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雑用騎士ジルと魔法のお使い  作者: 黒森 冬炎
第四章・死の平原を越えろ
83/110

新人3人死の平原に集う

血糊注意


多少の加筆修正をしました。

誤字と表現の訂正のみです。

 ヴィルヘルム・フッサールとフリードリヒ・ブレンターノが、素材を求めて死の平原をうろついている頃、ゲオルク・カントも、別の理由で死の平原に日参していた。

 彼は、素材には興味が無い。しかし、単純に修行をしようとして死の平原に通っていた。


 ゲオルクは、後の副隊長2人と違って、とても真面目な騎士だった。どちらかと言えば、ジルベルト・タンツと同類である。

 食材確保の自称鍛練で、山に入る事はあった。彼は、丸太を重ねたような体格である。何といっても肉が必要なのだ。


 だが、死の平原には、勤務時間内に来ることが無い。

 しかし、他の2人は自由人である。勤務時間内なら鍛練名義で、時間外なら普通に余暇として、死の平原に来ていた。



 そんなある日、ゲオルク・カントは、広巾の大剣を振りながら、死の平原を歩いて行く。

 たまたま同じ時にヴィルヘルムとフリードリヒも、死の平原で素材採取を行っていた。


 この頃既に若手の有望株として、彼らは、ジルベルト率いる四人組と認識されていた。


「おー、派手にやってるな」


 ヴィルヘルムは、ゲオルクが魔獣をバッタバッタと切り伏せて回る様子に感心した。


「実践訓練というよりは、ボランティア討伐だな」


 ゲオルクは、ある程度の魔獣を屠ったあとで、大剣をシャベル変りにして穴を掘った。


「うわ、このクソ堅い地面を掘ってる」

「刃こぼれしねぇのかな」


 魔法も使えないのに、子供の砂遊びの如く易々と大地を穿つゲオルク。無事大穴を掘り終わると、今度は剣を使って一息に死骸をかき集める。

 まな板から食材を鍋に移す姿を想像して欲しい。ゲオルクが穴に魔物の死体を落とす様子は、まさしくそんな様子であった。


 焼いたりはしていないので、折り重なった死体から染み出る血が、バシャバシャと音をたてる。ゲオルクが大剣で地を撫でる度に、刃渡り一杯の血液が剣の腹を這い上がる。

 押された液体が、穴に到達して、動かなくなった魔獣と一緒に落ちて行く。



「ジルベルト先輩と大差ないな」

「えげつねえ」

「切り刻まないだけましか」

「鎖で(くび)るのもないな」

「多少はまともか」


 当時はまだ一介の隊員だったジルベルト・タンツは、『銀鬼』事件以前にも、戦闘スタイルは血みどろだった。

 後片付けが楽だからと、涼しい顔で魔獣を細切れにする。

 ジンニーナとの魔力循環を得る前であり、少ない魔力で愛剣メルトの溶解熱は多用出来ない。


 しかし、あまり温存という言葉を知っているようには思えないジルベルトは、細切れの魔獣片をさっさと灰にする。見た目の冷徹さ、剣技の流麗な舞からは想像できない豪快な後始末だ。



「フリッツ!」


 段々に近づいてきた2人の方を見て、ゲオルクが大声で呼ぶ。


「穴に火を落としてくれよ」

お読み下さりありがとうございます

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