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雑用騎士ジルと魔法のお使い  作者: 黒森 冬炎
序章・魔法使いの結婚
9/110

魔獣討伐を終えて

今回は2話になりました。


R2/9/6 14:00,15:00 です。

 ハインリッヒ・ハインツ団長は、気まずそうに細身の剣を鞘に納めた。


「ナーゲヤリ城塞騎士団長ハインリッヒ・ハインツ、今回の共同作戦では、ナーゲヤリ側の討伐隊長を務めております」


 共同作戦を完遂した、2つの都市国家から派遣された討伐隊長同士が、初めて顔を合わせた。


 ナーゲヤリとモーカルは、山越えの道でしか往き来出来ない。魔獣の異常発生で通れない為、直接会っての作戦会議は不可能だった。『魔法会話装置』と言う、遠隔会話が可能となる通話補助道具での会議だったのだ。


 山裾を回って辿り着く事は、出来なくはない。だが、ナーゲヤリ付近は、魔獣蔓延る『死の平原』が広がっており、現実的ではない。


 200年前は、ナーゲヤリ城塞騎士団から、俊足の精鋭部隊が決死の伝令を務めたと言う。今の騎士団は、記録にある到達時間内に往き来出きる複数の脚を持たなかった。

 正確には1人居る。が、交代要員無しは、問題外だ。



「我々魔法使いには、『伴侶の魔力循環』という、厄介な体質がございまして」


 モーカル魔法守備隊長ユリウス・デ・シーカは、魔法使いの嫁取り・婿取りに着いて、簡単に解説しはじめた。



「それが、この度のタンツが見せた奇行の原因ですな」

「はい、ご迷惑をお掛けいたしました」

「いや、デ・シーカ殿が謝罪なさる事は何も」



 モーカル魔法守備隊長の尽力により、一先ず殲滅の状況は、ナーゲヤリ魔獣討伐隊代表ハインツ城塞騎士団長に、無事伝わった。


 デ・シーカ隊長が解説し出したのを良いことに、魔獣の血だらけな大男と、靴底すらピカピカな大女は、ぴったりと寄り添って微笑み合っていた。


「タンツ、帰ったら速やかに報告書を提出しろ」

「了解いたしました」


 ジルベルトは、愛しのジンニーナにくっついたまま、ハインツ団長に答える。



「隊長ぉ~、駄目でしょ」


 仕込み籠手遣いのヴィルヘルム・フッサールが、自分達の銀鬼隊長に声をかける。だが、ジルベルト・タンツは、既に聞いていない。

 仕方がないので、毒牙兎(どくがと)に穴を開けられた籠手に応急処置を初めた。


「本当に書くのかね」


 小男フリードリヒ・ブレンターノが、剛剣遣いのゲオルク・カントに目線を寄越す。


「さあな」


 ゲオルクも、疑わしそうだ。



「はあ、どうすんだ、これから」

「新婚旅行にでも行くんじゃねぇの」

「副隊長の仕事が増えるな」

「ゲオルク、てめ、他人事だと思いやがって」


 副隊長の仕事が増えれば、必然的に隊員指導がほぼ総て、ナンバー4のゲオルクに回る。他人事ではない。


「指導くらいなら、今の隊長も出来るかも」

「あれに指導されたら、死ぬんじゃね」

「新婚旅行に出掛けちまったら、無理だろ」


 ゲオルクの希望的観測は、直ちに叩き潰された。



 デ・シーカは、苦笑いしながらも、『鉄壁の魔女』に何も言えなかった。モーカル魔法守備隊長にとって、赤毛の大女ジンニーナは、正規の部下ではない。交易都市国家モーカル国民ですらない。


 今回の討伐隊に、助っ人として参加をお願いしただけ。臨時の『認可魔法使い』に過ぎず、行動に口出しは出来ないのだ。

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