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第18話 白薔薇の聖女。

センター長に主任して1週間が経った。

毎日調査班の報告書はチェックされ、班長から報告されている。

私も全ての報告書に目を通して、班長の報告と照らし合わせている。

この日はプレジデント会合が開催される為、午前中で退社した。

一旦自宅に帰ってから着替えて出席する。

因みにこちらに就任するに当たり、私は住まいを購入した。

高級マンションがハンクルムセンターの近くにあったので、そちらを購入。

それと首都アステルブルクにもマンションを購入した。

プレジデント会合が首都アステルブルクで開催される事やファミリーの拠点が首都アステルブルクにある為、必要なので購入する事にしたのだ。


ノンストップの特急電車にプレジデント特権で乗車できる。

在来線で行くと3時間くらい掛かるが、特急だと1時間くらいで行ける。


首都アステルブルクはかなりの大都市だ。

東京と同じ位の規模だろう。

駅も規模が大きく迷ってしまいそうだ。

外に迎えの車が来ている筈なのだが。


「トモミ様。

お迎えに参りました。」

トモミ様の呼ばれ方は、何度聞いても慣れないなぁ。


「ありがとう、アイラ。」

ファミリーのSクラス冒険者でいつも車で迎えに来てくれる。


「白薔薇の居館には立ち寄られますか?」


「そうね。

まだ時間はあるしお願い。」

白薔薇の居館は私のファミリーの拠点の名前で、ファミリーの冒険者が集う場所になる。


ビジネス街のビルの合間に古い教会があったのを改築してファミリーの拠点とした。


「到着しました。」

車を降りると白薔薇の居館に入っていく。

リホームして壁は白く張り替えて、2階に床を張って二階建ての建物にした。

一階はファミリーメンバーの業務用スペースと休憩場にしている。

2階は私の部屋と私の側近である白薔薇三姫聖さんきせいの3部屋とSクラス冒険者以上のメンバー自室を完備している。


「トモミ様。

三姫聖がお待ちです。」

建物に入るとファミリー事務局のリサが私を待っていた様で入り口に立っていた。


「そうですか。

わかりました。」

三姫聖は私に次ぐ実力者で私が側近に任命した。

三姫聖筆頭はジャンヌ。

彼女は長剣の使い手で冒険者ランクはSSランク。

年齢は30歳で、神速や剣豪の極意、ライジングソードなど多彩な剣スキルを有する。

三姫聖2番手はケイト。

魔法が得意で上級召喚士、彼女もSSランク。

年齢は27歳で、超絶の召喚士や超絶魔道、ホーリーランスや聖のスターダストなど聖魔法を得意としている。

三姫聖3番手はマリーアンナ。

年齢は27歳で、双剣使い、SSランクだ。

素早さを得意とする双剣使いで、超速の双剣やライトニングバースト、神技の剣技など多彩な剣スキルを使う。


「トモミ様。

自室でお待ちください。

三姫聖を呼んで参ります。」

リサは私が自室に入るとドアを閉めて出て行った。


自室ではファミリーの冒険者からいろいろな承認待ちの案件が送られてきている。

一つ一つ目を通して行く、冒険者ランクに関する相談や人間関係まで幅広い内容だ。


コンコン!

「失礼致します。」


「どうぞ。」

最初に入ってきたのはジャンヌで白薔薇の装備に身を包み身長も私より高めでスタイルも抜群。

強さも兼ね揃えた女性だ。


「トモミ様。

プレジデント会合《アレースの宴》に行かれるのですよね?」

部屋にあるソファにジャンヌは腰掛けた。


「そうね。

行くけど、何かあるの?」

ファミリーの冒険者達が挙げてきた承認を見つつジャンヌの話を聞いている。


「勇者ファミリーの冒険者が私の部下に付き纏っているらしく、可能であれば勇者アピト殿に真意の程を確認して欲しいのです。」

勇者ファミリーは男性だけの集団で私の白薔薇の聖女は全員女性のファミリーになる。

冒険者同士のゴタゴタは多かれ少なかれ起こっている。

だか、ファミリーに所属している冒険者は規律があるので、揉め事はあまり起こらない。


「分かったわ。

それで、その娘は何をされたの?」


「クエストの妨害に日常でも付き纏われたりと目に余る行為を繰り返して、今はここで保護しつつ護衛をつけている始末。」

話はそこそこ深刻だな。

つまりストーカー行為を受けてるわけね。


「その娘を此処へ。

呼んできて。」


「わかりました。

お待ちください。」

ジャンヌは立ち上がると部屋を出て行った。


コンコン!

「入りますよ。」

ケイトとマリーアンナが部屋に入ってきた。


「これからアレースの宴に行くからついて来て。」

2人はソファに腰掛けた。


「そうですか。

わかりました。

それにしてもジャンヌは険しい表情でしたが、何かありましたか?」

入ってくる時に2人はすれ違ったようね。

マリーアンナとジャンヌはどちらかと言うと男らしい雰囲気があるが、ケイトは見た目だけなら女の子らしく可愛い。

ジャンヌの様子にケイトは心配しているのだろう、気丈なジャンヌは困った顔を見せる事が殆どない。


「まあね。

それはそうと、双璧の竜クエストはどうだったの?」

3人には危険度の高いクエストを依頼していた。

街から見えるサンラク山が見える。

活火山ではないが、カルデラに竜が2匹棲みついて貿易商の荷物を襲っていると言う事で向かわせていた。


「その件でしたら、完了しました。

竜はワイバーンで最近目撃の多い竜ですね。」


元々竜は街には近づかない場所で暮らしている筈だが。


コンコン!

「トモミ様。

連れて参りました。」

部屋のドアが開くとジャンヌと1人の女性が入ってきた。


「さあ、トモミ様に報告を。」

後ろで控えめにしている女性にジャンヌは私の前に行くように背中を押した。


「あ、は、はい。

ト、トモミ様。

お手を煩わす事になりまして、申し訳ありません。」

申し訳なさそうに腰も引けてゆっくりと近づいてきた。

緊張しているようだ。


「ナナカ!

トモミ様の前だぞ。

姿勢を正せ!」

モジモジしている女性の様子にイラついたのか、大きな声でジャンヌは叫んだ。


「は、はい。

申し訳ございません。」

女性もその声にびっくりして私のデスクの前で気をつけをして立ち直した。


「まあまあ、ジャンヌ。

それで勇者ファミリーの冒険者に何をされたの?」


「は、はい。

初めて会ったのはクエストを一緒に行って欲しいとギルドでデジタル掲示板を見てると声をかけられて、その時は4人でクエストに参加したのですが、その後から頻繁に連絡が来るようになってしまって、断っていたら嫌がらせをされるようになってしまったんです。

最初は悪口とかだったんですけど、クエストを妨害されたりとエスカレートして来て。

ジャンヌ様に相談しました。」

完全なストーカー行為ですね。

全く私の大事なファミリーにちょっかい出すとは。


「分かったわ。

貴女は何も心配しなくて良いのよ。

私が絶対守るから。

勇者ファミリーには私からその旨伝えるから、もう少し待ってて。」

まあ、自分のファミリーがそんな事をしていたと知れば、勇者アピト殿も除名か重い処分を下すでしょう。


「トモミ様。

こんな私の為にお忙しい身にご迷惑をお掛けして申し訳ありません。」

泣きながら深々と下げている。


「何も迷惑じゃないわよ。

私のファミリーの冒険者は家族だからね。

ナナカを守るのが私の使命だし、私やジャンヌを頼って欲しいわ。

どんどん迷惑をかけてあげてね。

特に上司のジャンヌにはね。

白薔薇の誓いを忘れないで。」

白薔薇の誓いとは、ファミリーの規律の事だ。

規律はファミリーよって違う。

私のファミリーは白薔薇の誓いと言う言葉で規律を作っている。

内容は、ファミリーは家族である。

どんな事があろうとも仲間を守る事、敬う事、敬意を払う事、お互いを尊敬する事、愛する事。

恋愛や他のファミリーとの接触を禁止しているファミリーもあるが、私の白薔薇の聖女は禁止していない。

これから勇者ファミリーは私のファミリーに手を出した事を後悔する事になるだろう。

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