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第8話 アドバイザーの研修が始まります。

着替え終えて更衣室を出て事務所に入ると、これから仕事を始めるのだと気持ちが引き締まる。

この日の事を私は忘れる事は無いだろう。

この景色もこの緊張感も何は慣れてしまって懐かしい思い出になってしまうかもしれないが。


5人が事務所に揃うとギルドマスターのアゼルさんが私たちが着替えるのを待っていてくれた様子で、部屋の外にいてくれた。

5人が揃うと私たちの姿をチェックしている様だ。


「皆さん制服とてもお似合いですよ。

それではギルド内を案内します。」

事務所には私達の机も用意されていた。

私達は一番入り口に近い所に5人分の机が並べられていた。

新人は入り口に近く、ランクが高いほど奥に机が配置される。

事務所には沢山のアドバイザーさん達が自分の机で仕事をしている

私にはまだ何をされているのかは全く分からなかった。


事務所を出ると実際にクエストを冒険者達に依頼するモニターとクエストの発行から完了受付のカウンター。

常時10人のカウンター席があり交代で担当する。


皆んな説明を聞いて圧倒されているのか、言葉も無く大人しい。


「ギルド内は大体こんな所かな。

今から貴方達の先生となるアドバイザーを紹介します。」

再び事務所に戻るとギルドマスターは何人かのアドバイザーに声を掛けている。


「今日から皆さんの先生として、指導に当たるアドバイザーを紹介します。

ギルド内では、皆さんの名前表示はユウミ・サトウという具合になりますので慣れる様に。

ユウミさんの担当はシルバーアドバイザーのサラサ・ビルダ。

リホ・キミズカさんの担当はシルバーアドバイザーのマリア・アーガス。

チエミ・カガさんの担当はシルバーアドバイザーのルミナ・シルベス。

アサミ・クロカワさんの担当はシルバーアドバイザーのアリア・クロウジット。」

各担当者が名前を呼ばれると笑顔でよろしくお願いしますと言うと皆んなも挨拶を交わしている。

そして、私の担当される方が最後に紹介される。


「トモミ・キサラギさんの担当はシルバーアドバイザーのルナ・マドラス。」

ギルドマスターのアゼルさんが紹介してくれた女性は茶色い髪色にショートヘアーがとてもお似合いの可愛く、笑顔で微笑んでくれている。


「トモミさん。

よろしくお願いします。」


「はい。

よろしくお願いします。」

私多分緊張して顔が強張っているかもしれない。

それに比べて、ルナさんの笑顔はとても自然で素敵だ。


「私はこの仕事を始めて3年になります。

年齢は29歳、生まれも育ちもここハンクルム。

この街の事なら何でも知ってるからいろいろ教えるね。

まだまだ未熟だけど、トモミさんがブロンズアドバイザーとして自立できる様に精一杯やらせて貰います。

分からない事や不安な事は遠慮なく聞いてね。」


「はい。

よろしくお願いします。」

実際やる前から不安しかない。

先ずはこの職場の雰囲気に慣れないと。


「今日は私に付いて仕事の流れを見てね。

それとアドバイザーは笑顔大事だから、自然な笑顔出来る様に意識してね。

あと、年功序列では無いけど新人さんは挨拶しっかりね。

生活態度もアドバイザーの審査に入ってるから。」


「はい。

わかりました。

挨拶と自然な笑顔ですね。

意識します。」

生活態度もアドバイザーの審査されてるんだ。

まだ一日目だけど、常に意識していかないとダメだな。


「そんなに緊張しないで。

トモミさんは可愛いから人気出るよきっと。

意識するのは必要だけど、硬くならない様にね。」


言葉の一つ一つが今の私には勉強になる。

サービス業の経験はシップのバイトくらいしか無いけど、笑顔は意識して出来ていたと思うから、慣れれば出来る気がする。

後は皆さんに可愛がって貰うために挨拶はしっかりしないと。


この日はルナさんの仕事を見学して気になる事を聞いたり教えられたり、メモも取りつつ出勤初日が終わった。

夕方仕事が終わる頃には気疲れして体力的にはキツく無いけど怠さが強い。

初日は5人で電車で家まで帰ったが、全員が会話も無く疲れきっている。


部屋に戻ってシャワー浴びてベッドに横になると、疲れていたのか寝てしまっていた。

起きると1時間くらい時間が過ぎていて、外は暗くなっていた。

お腹も空いたのでリビングに行くと、部屋は真っ暗で誰も居ない。

皆んな疲れて私みたいに寝てしまったのかもしれない。


リビングの横のキッチンにある冷蔵庫を覗くと、食材が支給されていた。

そう言えば大使館の中川さんがここ一週間分の食材は手配してあるので、使ってくれと言ってたな。

ありがたく使わせて貰います。


という事で、一番先にここに来た私が料理しますよ。

母親からも習ったし、一人暮らしも長かったし、料理は好きなのでよく作ってた。

食材はこの世界の野菜が入ってる。

肉は豚と牛肉と鶏肉がある。

この世界でも同じなのは驚きだ。

米もあるから炊飯器でお米を炊いて、副菜は野菜を温野菜にして、メインはタンパク質取った方が良いから鶏肉で唐揚げ作ろう。

後はスープを作ってと。


料理はいろいろ気持ちの整理をしたい時にしたりする。

野菜を切ったりすると無心になれる。


「うわぁ、いい匂い。」

悠美さんが現れた。


「もう直ぐ出来るので皆んなを呼んできて貰って良いですか?」


「わかった。」


料理がテーブルに並ぶと全員が集まった。

自然と好きな所に座ると。


「朋美さん。

食事の用意ありがとうございます。」

嬉しそうに麻美さんが料理を眺めている。


「さあ、美味しいかは保証できませんが、食べましょ。」

食欲はあまり無さそうだが、明日から本格的に仕事が始まる。

食べて元気を出して欲しい。


「朋美さん。

ありがとう。」

智恵美さんも悠美さんも里穂さんもお礼を言いつつ少し笑顔が出た。


「食べて元気を出して。

明日から仕事も頑張らないといけないから。

皆んなでブロンズアドバイザーになりたいし。

お互い助け合っていきたいです。」

私はこの5人で揃ってブロンズアドバイザーになりたい。

同期っていつまでも自分たちの存在を分かり合えるものだから。


「そうね。

朋美さんの言う通り一緒にブロンズアドバイザーになりたい。」

悠美さんが元気よく立ち上がって皆んなに呼びかける様に言葉を発した。


「うん。

私も」

皆が同じ気持ちだった。

そして、美味しく食事を食べて仕事の事やこれからの事を語り合った。

私達は毎日を一緒に積み重ねて行くに違いない。

楽しい事も辛い事も、時には喧嘩もするかも知らない。

だけど、違う世界で不安も喜びも分かち合える存在になりつつあった。


それから1ヶ月先輩アドバイザーに付いて教えられながらいろいろな事を学んだ。

時には悩み、泣いた事も何度もある。

だが、確実に私達は成長した。

先輩からも応援されつつ、ブロンズアドバイザー試験が始まろうとしていた。


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