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雑用騎士ジルと魔法のお使い  作者: 黒森 冬炎
第四章・死の平原を越えろ
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出発

 ジンニーナによる遠隔魔法が問題なく機能して、シャルロッテ分析官との打ち合わせも終わった。

 緑紐隊の通信技術部が、死の平原からの通信を受信するのに協力してくれるとのこと。ジルベルトは、大変心強く思う。



 シャルロッテ・ハイムの所属する緑紐隊は、情報特化の部隊である。シャルロッテのように所属を知られている隊員ばかりではない。いわゆる機密情報を扱う隊員は、何人いるのか、誰なのか、全く解らない。


 噂によると、通信技術部の中には、この世に飛び交うあらゆる通信を受信出来る凄腕が在籍しているという。

 はっきりと告げられた訳ではないが、その凄腕隊員が受信してくれるらしいのだ。

 それならば、銀紐隊在籍のジークフリートが、最新技術を駆使して、悪条件でも情報を送れる。



 ジークフリート・エルンストは、一流の体術遣いだ。そして、通信機器のエキスパートである。緑紐の機密事項のため、相手が誰なのか解らなくて、打ち合わせが思うようにいかず不満そうにしていた。


 何しろジークフリートは、ナーゲヤリどころか世界有数の通信員である。先の国際会議でも使用された、録画可能な映像通信システムを開発したのも、ジークフリート・エルンスト銀紐隊員だ。

 緑紐の通信技術者は、彼よりも優れているのか。それとも新開発機材は使えないのか。



「試験通信出来んですかね」


 ジークフリートがシャルロッテに問えば、


「当面の機材は、勿論確かめられますが」


 と、言葉を濁す。

 銀紐隊員の開発スピードを警戒しているらしい。


「うーん。対応能力をお互いに知りたいんだよなあ」


 シャルロッテは、


(ほら、やっぱり)


 と言う顔をした。死の平原を調査中にも、どんどん新しい機材を製作するに違いない。

 ジークフリートとしては、それに対する適応力を知りたいのだが。


「まあ、なるようになりますか」


 銀紐隊は、いつも無茶な要求と突然の変更に晒されている。彼等はすっかり諦めモードだ。

 結局こなしてしまうので、周囲からは、それがいかに困難なミッションであったかなぞ、気づかれもしない。だから、『雑用部隊』と陰口を叩かれる。



 一方、ヴィルヘルム・フッサール副隊長の製作による、5人乗り水空籠(スイクウロウ)も、七台準備出来た。

 一台は予備、一台は機材運び。本当はもう一台欲しいところだが、予算が足りなかった。

 そして、時間も足りなかった。


 ハインリッヒ・ハイツ城塞騎士団長が痺れを切らす頃、漸く、それぞれの担当者が最低限と認める水準を満たす。


「お前らの満足行く出来を待ってたら、永遠に出発出来ない」


 ハインツ団長の鶴の一声で、開発も調整も、一旦終了とされた。どうせ皆、死の平原の真っ只中で、様々な実験をしていく。ある程度で切り上げさせるのが得策である。


 いよいよ、死の草原に出発だ。

お読みくださりありがとうございます

次回もよろしくお願い致します

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