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第2話 受付嬢の面接に行きます。

職安で異世界転職先の冒険者ギルド受付嬢の仕事を紹介してもらった。

給料は月給で25万円。

週休2日制で半年勤務すると10日有給休暇が取得できる。

年に2回の賞与もある。

冒険者ギルドの労働組合もあって、労働条件は良いものを選んだ。

学歴や経験も問われない。

合格すると異世界への就職条件として国の機関で覚醒促進剤の注射とワクチン接種が義務付けられている。

覚醒促進剤とは、自分の意識下に眠っている能力やスキルを薬で覚醒させるもので、異世界は危険な場所も多いので対応する為に能力の覚醒は必要だとされている。


先ずは受付嬢の面接に合格しないと始まらない。


面接日は今度の土曜日。

朝の9時に職業安定所の2階会議室で行われる。

会社の同僚達にはまだ話して居ない。

何と無く異世界転職なんて恥ずかしくて言えない。


そして、土曜日の朝。

大学の就活以来のリクルートスーツを着て職業安定所に向かった。

電車に乗って30分程の間、心臓はドキドキして緊張が高まってくる。


職業安定所の2階に階段で上がると30人くらいの女性達が集まっている。

面接者の為の待合室があって、その室内には更に多くの人が来ていた。

募集人数は5人。

今回新しい冒険者ギルドの立ち上げという事で募集人数が多いとの事だった。


面接の順番は25人目。

時間は1時間ほど待たされた。


「如月さん。どうぞ。」


「はい。」

自分の名前が呼ばれると更に緊張感が増す。


ドアをノックして入ると、面接官は5人の男性で長テーブルに座って私の方を一斉に見られると緊張は最高潮に達する。


「如月朋美さんですね。

どうぞ、お座りください。」


部屋の真ん中には椅子が置かれて居て、そこに座る様に促された。

私はゆっくりと椅子に座ると面接官と向かい合う形になると、面接官達は何かの資料に目を通し始めた。


「今回冒険者ギルドの受付嬢にご応募頂いてありがとうございます。

幾つか質問をさせていただきますが、緊張せずリラックスして答えてください。」


「はい。

わかりました。」

緊張せずにと言われても緊張はしてしまう。

恐らく顔は強張っているに違いない。


「冒険者ギルドについてどれくらいの事を理解してますか?」


「はい。

冒険者ギルドの受付嬢は冒険者のランクに合わせてクエストの準備と紹介をします。

冒険者はベテランも居れば新人の方も居ますので、新人の冒険者にはアドバイスなども行います。

冒険者のステータスプレートを受け取り、クエストの発行、完了の受付と報酬の支払い、ランクアップされている場合は更新なども重要な仕事です。

冒険者のクエストに応じて希望がある場合はチームパーティー編成もお手伝いや紹介をします。

より安全に確実なクエスト完了をサポートする事が最優先で重要な事です。

あと、冒険者の心のケアも重要ですよね?」


冒険者ギルドの受付嬢に関する事は勉強をして来た。

完璧な答えかどうかはわからないが言いたい事は話せたと思う。


「なるほど。

では、受付嬢になる意気込みと、今の心境をお話ください。」


「はい。

私は冒険者さんが安心して任せられる受付嬢になります。

そして、クエストから帰ってきた冒険者さんにはおかえりなさいと笑顔で癒したいです。」


「わかりました。

ありがとうございました。

合格者には来週の月曜日午前中に電子メールでお知らせします。

お知らせが来なければ不合格だと思って下さい。

お疲れ様でした。」


面接は終わった。

来週月曜日にメールが来れば再就職先が決まる。

それまでは同僚達には内緒にしておこう。


部屋に戻ると緊張と疲労で、気がつくと眠ってしまっていた。


翌日、日曜日に高校からの親友の夏海とランチをするため出かけた。

店に着くと夏海は先に来ていて、席でスマホを触っている。


「おはよう。

待った?」


「おはよう朋美。

少し前に来たよ。」


椅子に座ると店員さんがやって来た。


彼女と同じ物を注文すると夏海が何か言いたそうに見ている。


「何?」


「朋美どうだったの?

面接は?」

夏海には唯一異世界転職の話をしていた。


「感触は分からないよ。

来週月曜日午前中にメールが来れば採用だって。」


「採用になったら、暫くはこっちに戻って来れないだろうね?」


「週末は休みだし、何時でも来れるとは思うけど。

ゲートの通行許可証は直ぐに発行されるらしいから。」


「そうなんだ。

じゃあ帰ってきたら連絡してね。」


「うん。

わかった。」


夏海とは不安な方も含めて話し込んでしまった。

次の日は仕事なので、夕方には別れて部屋に戻る事にした。

夏海の会社もAI導入を推進する方針が社員に告げられたそうだ。

自分もいつ異世界転職を案内されるか分からないのもあって私の動向が気になる様子だった。


月曜日会社に行って仕事をしているとスマホにメールが送られてきた。

冒険者ギルドからの合格メールだった。


「良かった〜。」

思わず言葉に出てしまった。


合格者は金曜日に職業安定所2階会議室に集合。

そこで、仕事の詳しい内容などが教えられる。

最終的な雇用契約書を交わした人には、制服の採寸がある。


私は応募した冒険者ギルドの受付嬢制服についてはチェック済みだ。

制服は冬服はジャケット、夏はベストに白のブラウス。

そして、黒のミニ丈プリーツスカート。

黒のショートブーツ。

とても可愛い制服で、昔のアイドルグループがデザインの元と成っているらしい。


金曜日までドキドキしながら仕事をこなして過ごした。

当日、職業安定所2階会議室に入ると4人の他の合格者が既に集まって居た。


4人とも同じ位の年代の女性だ。

仲良く成れると良いなぁ。

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