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3/3

お節介

「それは、私が聞きたいんだけど……」

 私がそういうと、シキは目を瞬かせた。

「君も、理由は知らないんだ」

「そうなんですよねぇ」

 さっぱりわからない。強いていうなら、平民であることくらいだろうか。


「やっぱり、平等なんて無理なのかな」

 シキも同じように考えたようで、そういった。

「そうかもね。……さてと」

 そろそろ課題に戻ろう。何と言っても、私の目標は好成績の維持! シキも単純にいじめられている子が物珍しかっただけだろうし、帰るだろう。

 けれど、黙々と資料を纏めている間も、シキはこちらを向いて座ったまま。帰ろうとしなかった。

「……どうしたの」

「なにが?」

「いや、帰らないのかなって」

 シキのグループは真面目そうな男子学生が多かったから、私の様に放課後に残る必要はないはずだ。


「……ああ、そのこと」

 シキは、頷くとぎい、と椅子を揺らした。

「こんな遅くまで残ってる女の子が、一人で帰ったら危ないでしょ」

 ――つまり。私の自惚れじゃなければ、シキは私を女子寮まで送ってくれるらしい。

「大丈夫だよ。……ほら、私光魔法が使えるし」

 魔物にもし襲われても平気だ。

「そういう、過信が一番の問題だよ。……いらないお節介なら、やめるけど」

 そういって、シキは横を向いてしまった。

「……じゃあ、お願いしても、いいかな。まだ、もう少し時間がかかりそうなんだけれど」

 

自分が世にも珍しい光魔法が使えて、ピンク頭という時点で覚悟はしていたけれど。正直言って、一人は寂しい。

誰でもいいから話し相手が欲しかった。


 私がお願いすると、シキは、ふわりと笑った。

「うん」

 おおー。美形さまの笑顔は破壊力があるなぁ。私がヒロインでなければ、ときめいているところだ。しかし、私は、ヒドインになる可能性があることを自覚したヒロイン。ここでうっかりときめいて、好きにでもなったりしてしまったら、面倒なことになるとわかってる。


 なので、煩悩退散、と頭の中で唱えながら、課題に集中した。


◇◇ ◇

「よし、課題終わりーっと」

 ん、と大きく伸びをする。できた課題は、なかなかいい出来、だと思う。

「……お疲れ様」

「ありがとう。あと、お待たせしちゃってごめんね」


 シキは、首を横に振ると、早く提出しておいで、と言ってくれたので、職員室に足を向ける。

「まさか――で、……が」

 職員室が何だか、騒がしい。

「どうする? だが、あの――」


 先生たちは会議をしているみたいだ。私が入り口でどうしようかと途方に暮れていると、担任の先生が気づいて、課題を受け取ってくれた。


 よし、これで、一件落着。女子寮に帰ろう。

「提出できた?」

「うん、できたよー。ありがとう」


 シキにお礼を言って、シキと帰る。初めて誰かと帰った帰り道は、なんだかとても新鮮に感じた。


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