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第101話 邪神イャルドラ編 邪神復活

ガザルや白薔薇の聖女ファミリーの集結により、絶界の巫女アーリアと一対一で対峙する事ができる状況となった。

私とアーリアは空中で向き合った。


「私はあなたの事を良く知らない。

何故、邪神の復活を望むの?」


「私は神の使徒として、この世に生まれて来た。

神の言葉を人々に伝え、より良い方向へと国を導く事。

この世界の巫女とはそう言った存在なのだ。

だが、この世界は腐り切っている。

この廃墟の街は私の生まれた街だ。

何故こうなったと思う。

王国は私の存在を知る者を皆殺しにしたのだ。

我が物にしたいが為に。

私の力は絶大だった。

何者も私の前では無力。

王国はこの国だけでなく、世界を手に入れようと画策したのだ。

そんな時、邪神イャルドラについて知り、邪神は世界を混沌で滅ぼし再生する事を知った。

この世界はリセットされる。

それが私の望みなのだ。」

この街にはその様な経緯があったのか。

ヤスハさんも似た様な事を言っていた。

本当はアーリアを手に入れる為に滅ぼしたのか。


「アーリア。

邪神イャルドラがあなたの期待通りにこの世界を破壊して再生する保証はないわ。

それをあなたの意思だけで多くの命を犠牲にして良い道理が無い。

私の住む世界も紛争もある、日々殺し合ったりもしている。

醜い嫉妬や劣等感からくる犯罪もある。

だけど、それでも人々は平和を願い生きている。

人の良い所は互いに手を取り進んでいける事。

あなたにもその選択はあったはず。

恨みや憎しみから決して明るい未来は生まれない。

あなたの深い憎しみや悲しみは私には分からない。

平々凡々と生きて来た私には決して理解できない事かも知れない。

だから、気安く分かるとは言わない。

でも、深い悲しみを知るあなただからこそ人々により良い平和を見せられる。

私はそう思います。」


「緩いな聖女よ。

人はそんなに簡単に変わらない。

欲しい物があれば、他を押し除けてでも手に入れる。

私が国王を操り、より良い方向を示す事も可能だ。

だが、所詮は上辺だけの変化。

国王が死ねば、また違う結果があるだけの事。

それでは、未来は変わらない。

人の力ではどうする事も出来ないほどの変化が必要なのだ。」


「もしかして、神の声。

邪神の声に耳を傾けてしまったのですか?

それは危険で危うい聞いてはいけない声なのよ。」


「何不自由無く生きて来たお前に私の苦しみの何が分かる?

私が見て来た人の醜さ、虐げられた心、闇に堕ちたものの末路。

失望した。

聖女よ。

完全な邪神の復活は聖女で無くては成らないが、この世界を滅ぼす程度の邪神であれば、我が命でも叶う。」

そう言うと懐から何かを取り出して私に見せると、それは大きな種の様な物で、次の瞬間ギロっと種が真ん中から割れて大きな目が現れた。


「聖女よ。

お前が正しいと言うならば、邪神を止めるしか無い。」

アーリアは種を口から飲み込んだ。


「ダメよ!」

遅かった。

アーリアの身体から禍々しい黒いオーラが立ち昇りアーリアの額に種の目玉が現れた。

その瞬間、凄まじい威圧感と共に超重力の波動で地面に叩きつけられた。

「うっ!」

私を含めたその場に居る全員が身動き出来ないほどの重力を感じて地面に倒れ込んでいる。

邪神へと変貌したアーリアは教皇とその部下達の魔力を吸い取ると。

「ギャァ〜!!!!」

耳を貫く様な声をあげると、重量の波動が消えて、周囲から音が消え、空気が張り詰めた緊張感に包まれていた。


「おい!何だあいつは?」

私の元にガザルが駆け寄って来た。

教皇やその部下達から生命力を感じない。

恐らく魂をも吸い取ったに違いない。

「邪神に成りかけてるアーリアよ。」


「トモミ様。

あいつはヤバイですね。」

ジャンヌ達も駆け寄ってくる。

直感でヤバイのが分かる。

このままでは皆を危険な目に合わせてしまう。


「ジャンヌ。

良く聞いて。

皆んなを連れて王都に向かって。

何が起こるかわからないわ。

街の人達の護衛をお願い。」

邪神と化したアーリアからピリピリと痛いくらいの邪悪な波動が伝わってくる。

魔王など比べ物にならない程の威圧感。


「ケイト!

マリーアンナ!

アイラ!

部下を王都へ向かわせろ。

住民の警護だ。」

白薔薇の聖女ファミリーは王都に向かって走り出した。

その様子にアーリアは特に気にしていない。


「さて!

ガザルはどうする?」


「ああ?

メスゴリラもさっさと逃げろ!

俺はトモミを援護する。」


「ちょっと、皆んな王都に向かいなさい。

ここは危険よ!」

私は後ろで話しているガザルやジャンヌ達に声を荒げた。


「嫌です。

私共も一緒に戦います。」

ジャンヌ、ケイト、マリーアンナ、アイラは声を揃えたように発言した。


「俺も戦うぜ!」

ガザルも私の側にきて逃げる様子を見せない。


「何言ってるの?

あれは魔王なんて比べ物にならないくらいの強さよ。

私が死力を尽くしても倒せるか分からないわ。」


「だからです。

だから、私達も戦うのです。」

「お!珍しくメスゴリラと意見が一致したな!」

皆んなの目には全く恐怖も迷いも無かった。


「守ってあげられないからね。

自分で何とかしなさいよ。」

私の身体が震えている。

本能的に恐怖を感じている。


「トモミ様。

私達が仕掛けます。

その間に奴を倒せるだけの魔力を溜めて下さい。」

まず、アイラが右に走るとジャンヌも左に、ケイトとマリーアンナは右に移動した。

そして、ガザルもアーリアの正面から切り掛かる。


アイラはミラクルソードを展開アーリアに放った。

その間もアーリアは全く動かない。

ミラクルソードはアーリアの周りに展開して、ジャンヌ、ケイト、マリーアンナとガザルが渾身の一撃を繰り出した。

アーリアの周りには凄まじい爆発と砂埃が舞い。

普通であれば影も形も残らない程の攻撃だ。


だか、砂埃が晴れるとアーリアは無傷で表情一つ変える事なく立っている。


「傷すらつかないと言うのか?」

邪神としては不完全なアーリアだが、その力は絶大だ。

だが、全くダメージが無いわけではなさそうだ。

私が見た限り、超高速で再生したのだ。


「トモミ!

回復が間に合わなくなるくらいに連続で攻撃するぞ!」

ガザルは覇気を高めている。

「わかったわ。」

私も覇気を高めてアヌノヒトミと覇衣を展開。

全身から魔力が溢れ出す。

覇気は上々。


「行くわよ!皆んな!」

私も含めて魔法の攻撃や剣で斬りつける。

漸くアーリアはその場から動いて回避を始めた。

怒涛の如く、攻撃を浴びせる。


「疾風怒濤!我の前に敵無し!

『ファイナルスマッシュバースト』!」

ガザルは神速と全身のオーラと覇気と魔力を武器に纏わせて渾身の一撃を繰り出した。

アーリアは交わしたが、右腕が消し飛んだ。


誰もが勝てるかもしれないとその時一瞬感じた。

だが、それは甘かった。

アーリアは全身から黒い魔力を放出した。

黒い魔力はガザルの身体を貫き、ジャンヌやケイト達も巻き込んで貫く。

私は覇衣でガードしたが、全員数十メートル吹き飛ばされた。

私は立ち上がったが、他の皆んなは動かない。

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