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第97話 邪神イャルドラ編 監査を受ける

次の日の朝、宿屋にいると監督署から職員が早い時間に訪れた。

監察官と呼ばれる人達で2人の男性職員が私達を訪ねてきた。

私とヤスハさんは一階のロビーで2人に呼び出され話をする事になり、私は兎も角、ヤスハさんは少し怯えた表情を見せている。

予め、ヤスハさんにはアドバイスしている。

私の事はトモミと呼ぶ事、何を聞かれてもはいもしくはいいえで答える事。


「君たちは何処から来たのだ?」

年配の職員は私達に鋭い疑い目を向けている。

職業柄仕方がないのかも知れないが、良い気分ではない。


「北にある小さな町から来ました。

私は冒険者で彼女は私が宿泊した宿屋の娘さんです。

魔物の群れに襲われて何とかこの街に逃げて来ました。」


「北の町。

ダスメの里か?」


「ええ、そうです。」


「そうか。

邪神教団に反抗している勢力が拠点にしている街の事は承知している。

壊滅したのか。

残念な事だ。」


「はい。

私は一夜だけお世話になったのですが、とても親切にしていただいたのに、逃げるだけで精一杯で弔ってあげられませんでした。」


「うむ。

その事はこちらで対応してみるとして、冒険者と言ったな。

何処へ向かっていたのだ?」


「私は王都に向かう途中でした。

東から迂回して北の方に回って素材集めなどをしていました。

しかし、道に迷って仕舞って。」


「それで、町を見つけたと?」


「そうなんです。」

辻褄合わせは合わせられているはず。

冒険者にギルドが無いのは助かった。

所属などがあると嘘だとバレてしまう。


「ところで、彼女は宿屋の娘と言っていたが、何故彼女だけ助けたのだ?」


「丁度、彼女が料理を運んで来てくれた時に襲撃をされたので、こんな事を言うのは軽薄かもされませんが、たまたまなのです。」

監察官達は私の後ろのヤスハさんを覗き込んで疑いの目を向けている。


「それにしても、君は冒険者と言ったが、本当なのかね?

ひ弱そうだし、美人で可愛らしくて、この辺じゃ君のような冒険者は見た事がない。」

そう言いつつ2人の職員は私の事を舐めるように見てくる。


「勿論です。

こう見えてそこそこ冒険者としては強いんですよ。」

剣を見せたり、腕組みしてみたり、腰に両手を当てて自信満々で自己アピールを試みている。


「審査完了の書類を出しても良いんだがなぁ〜。

………、わかるよな?」

なるほど。

ただでは審査を通してくれないと言う事なのですね。


「一人5000クレで如何ですか?」

また素材を売れば何とかなるだろうから、これくらいの出費は仕方ない。


「一人10万クレで許してやるよ。」


「え?一人10万クレなんて、持ってないですよ。」

法外な金額をふっかけて来たな。

私達が払えないような金額を提示したとしか思えない。


「そうか。

俺たちも鬼じゃないからな。

他の払い方でも大丈夫だぞ。」

2人は私の横に立つと身体を上から下にと見ている。

そう言う事ね。

身体で払っても良いと言うことか。

それにしても気持ち悪い視線だ。


「わかりました。

私がお2人のご接待をさせていただきます。

なので、彼女の分もよろしくお願いしますね。」


「え?トモミさん?それは……。」


「あ、大丈夫ですよ。

気にしないで。」

泣きそうな顔でヤスハさんは私を見ている。


「さあ、お前の部屋で楽しませてくれよ。」

不安そうに見ているヤスハさんを残して宿屋の部屋に2人と一緒に入る。

朝からエロおじさんの相手をさせられるとは思わなかったなあ。

「さあ、服を脱ぎな。」


「慌てないで、優しくしてね。」

ゆっくりと服を脱いで、下着姿でベッドに座った。

男性2人も気持ち悪い笑みを浮かべながら、服を脱いでベッドに座る私の両側に座った。

「へへへ、今日はついてるな!

こんなに良い女にありつけるなんて。」

そう言うと私の身体に手を触れる。

「本当に優しくしてくださいね。」

そして、2人はベッドに私を押し倒した。


どれくらいの時間が過ぎただろう。

部屋のドアをゆっくりと開けてヤスハさんが入って来た。

「あ、あ、あのう。」

恐る恐るドアを開けている。


「あ、ヤスハさん。

良いわよ。入っても大丈夫よ。」

私は部屋にあるテーブルの椅子に下着だけの姿で座って飲み物を飲んでいた。


「え?あ、あれ?大丈夫ですか?」


「ええ、ほら男性2人ともベッドでいい夢を見てるわよ。」

男性2人はベッドでよく寝ている。


「え?これは…。」

部屋に入って来たヤスハは不思議な光景に言葉を失っている。


「まあ、おじさん2人は私の精神支配魔法で良い夢を見て貰ってます。

私とあんな事やこんな事やエロ親父が想像してる事を楽しんでるんだと思いますよ。

もうそろそろ目を覚まさせるので、ヤスハさんは下の休憩所で待ってて下さい。」

この後目を覚ましたら、多少の演技は必要になるけどね。

ヤスハさんは申し訳なさそうな顔で部屋を出ていった。


「さて、そろそろ良いかしら。」

でも、彼らのあれだけは最後やってあげないと満足して帰らないわね。

嫌だけど、やるしか無いか。

男性の満足と言えばあれしか無い。

2人をベッドと座らせて……。


精神支配魔法を解いて彼らに出すものを私の身体のお腹辺りに出させると2人は満足そうにベッドに倒れ込んだ。

「満足出来ましたか?」


「ああ、凄く良かったぞ。」

2人は服を来て書類を置いて部屋を出て行った。

私は汚れて仕舞った身体を部屋の浴室で洗って部屋に戻るとヤスハさんが戻って来た。


「聖女様。

申し訳ありません。

辛い想いをされてしまって。」

顔を見ると涙を流して酷い事になっている。


「大丈夫ですよ。

あれくらいで書類書いてもられるなら楽で良いと思いますけど。

若くてカッコいい人なら魔法使わなくても良かったのになぁ。

と思ったくらいです。」

本当に暫くぶりに素敵な男性と身体のお付き合いでも出来たら良いのにと思っている。

欲求不満気味なんだなぁ。


「逞しいですね。」


「だって、良い男なら仲良くなりたいとか思うでしょ?

久しく男女の交わりも無いし。

仕事が忙しいせいね。

そうよ。

彼氏が出来ないのも仕事のせい。」

考えると不満ばかり溢れ出る。


「この書類があれば邪神教団とは無縁である事が証明されましたから、大手を振って歩けますよ。」

そろそろ王都に出発する準備をして、冒険者2人と合流して馬車に揺られて旅といきますか。

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