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第10話 試験結果は。

ブロンズアドバイザーの試験が終わった。

私はギルドマスターアゼルさんの部屋に呼ばれてドアの前までやって来た。

このドアを開けて入れば試験合否が伝えられる。


コンコン!

ドアをノックした。


「どうぞ。」


ドアを開けると部屋の奥にある立派なデスクにアゼルさんは座っている


「トモミさん。

どうぞこちらに。」


「はい。」

私はアゼルさんの座るデスクの前に立った。


「試験の結果を伝える前に、この1ヶ月研修ご苦労様でした。

ルナさんからトモミさんの研修状況は毎日聞いていました。

本当に頑張り屋さんで努力家だと感心されていましたよ。」

毎日ルナ先輩は私の事を見てくれていた。

先輩からすれば当然なのかもしれないが、とても嬉しい。


「ありがとうございます。

皆さんのご指導があったからこそ、ここまで来れたと思っています。

先輩には良くして頂いてこの世界に来て不安だらけだった私は救われました。」

本当に皆さんに感謝だ。

初めは何も分からない事ばかりだったのに、こうして試験を受けれるまでに成長した。

これは先輩方のご指導のお陰であり、この感謝は忘れてはならないと思う。


「では、試験の結果を伝えます。

トモミ・キサラギは合格とする。

試験官満場一致の結果だ。

自分を誇りなさい。」


「はい。

ありがとうございます。」

合格だった。

自信は少しあった。

先輩の教えをしっかりやれば良いと信じていたから。

先ずは嬉しいの一言だ。


「さて、ブロンズアドバイザーのバッジを授与します。」

デスクからアゼルさんは立ち上がると私の前に来て制服の胸の所にブロンズアドバイザーの証であるバッジを付けてくれた。


「ありがとうございます。

これからこのバッジに恥じない様、謙虚で誠実に精進して参ります。」

何度も先輩に言われて来た自然な笑顔でアゼルさんに言葉を返した。


「期待してますよ。

では、ルナさんも心配しているでしょうから、先輩に先ずは報告して下さいね。」


「はい。

失礼いたします。」


自然と笑顔になってしまう。

誰かに認めて貰える事の素晴らしさ。

部屋の外にはその素晴らしさを教えてくれた先輩が待っていた。

先輩は私の笑顔を見て安心したのか私以上に笑顔になった。


「先輩。

合格しました。

ありがとうございました。」

先輩には最高の笑顔で感謝を伝えたかった。


「良かった〜。」

先輩はその場にへたり込んだ。


「先輩。

大丈夫ですか?」


「大丈夫よ。

トモミさんが合格するのは信じてたけど。

ダメね。

本人から聞いたら力抜ちゃった。」

本当に素晴らしい先輩に出会えたと実感してますよ。

私もルナ先輩の様に誰かを指導する事があるかもしれない。

その時はルナ先輩がしてくれた事をしてあげたい。


「ルナ先輩。

ブロンズアドバイザーになれました。

これからもよろしくお願いします。」

姿勢を正して先輩に深々と頭を下げた。

これまでの感謝も込めて。


「こちらこそ。

よろしくお願いします。

でも、来週には新しい配属先が決まると思うからまたいつか一緒に仕事出来る事を楽しみにしてるね。」

そうだった。

ブロンズアドバイザーになったら別の場所に配属になるのだった。

皆んなとも一旦別々に働く事になる。


「そうですね。

それまでにルナ先輩に会っても恥ずかしくないアドバイザーになりますので、期待しててください。」


「楽しみにしてるわ。

私も頑張らないとね。

トモミさんもこの先は実力次第で昇進は出来るから今度会う時はシルバーかゴールドに成ってるかもね。

楽しみだわ。」

ブロンズアドバイザーになる時は試験があるが、シルバー以上はギルドマスターの推薦と業績で昇進できる。

試験も筆記のみで早い人は一年くらいでシルバーやゴールドになる人も稀に居るそうだ。

私もその稀な人になりたい。


ルナ先輩と握手をして、ハグをした。


私が試験一番手。

他の皆んなはどうなんだろう。


「トモミさん。

ちょっと良い?」


「はい。」

ルナ先輩に連れられて事務所に向かった。

事務所に入るとアドバイザーの皆さんが立ち上がって私の方を見ている。


「第1562回生トモミ・キサラギさんがブロンズアドバイザーに合格致しました。

皆様!

新しい仲間に祝福をお願い致します。」

突然の先輩は私の前で大きな声で事務所に響き渡る声で私の事を皆さんに告げた。


「トモミさん。

おめでとうございます。」

皆さんが同時に私に祝福の拍手を送ってくれた。


「合格したら先生が合格を皆に告げて祝福をして貰うのがアドバイザーの習わしなのよ。」


「皆さん。

ありがとうございます。

これからよろしくお願いします。」

深々と頭を下げた。

拍手は暫く鳴り止まなかった。

皆素晴らしい笑顔で祝福してくれて、とても嬉しかった。


「それとまだ試験が終わってない人も居るからトモミさんは自分の席で待つ事。

他の子も合格したらここに来るから。

良いわね。」


「はい。」

試験者に影響が出ない様に事務所に連れてくるのだろう。

そして、合格したらここにいる人達と立場はもう一緒なのだという事なのだろう。


暫くして、事務所に先生であるサラサ先輩と共に悠美が入ってきた。

その目には涙が滲んでいる。


「第1562回生ユウミ・サトウがブロンズアドバイザーに合格致しました。

皆様。

新しい仲間に祝福をお願い致します。」

おめでとうと拍手喝采が起こった。


「悠美!」


「朋美!」

私達は抱き合って喜んだ。

人生でこれほど嬉しいと思った事はかつて無かったと思う。

悠美の合格が自分のことの様に嬉しかった。


そして、終わってみると全員が合格した。

事務所で全員が抱き合って喜んだ。

そんな5人に皆さんから祝福の声と拍手喝采が起こった。


無事に終わって私が提案した通り夜は外で食事をする事にした。

店は何とギルドマスターのアゼルさんの故意にしている店をアゼルのご好意で予約してくださった。

楽しい夜となった。

食べ物は美味しいし、お酒も入って皆んなと更に一つになれた気がした。


「来週には別々に配属だね。

でも、こうして集まろうよ。

同期の女子会を絶対やろうよ。」

私がそんな事を言わなくてもこの仲間ならやりそうだ。


その日は遅くまで語り明かした。

これからの夢もいろいろ。

私は合格は嬉しかったけど、少し寂しさも感じている。

今週で共同生活も終わりだと思うと感慨深い。

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