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第7話 冒険者ギルド受付嬢研修開始です。

ゲートの運用に政府は多額の予算を注ぎ込んでいる。

そもそも、ゲートは何の前触れも無く出現した。

発見されたのは全世界同時期で、どの国も発見した場所に施設を建設、そのコントロールにかなりの年月と費用を費やした。

そのお陰で私達は異世界で仕事ができる様になった。

ゲートを通って私達5人は何処かの部屋に出てきた。

部屋には数人の人が何かの装置に集まっている。


「お待ちしておりました。」

周りの事に気を取られて気が付かなかったが、目の前には1人のサラリーマン風の男性が立っていた。


「こんにちは。」

私は軽くお辞儀をして挨拶をした。

私に続いて皆んなも挨拶をして、その男性も気持ち良く挨拶をしてくれた。


「私はアデイスタルト連邦公国日本大使館異世界就職大使の中川功と申します。

今日から皆様のサポートをさせて頂きます。

お困りの際は私にご相談ください。」


話には聞いていたけど、異世界には日本大使館がある。

異世界も海外と同様の扱いとなっている。

今は少なくなったが、不安定な世界も多い為ゲートの管理と合わせて国民の安全を守る為に彼らは働いてくれている。


大使館で詳しくこの世界の状況や国の状況を聞いた。

今は魔王や魔族の動きは穏やかで首都アステルブルクは人口500万人を超える近代的な大都会で私達が働く街ハンクルムは首都から電車で1時間程の2万人都市。

都市としては中クラスの比較的都会の街である。


ハンクルム冒険者ギルドは毎日100人近くの冒険者が利用している。

受付嬢のアドバイザーは50人ほどでゴールドからブロンズまで冒険者ランクによって割り当てられる。

私達は先輩アドバイザーに付いて研修を行う。


「今日は1ヶ月研修の間皆さんが住まわれる場所を案内させて頂いて、その後冒険者ギルドに案内致します。」

大使館の中を中川さんに案内されて、説明を受け外に出て10人ほど乗れる車に乗り込むと暫く生活の拠点となる場所に向かった。

住まいはシェアハウスで、とても綺麗で新しい建物で中に入ると白を基調にした綺麗な室内だった。


「うゎぁ、凄く綺麗。」

部屋の様子に里穂さんはテンションが上がっている。


「とても素敵な場所だけど、家賃はかかるのかしら?」

悠美さんがリアルな疑問を中川さんに問いかけた。


「家賃は掛かりませんよ。

異世界転職者用の施設で国が管理する場所ですから。」

税金が使われてるのですね。

大事に使わせていただきます。


それぞれの部屋の鍵を受け取ると、私も自分の部屋に荷物を置く次いでに様子を伺う事にした。


鍵を開けると部屋は結構広くて、12畳ほどで壁掛けのフイルムテレビモニター、衣装箪笥にウォーキングクローゼット、冷蔵庫、テーブルと椅子など必要な物は大体揃っている。

部屋にシャワールームとトイレもある。

浴室は部屋とは別にあるが、シャワールームがあるのは有難い。

部屋は白い壁で明るい。

とても素敵な部屋だ。


部屋に荷物を置いて必要な物はバッグに入れて、リビングへ移動した。

リビングは大画面の壁掛けテレビがあり、大人数が座れるテーブルと椅子、そして直ぐ横にはキッチンがある。

キッチンはシェアする形で、みんなで楽しく料理が出来たら楽しそうだ。


「朋美さん。素敵な部屋だったね。」

リビングにはソファもあって座ってみると、とても立派で座り心地も良い。

そんな時に里穂さんがリビングにやって来た。


「うん。

とっても素敵な部屋でしたね。

それにリビングも素敵ですよ。」

里穂さんもソファに腰掛けると座り心地を確かめている。


「あら、2人は仲良さそうね。」

悠美さんがリビングにやって来た。


「あれ、何何、楽しそうね。」

智恵美さんと麻美さんもやって来ると全員がソファに腰かけた。

それぞれが楽しそうに話し合っている。


「それでは冒険者ギルドに向かいますが、宜しいですか?」

住む場所もいろいろ楽しそうだが、本来の目的である仕事場に向かわなくては。

私達は観光に来たわけでは無い。

仕事をしに来たのだ。


「はい。」

全員が立ち上がると外に出た。

冒険者ギルドまではここから電車で移動する。

実際に朝起きたら通勤手段は2つある。

一つは電車、もう一つは車だ。

車は一台で共用で使う。

日本の運転免許が有れば運転できるし、構造も操作も同じだ。

その時の勤務によって変えても良いそうだ。


先ずは電車で移動する。

住まいの近く、歩いて2分ほどの場所に駅がある。

地下鉄で日本の電車と変わらない。

料金などはステータスボードを通してやり取りできる。

給料もステータスボードに電子マネーとして支給される。

銀行でお金を出す時もステータスボードを使う。

つまりステータスボードはこの世界では万能器具なのである。

あらゆるサービスもステータスボードを使って受けられる。


電車で15分程すると冒険者ギルドの最寄駅についた。

地下から地上に出ると街の中心地区らしい賑やかな場所に出た。

高いビルや車や建物が目に飛び込んでくる。

駅の直ぐ目の前に冒険者ギルドはあった。


建物は高いビルの一階にあって入り口にギルドの紋章が描かれている。

此処が私達の職場になる。

皆んなの顔は否応なしに緊張している。

私もその1人だ。


中に入る冒険者達で賑わっている。

近代的な施設には不釣り合いな防具や剣、斧、槍、弓や銃などが見える。

施設の空間は高い天井に黒を基調としたシックな造りでとても綺麗な所だ。


「いらっしゃい。ハンクルムのギルドマスター。

アゼルです。」

中川さんに連れられて歩いて行くと1人の若い男性が立っていた。

男性は金髪で全体的にパーマが掛かったヘアースタイルが印象的だ。

目は切長でイケメンである。

歳の頃は30代前半位か。


「よろしくお願いします。」

全員で挨拶をした。


中川さんには、此処まで連れて来てくれたことのお礼を言って連絡先だけ頂いてお別れした。

私達はギルドマスターのアゼルさんに連れられて奥の事務所に入った。

事務所には沢山の机があり、奥行きもかなり広い。

恐らくこの中に私達が使う机もあるのだろう。


「さて、今日はギルドを案内して、君たちの先生となるアドバイザーに紹介して、その後は先生の指示に従ってください。

先ずは制服に着替えて下さい。

ロッカーはそこのドアの奥です。

各々のロッカーがあるので、名前を確認して着替えて下さい。」


「はい。」

奥のドアを開けると休憩室の様な場所があり、その奥に更衣室があった。

更衣室に入るとロッカーがギッシリと並んでいて、自分の名前を探した。


「あ、あった!」

思わず皆んな声を挙げている。

私も同じく声に出してしまった。


ロッカーで制服に着替えると、これから此処で働くという事の実感が湧いて来て、一気に緊張で胸が高鳴るのを感じる。

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