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第98話 邪神イャルドラ編 王都へ向けて

監察官達から証明書を貰って、私達は馬車に乗って王都への旅に出る。

馬車とは古風な移動手段だか、初めてで心躍る部分もある。

「来たぜ。」「宜しく」

2人は宿屋にやって来た。

馬車は街の出口で定刻まで待機している。

4人で馬車のいるところまで移動して、馬車の運転手と数人乗り込む人達が集まっていた。


「王都まで4人、お願いしますね。」


「ああ、聞いてるぜ。

一人2000クレだ。」

やっぱりお金は取るのね。

お金を支払って馬車に乗り込む。

馬車は2連結で座席は一応クッションになっている。

私達は後方の馬車に乗った。

キャンピングカーみたいだ。

「2人には彼女の護衛をお願いしたいの。」

私とヤスハさんと並んで座って、護衛の2人に紹介した。


「彼女だけで良いのか?」


「ええ、私は自分で戦えるけど、彼女は一般人なので、彼女の護衛だけで大丈夫ですよ。」


「ルトル。楽な仕事ね。」

「そうだな、ミーナ。」

2人とも気楽な感じだ。


「ああ、言うの忘れてたんだけど。

私達邪神教団に狙われてるの。」


「なに!邪神教団だって!

聞いてないぞ。」

「ちょっとヤバイ奴らじゃん。」

邪神教団から狙われていると言うワードは2人にインパクトが強過ぎたか、一気に顔色が変わった。


「だから、今言ったでしょ。」


「おいおい。

狙われてるって何だよ。」


「まあ、いろいろあってね。

だから、気を抜かないでね。

ちなみに私は強いから守ってくれなくて大丈夫よ。」

ルトルとミーナは一気に緊張感を増した。

お金は貰ってるから最低限の仕事をする覚悟は出来たようだ。


「邪神教団とはな。

王都へは5日くらいかかるぜ。

何も無けりゃ良いけどな。」


「最初も言ったけど、彼女だけ守ってくれれば良いわ。

邪神教団の相手は私が纏めてするから。」


「わかった。」

馬車はそれなりに揺れる。

こう言う旅も悪く無い。

景色を見つつ長閑な時間が過ぎる。

教団が何か仕掛けてくるかは、探索を常にかけている。

途中、何箇所か町を経由する。

王都まで行くのは私達4人だけで、途中の町で希望があれば人を乗せるらしい。


一日中馬車に揺られて、最初の停泊する町に到着した。

2人は最初はビビっていたが、ここまで何もなく少し安心した顔をしている。

「トラットに着いたよ。」

運転手がドアを開けてくれた。


「トラットね。

宿屋を探しましょう。」

4人で宿屋にやって来た。

部屋割りは私とヤスハさんで一部屋、2人は別の部屋を自分達でとっていた。

部屋は別だが、2人を部屋に呼んで話をする事にした。

「そう言えば、2人の戦闘スタイル聞いてなかったけど、ルトルは剣士でミーナは魔法使いかしら。」


「そうだな。

剣士と魔法使いのコンビは多いからな。

俺たちもそんな感じだ。」

装備品はそれほど高そうなものでは無い。

剣も一般的な装備だし、ミーナの杖も特に大きな魔力は感じない。


「トモミはどんな戦闘スタイルなんだ。」


「私は基本は魔法剣士よ。」


「魔法剣士は珍しいな。

それは頼もしいな。」

この世界ではどんなジョブが存在するのか、王都にはどんな冒険者達が居るのか、出会えるのが待ち遠しい。


ヤスハさんを2人に預けて私は町に繰り出した。

初めて来る町はどんな物が売られていて、どんな人達が居るのか、とても興味深い。

それにしても邪神教団は特に行動を起こしてこない。

教皇は私に興味を示していたが、これ程何も無いと逆に気になるところだ。

先ずは王都に行って邪神教団とこの国の現状を知りたいところだ。


私は道具屋で道具類を見つつ、必要な物を買い足した。

その足で冒険者が集まると言えば、やはり酒場だろう。

道具屋の主人に場所を聞いて向かうと店の外まで賑やかな声が聞こえている店を見つけた。

どうやらここが酒場のようだ。


店の中を覗き込むとやはりタバコとお酒の匂いが充満していて、笑い声や怒鳴り声が店中に響いている。

この酒場にもカウンターがあり、そこに座ると店内は少し静かになり私に視線が集中している。

女性は他にも居るようだが、皆体格がしっかりしている。

私の様な細い線の女性はいないのだろう。

そんな事は特に気にする事なく。

「マスター。おすすめのお酒は何ですか?」

と初めてのところでは必ず聞く事にしている。

「待ってな。」

口髭を生やした中年のマスターは私の為に作り始めた。


「ボウデンだ。飲んでみな。」

琥珀色のそのお酒はとても美味しそうだ。


「とてもスッキリとしてるのに甘さもあるのね。」


「あんた冒険者かい?」


「ええ、今日この町に初めて来たの。」


「そうかい。仕事探してるのか?」


「王都に向かう途中なの。

私冒険者なりたてでわからないんだけど、仕事って何処で貰えるの?」


「何だ、知らないのか?

なりたてなら仕方ないか。

冒険者は案内所で仕事を貰えるぜ。」

案内所って所があるのか。

それは是非行ってみたい。

勉強になる事もあるかもしれない。


「よお!ねえちゃん。

一緒に飲まないか?」

マスターと話をしていると後ろから声をかけられた。

振り返るとガッチリとした体型の男性が数人立っていた。


「あら、ご馳走して貰えるかしら?」

冒険者達とのやり取りには慣れている。

ガザルに比べれば可愛い感じの男達だ。


「ああ、良いぜ。

あっちで飲もうぜ。」

カウンターから男性3人とテーブルに移動した。

まあ、私を酔わせるのが目的かも知れないが、冒険者と飲むといつもそいつらは私の恐ろしさを目の当たりにして来た。

残念ながら、私はお酒をどれほど飲んでも酔わない。

この事実を知った時、私と飲んで潰れなかった奴はいないのだ。


そして、30分後男達は私の勧めたお酒で酔い潰れてしまった。

情けない男達だ。


「飲み代はあの人達から貰ってね。」

カウンターのマスターにそう言うとマスターは笑顔で親指を立てて任せておけっと合図してくれたので、店を出て一旦宿屋に戻った。


次の日出発して、何日もかけて停泊を繰り返して、街道の先に大きな都市が見えてきた。

その街は高い城壁に囲まれていて、奥には立派なお城が聳え立つ。

街並みは石造りの家が見渡す限り広がり、この国の繁栄を象徴する景色だ。


王都に到着すると馬車は門を潜ってすんなり入ることができた。

証明書を確認されるくらいで特に止められる事もなく進んでいくと、馬車の待機所に着いた。


「2人ともありがとう。

これは謝礼の10000クレよ。

何事も無くて良かったわ。

またお願いするかも知れないけど。

その時は宜しくね。」

馬車を降りて2人に袋に入ったお金を渡した。

「こちらこそ、世話になったな。

最初はビビったけど。

何も無くて良かったよ。」

馬車で移動中もかなりビビってたからな。

邪神教団とは冒険者にも恐怖を与えかねない存在。

少し調査が必要だ。

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