?」
「そうですね。一度やってみます?」
「いえ、遠慮しておきます。」
「そうですか。」
あっさりと、そう流すと私の目の前に髪の色が変わった私がいる。
鏡で見るのとは少し違った形でいろいろと興味深い。
「気になる点でもありましたか?」
「あ、いえ。少々興味深くて。」
「あー、そうですか。」
あっさり納得してくれた。
NPCなのに存外人間味がある。
私的には驚きだ。
いつの間にここまで技術は進歩していたのだろうか。
まぁ、普段私がやってるゲームはレトロな物だから技術の進歩を知らないのも仕方ないのかもしれないが。
「問題ないようでしたら次はステータスを決定しようと思います。」
「ステータス、ですか?」
「ええ、古今東西RPGによく出て来るあのステータスですよ。」
「それを自分で設定できるのですか?」
「全て、ではありませんが。」
「一度見せてもらえますか?」
「はい、どうぞ。」
そう言われて、私の目の前に現れたウィンドウをまじまじと見る。
最近のゲーム技術は素晴らしいですね。
非現実味はありますがこれが現実と思えるほどの精度です。
ん?
「はて、ステータスはまだ空欄ですけど……。」
「ええ、いろいろ説明しますのでまず名前を決めてください。」
「名前、ですか。」
現実の名前は色々問題がありますし多少もじったところですぐわかるでしょう。
あー、ですけどこれなら……。
そうですね。
「では、雅と登録してくださいません?」
「わかりました。」
名前の欄に雅と入りました。
へぇ。
このような感じなんですね。
私はあまりRPGジャンルはしない方なんですよね。
どちらかと言うと携帯端末での音ゲーとかの方をメインにしてるのでこう言うのはある意味新鮮です。
「他のステータスはどのように決めるのでしょう?」
「基本はサイコロを振って決めます。振りますか?」
「あ、いえ。そちらでお願いします。」
パッと見たところややこしそうなので大人しく任せることにします。
下手に首を突っ込むと面倒な事になることが多いので大人しく任せる事にします。
「完成いたしました。」
そう言われて、ウィンドウを見ると確かに色々追加されている。
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名前:雅
HP:13
MP:16
STR(筋力)13
CON(体力) 13
POW(精神力) 16
DEX(敏捷性) 10
INT(知性) 11
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「おー、たくさん増えましたね。」
「これが基本数値ですね。合計で七つありますね。」
まじまじと見つめてみます。
なんかざっくりしてる気がしなくもないですがおそらく気のせいでしょう。
平均で、12か13って所ですね。
「初期値的にこれはいい方なのですか?」
「平均的な方でしょうか? 詳しいことは言えませんが……。」
「そうなのですか。」
ランダムで決められましたので良くも悪くも平均程度ということですね。
「では、スキルを決めてもいいでしょうか?」
「ええ、どうぞ。」
そう言われてたのでステータス画面を見るとスキル選択画面になってました。
スクロールバーが随分小さくて初期で得られるスキルって結構な数あることがわかりますね。
「何個選べますか?」
「スキルポイントが許す限りいくらでも得られますよ。えーと、貴方のスキルポイントは……、110ポイントですね。」
「110ポイントですか。多いですね。」
「ですけど、獲得で10ポイント使いますし他の用途でも使用しますので数値の大きさは目安程度に思った方がよろしいと思いますよ?」
「はぁ。」
とりあえず、11個選びますか。
ん? ステータス用に残さないのかって?
めんどくさいのでそういうことは後で考えましょう。
「ふむふむ。」
興味深いのは鑑定、採掘、ですね。
ワールド系のRPGにおける必須スキルと言えるでしょう。
ほかに、高視力、暗視、精密動作、気配遮断、探知、空間把握、静止、逃げ足、護身術を選びましょう。
「こんなところですかね。」
「十一個ですか……、残す気ありませんよね?」
「はい(確固たる意志)」
やはりシンプルイズベストというものでしょう。
量は質を凌駕しますしね。
それは歴史が証明していますし。
「まぁ、良いでしょう。質問はございますか?」
「いえ、ありません。」
「そうですか。では、良い旅を。」
あ、名前を聞き忘れましたね。
この作品は基本、雅の一人称で進みます。