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第103話 アイラの恋愛事情

アイラはドアをノックすると慌てた様子で私の部屋に入って来た。

その表情は真剣そのもの。

元々真面目な性格でふざけて笑っている所を見た事が無い子だが、今日はいつもに増して真剣な面持ちである。

「トモミ様。

あ、あのですね。

ご相談があります。」

勢いよく走って来たが、話し始めると顔を赤くしてモジモジし始めた。


「え?どうしたの?」


「トモミ様はガザル殿と仲が良い様に思うのですが、お付き合いされているのですか?」

なるほど、アイラはガザルの事が気になるのね。

この前の異世界での戦いで魅了されちゃったかしら?


「ガザルとは仲は良いけど、お付き合いはして無いわよ。」


「そ、そうですか。」

ほっとした様な可愛い顔を見せている。


「ガザルの事が気になるの?」


「え?あ、は、はい。

とても思いやりがあって優しくて、強くて逞しい人です。」

完全に女の顔になってるわね。


「私の事を好きと言ってるけど大丈夫なの?」


「それは私も存じております。」


「わかったわ。

私も応援するね。」


と言う事で、アイラの恋心を応援する企画を考えた。

早速、センターにガザルを呼び出した。

ガザルにはお願いしたい事があると伝えてある。

あいつは私がお願いすれば断る事はまず考えられない。


「お!トモミ来たぜ!

俺に頼みたい事って何だ?」

私がカウンター業務をしていると言い置いておいた時間通りに嬉しそうな顔で現れた。


「おはよう。

このクエストなんだけどね。

同行をお願いしたいの。」

クエスト情報をタブレットで表示するとガザルに見せるためにタブレットを渡した。


「グリニットダンジョンの調査か。

確か最近見たかったダンジョンだったな。」


「そうよ。

魔物の調査と階層攻略。

ガザルが大好きな内容でしょ?」


「そうだな。

それで、同行って事は誰かと行くって事だろう?」

クエストの内容を見終わってガザルは私にタブレットを返した。

察する通り同行者が居ますよ。

あなたを慕っている可愛い女の子が。


「ちなみに私は行かないから。

同行者は現地待ち合わせよ。

11時に到着するようにお願いね。」

後1時間後の待ち合わせ。

面倒見の良いガザルならすっぽかしたりはしないはずだ。


朝早く、アイラはセンターを訪ねて来た。

「トモミ様。

このクエストをガザル殿と行きたいと思ってるのですが。」

アイラには一緒にクエストを開く事を提案した。

提示されたのは最近発見されたダンジョンの調査。


「良いけど、何か理由があるの?」


「え?あ、あ、あのですね。

ネットで……、今話題なんです…。」

アイラ自分の携帯の画面を私に見せて、とても恥ずかしそうにしている。

画面を見ると、冒険者のネット投稿の画面で女性の冒険者だ。

その子が言うには、グリニットダンジョンに男女ペアで攻略に行くとその後交際に発展しているケースが多く報告されているらしい。


「へぇ〜、面白そうね。

アイラはこのジンクスにあやかりたい訳か〜。」


「い、いいえ。

あ、そうでは無く。

は、はい。

そうなんです。」

なんて可愛らしい事なんでしょう。

顔は真っ赤になっている。


今日のダンジョン調査はアイラとガザルの受注のみ。

2人水入らずでダンジョンを攻略てきるわね。


現地10時半に、私、アイラ・ベラルーシェはダンジョンに到着した。

ガザル殿とのダンジョン調査に緊張感を増している。

トモミ様に想いを寄せているのは、何度か話しを聞いているので知っているが、トモミ様はガザル殿には興味が無くて良かった。


私はここ数ヶ月でかなり髪を伸ばした。

憧れであるトモミの様に長い髪型にしたかったと言うのもある。

トモミ様の様に美人で可愛らしくも無いし、身長も少し低めで幼顔がコンプレックス。

それでも、大人っぽく見られたいが為に、髪を束ねてポニーテールにして来た。

普段はあまりしないメイクも頑張ってしてみた。

トモミ様からメイクのアドバイスも貰った。

後は、ガザル殿と何処まで仲良くなれるか。

今日からお付き合いをしたいとか、そんな事は望んでいない。

この30分、私の心臓の鼓動は忙しい。

11時になろうとしている。


「よお!」

時間通りにガザル殿は突然現れた。


「あ、よ、よろしくお願いします。」

突然現れてビックリしてしまった。

考え事をしていて接近に気が付かなかった。

ガザル殿は相変わらず大きな身体に立派な筋肉をしている。

背中の戦斧がカッコいい。

腕の筋肉と引き締まった身体。

私は筋肉質の男性が好きなのだ。

ガザル殿は私の理想の肉体美。


「ん?トモミんっとこの、え〜と。

そうだ。

アイラだな?」

何と言う事だろう。

トモミ様の援護に異世界で会っただけなのに。

名前を覚えていてくれたなんて。


「は、はい。

そうです。

よく私の名前を覚えたましたね?」


「この前は良い戦いっぷりだったからな。

トモミからも最近よく話は聞いてたしな。

立派だったぜ。」

褒められた。

私は頭の中が真っ白になってしまった。


「そ、そんな事……無いです。」

なんて嬉しいんだろう。

そんなに見られて居たなんてとても恥ずかしい。


「じゃあ、今日は頼むぜ。

調査班に話を聞きに行くか?」


「は、はい。

行きましょう。」

こんなにダンジョン調査で心が躍ることなどない。

思わず声が上ずってしまった。


調査班から情報を貰って、早速ダンジョンに入って行く。

「今回は30階層までの調査か。

それ程強い魔物も報告されたないな。

サクッとやるぞ。」


「はい。」

階層ごとに調査を行う。

一般的にはルートの点検が基本になる。

安全ルートが保全されているかは、重要な調査だ。


「そう言えば、何で俺を指名したんだ?」


「あ、そ、それは…トモミ様からダンジョンならガザル殿と聞いて居たからです。」

聞かれる事は想定していたが、いざ聞かれると本当の事は言えない。


「おお!よくわかってるじゃねぇか。」

この回答はガザル殿にとっては大満足だったようで、大喜びの大笑いをしている。


安全ルートを確認しながら、20階層までやって来た。

特に大きな戦闘もなく。

順調に進んでいる。

だが、ダンジョンとはいつ変貌するかわからない不安定な面もある。

油断は禁物だ。


「あのう。

ガザル殿はどんな女性が好みなのですか?」

こんなダンジョンで聴く様な事では無いが、これだけは聞いておきたい事を考えて来た。


「ん〜、そうだな。

一緒に居て安心できる女が好みだな。

冒険者をやってると中々縁が無いがな。」

安全な場所で休憩を取った。

ガザル殿とゆっくり話せる機会はそうそう無い。

聞きたい事は聞いておかなくてはならない。


「そうなんですね。

容姿とか気にするんですか?」


「ん〜、まあ、あまり気にしないな。

それよりハートだろう!通じ合うものがあるって言うやつだよ。

どうしたんだ?

俺の好みが気になるのか?」


「あ、ええ。

どうなのかなぁ〜って。」

やばい。

調子に乗って聞いてしまうといろいろバレてしまいそうだ。

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