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第102話 邪神イャルドラ編 希望の光

邪神イャルドラの種を飲み込んだアーリアは不完全な状態で邪神化してしまった。

私達は力を合わせて倒そうとしたが、アーリアの攻撃で私以外の仲間は倒れ込んでしまった。

アーリアの身体から発せられた黒い魔力は凝縮された負のエネルギー。

どうすれば倒せるのか、イザナミに解析させているが、光明が見えない。

邪神化したアーリアに声が届くとも思えない。

魔王も強かったが、邪神は腐っても神。

人間が倒せる根拠がない。

だが、やるしかない。

私は覇衣を剣に纏わせて神速で接近する。

剣でダメージは与えられるが、すぐに再生してしまう。

額にある目は常に私を見据えている。

もしかすると、あの目が弱点と言う事も考えられる。

高速で接近と攻撃を浴びせて、額の目に攻撃を浴びせる隙を窺っている。

攻撃も全く聞いている感じはなく、怯む事もない。

逆に黒い魔力が蔓の様に現れては私を捉えようと伸びてくる。

それを斬りながら、身体にもダメージを狙うのは常軌を逸している。


一旦、後ろに下がって間合いをとった。

「ふぅ〜。どうにもならないわね。」

邪神化したアーリアはまだ本気とは思えない。

『ライトニングボルト』電撃を放つと、額の目が魔法を吸い込んでしまった。

私は咄嗟に、しまったと後悔した。

『天罰』

邪神化したアーリアの瞳が光を放つと私に瞬間的に雷撃が浴びせられた。

「あぁぁ!」

何処から攻撃が飛んできたのか、分からないが確実に電撃を浴びせられた。

それも威力を増して。

魔法は使えない。

恐らく、魔法攻撃のカウンターだろう。

回避不能。

それが天罰と言う技なのだろう。


魔法攻撃が使えないのは私にとってはかなり痛手だ。

私が孕んだのを見て、アーリアは凄まじい形相で私に向かって移動してくる。

神速で何とかアーリアの鋭い爪の攻撃を避けた。


すると、何処からともなく誰かが現れて邪神化したアーリアに剣撃を放つとアーリアは数十メートル吹き飛ばされた。

「誰?」

私の目の前に青い鎧を身につけた男性が立っている。

「間に合ったか。

聖女殿。

後は俺に任せろ!

俺の名はロディアス。

勇者ロディアスだ。」

金色の髪にかなりのイケメンで整った目鼻立ち。

年齢は20台前半くらいだろうか。


「ロディアス〜、待ってよ。」

彼が来た方向から女性と男性数人が走ってくる。


「アリス!

身体強化!」


「もう、人使い荒いんだから!」

強化魔法をそのアリスという女性はロディアスに施した。


「聖女殿。

あれは邪神ですね。

もう大丈夫。

私が何とかします。」

そう言うと、ロディアスは立ち上がった邪神化したアーリアに斬りつける。


「聖女様。

大丈夫ですか?」

私の側にアリスが近寄って来た。


「ロディアスに任せておけば万事上手くいく。」

その後ろから初老の魔法使いが現れ。

「まったくよ〜、単独行動するなよ〜。」

若く黒髪の男性が、立派な槍を携えて現れた。


「マイク。

ロディアスの援護お願い!」

アリスの言葉に槍を持った青年マイクは神速で戦闘に参加した。

勇者ロディアスもマイクも見事な動きだ。


「聖女殿。

もう大丈夫。

我らが来ましたからな。

ロディアスは『気づきの神眼』を持っておってな。

相手の急所や弱点を瞬時に見抜く力を持っているのじゃ。

そして、何より強い!」


言葉通りロディアスはアーリアの両腕を切り捨てると何故か再生されない。

「あれは、勇者スキル『神撃の波紋』と言ったな、再生を出来なくしてしまうのじゃ。」

それにしても、流石は勇者と言う他ない動きと力強さ。

そして、邪神の額の目に剣を突き刺した。

「ロディアスの剣は聖剣エストリア。

邪悪なる物を滅する力がある。」

邪神化したアーリアは光の粒となって消滅していく。

圧倒的な強さの勇者ロディアスによってこの世界は救われた。


「聖女殿。

大丈夫か?」

剣を鞘に戻すとサッと私の前までやって来て、疲れ切ってしゃがみ込んでいる私に手を差し伸べた。

「はい。

助けて頂いてありがとうございます。」

ロディアスの手を取ると起き上がり頭を下げて礼を言った。


「聖女殿には相性の悪い相手だったな。」

あれ程の強敵を数分で倒してしまった。

何と言う強さだろう。

「魔法カウンターを使われて大変でした。」


「うむ。邪神と言っても本来の覚醒に至って居なくて良かった。

気配を感じて、急いで来たのだが、聖女殿に辛い戦いをさせてしまって申し訳ない。

邪神教団の動きはこちらでも監視して居たのだが、魔王軍の動きに警戒し過ぎた。

この世界の問題を異世界の聖女殿に任せる形になってしまって申し訳ない。」

何とも清々しい青年だろうか。

その言葉一つに力を感じる。

彼は申し訳なさそうに深く頭を下げた。

「いいえ、私が不甲斐なく申し訳ない気持ちです。」

私も深く頭を下げた。

「お仲間は大丈夫。

気を失っているだけだ。」

「ロディアス〜行くよ〜。」

離れたところからアリスが呼んでいる。


「俺の出番なしか〜。」

大きな槍を振り回してマイクは不機嫌そうに歩いている。


「聖女殿。

俺たちは行く。

また会える事を楽しみにしているぞ。」

そう言うと4人は何処かへ行ってしまった。

この世界にも勇者と言う希望の光がある事にホッとしている。


私は倒れているガザルやジャンヌ達の傷を癒した。

そして、王都に向った白薔薇の聖女ファミリーの皆んなと合流して、ジャンヌ達が通って来たゲートの位置まで移動した。

簡易的なゲートを発生させると皆んなで元の世界に帰って来た。


それから数週間の時間が流れた。

異世界への旅立ちと過酷な戦いが嘘の様な穏やかな日々が続いている。

魔王軍の幹部はまだ討伐されていない。

気を抜くのはまだ早そうだ。

「トモミ様〜!」

ジャンヌはあれ以来鍛錬に励んでいる。

時々、私を誘って対人戦の訓練をしている。

今までは魔物相手をする事が多かったが、いつ何処で人間同士の争いが起こるかもしれないから訓練すると息巻いている。

私は冒険者ギルドのアドバイザーと言う仕事に誇りを持っているし、毎日カウンターに立って冒険者達と向き合っているのはとても楽しい。

勇者アピトと言うと自分で勇者パーティを作り、魔王軍の幹部を追っかけている。

彼ならまだまだ強くなれる。

私はそう信じている。

そう言えば、異世界の勇者ロディアスは異次元の強さだった。

本来勇者とは世界の理から外れた存在と言われる。

彼はまさにその最たる強さで、スピードも攻撃も防御に至るまで、邪神化したアーリアを圧倒していた。

正直を言うと彼らの世界の勇者が倒してくれたのは良かったと思っている。

それが一番自然な事だからだ。

自分達の世界の問題は自分達で解決できる方がいい。


今日はファミリーの拠点に来ている。

「トモミ様。

ちょっと宜しいですか?」

真剣な面持ちのアイラが部屋に入って来た。


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