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第100話 邪神イャルドラ編 絆の力

絶界の巫女アーリアの攻撃は私の痛覚無効の効果を無視して直接精神にダメージを与える攻撃だった。

激痛を浴びて地べたに這いつくばることなど、異世界に来て初めてのことかも知れない。

何とか、まだ意識を保っている。

冒険者になった時にガザルに言われた言葉が頭をよぎる。

スキルに頼っているとダメだと彼は言っていた。

スキルに頼るな、経験だ。

その通りだ。

私は自分のスキルに頼りすぎていたのかも知れない。

その顛末がこの始末だ。

激痛に耐えながら何とか立ち上がった。


空を見上げながら、ふと思った。

『何故私はこんな所で何をしているんだろう。』

異世界に仕事に来て、只普通に生活して楽しく過ごしたいと願っただけなのに。

気がつけば、魔王と戦い、今まさに最大の敵と対峙している。

こんな姿を両親が見たらショックで死んでしまうだろうなぁ。


この数時間前。

ギルドの技術開発部で働くエリサは白薔薇の聖女ファミリーの拠点を訪れていた。


事務局のリサを訪ねてやって来たのだ。


「あ、ギルドの技術開発部からやって来たエリサと言います。

ちょっとご相談があるのですが。」

事務局に恐る恐るエリサは入っていく。

「はい。

どのような件ですか?」

デスクで仕事をしていたリサは立ち上がって事務局のカウンターで対応した。


「実はトモミセンター長からの通信記録を見て欲しいんです。」


「トモミ様からの連絡ですね。

わかりました。

ちょっと幹部の者も呼びますので、お待ちください。」

そう言うと慌てた様子で電話を手に取ると誰かと話を始めた。

電話を切ると同時に事務局に数人忙しく入ってきた。


「トモミ様から連絡とはどう言うことだ?」

豪傑な女性と品のある女性が数人慌てて声も荒げている。


「ギルドのエリサさんが持って来たましたよ。」

カウンターの隅で少しビックリしているエリサに視線が集中する。


「これは失礼しました。

トモミ様から連絡があったのですか?」

「ジャンヌ。

トモミ様から連絡とは、あの方が連絡とは、ちょっと不安だぞ。」

「わかっている。

トモミ様は弱音を吐く方では無い。」

何人かが同時に会話してエリサは皆が混乱している状態度肝を抜かれている。


「あ、あのう!」

エリサの言葉に一同は沈黙した。

「トモミセンター長は今、この世界とは違う異世界に召喚されています。

そして、危険な状況です。

それを知らせに来ました。」

エリサの言葉に一同は驚いた顔をしている。


「おい!異世界とはどう言うことだ?

トモミ様が危険なのか?」

「ジャンヌまて!

異世界と言ったな、トモミ様は魔王軍幹部の討伐に向かわれているはずだが。」

「ケイト。

トモミ様は何かに巻き込まれたのだ。

慌てるな。」

もう何が何だかわからないほど幹部達は混乱している。


「あ、あのう!」

エリサの言葉に我に返り視線を向けられる。

「まあ、見てください。

トモミセンター長からの最後の通信です。」

エリサは通信記録をタブレットで再生した。

それはトモミの危機迫る表情を見ればあの聖女で魔王を倒した英雄が追い込まれている事がそこで見ている誰にしも伝わった。


「エリサ殿。

先ずは知らせてくれてありがとう。

それで、我らに何が出来る?」

ジャンヌは落ち着いてエリサに深々と頭を下げた。


「はい。

ゲートを使って助けに行く事は可能です。

どうしますか?」

真剣な面持ちでジャンヌ達は聞いていた。


「そんな事決まっている。

なあ?お前達!

トモミ様のピンチに我らが行かなくて誰が行くと言うのだ。」

その場の全員がジャンヌの言葉に大声で賛同の雄叫びを挙げた。


「それではゲートに来てください。

準備があるので30分後にお願いします。」


その足でエリサはセンターに戻った。

センターの中である男を探している。

冒険者達を掻き分けてその男を探し回った。


そして、私は絶界の巫女アーリアの攻撃だけは受けまいと交わしながら、防戦一方で体力もかなり消耗して来ていた。

アーリアの黒い雷撃は数回喰らっている。

身体中が激痛で意識を失いそうだ。

あと数回、攻撃を受けたら恐らく意識を失ってしまう。

何とか、数人の部下を倒したが、多勢に無勢。


そして、よろめいた瞬間アーリアの黒い雷撃を喰らってしまった。

その場に倒れ込んで身体が言う事を聞かない。

スキルが無ければ普通の女子。

良くここまでえげつない痛みに耐えたものだ。


そして、もうダメだと思ったその瞬間。

絶界の巫女アーリアは黒い雷撃を私に放った。


もうダメだと思ったが。

「ぐぅ!

これはえげつない痛みを与える魔法だな!

たが、この程度の痛み。

俺にはきかん!」

私の前に誰かが立ちはだかった。

ゆっくり見上げると私の前に立っているのは背を向けているガザルだ。

この背中は忘れない。

「おい!トモミ!

何だか、楽しい事に巻き込まれてるな。」

背を向けたままこちらを振り向いて笑顔を見せる。

何を笑ってるのよ。

緊張感が無いのね。


「もう!ガザル!遅い!」

私はスッと立ち上がるとガザルの背中を思いっきり叩いた。


「すまねえ!

迷子の子猫を探すクエストに手間取ったよ。

遅くなっちまった。」


「え?その猫見つかったの?」


「ああ!バッチリだ!」


「そうなんだ。

良かったわ。

来てくれて、ありがとう。」

肩に大きな斧を担いだガザルの隣に私は並んで立った。


「トモミ様〜!」

後ろを振り返るとジャンヌ達が私の元に駆け寄って来た。

見ると50人位を引き連れて来ている事に驚いた。

「ジャンヌ、ケイト、マリーアンナ、アイラ……。

皆んな来てくれたのね。

ありがとう。」

あまりにも嬉しくて感極まり涙が溢れる。

仲間の絆を強く感じている。


「メスゴリラがうるさくてよ。」


「ガサツな男に言われたく無いね。」

2人は私の隣でいがみ合っている。

『マスター。解析が終わりました。』

『イザナミ。ナイスタイミングよ。』

イザナミには絶界の巫女アーリアの黒い雷撃をずっと解析させていた。


「皆んな、私に力を貸して!」

私の聖女の覇衣がガザルや白薔薇の聖女ファミリーの仲間達を包む。

静かに目を閉じると。

『アルティメットティース』究極の絆。

イザナミは仲間達に絆の力を付与していく。

黒の雷撃無効。

精神操作無効。

状態異常無効。

マリオネットバリア。

限界突破。


「うぉ!!!!

きた〜!」

全員の身体が金色に光輝き始める。


「おい!トモミ。

あの化け物はお前に任せた!

後の雑魚は俺たちに任せろ!」


「トモミ様。

存分に戦って下さい。

周りの雑魚に手出しはさせません。」

そう言うとガザルとジャンヌ達はそれぞれ動き始めた。


相手も応戦が始まり、あちらこちらで戦いが始まった。


「絶界の巫女アーリア。

私達の絆の力を味わいなさい!」

私から爆発的なオーラが立ち昇り周囲を光に包んだ。

身体に受けた傷も全て回復して大地は光の絨毯のごとく輝いている。

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