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雑用騎士ジルと魔法のお使い  作者: 黒森 冬炎
第三章・銀紐隊の仲間達
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ヴィルヘルム副隊長と山道整備

 岸壁にある堅塩鷗の巣は、継続的に除去作業をする運びとなった。それに伴って、崖までの道を作ろう、と決定された。

 山道の整備は、青紐隊の土木魔法使いとの共同作業になる。合計3回の堅塩鷗調査班が、大岩や倒木を、ある程度は片付けている。そうやって出来た通路のようなものを、改めて道として整備するのだ。


 交易都市国家モーカルに続く道は、元からあるルートだ。ドラゴンを始めとする魔獣のせいで、荒れ果てたとはいえ、原状復帰は容易かった。討伐直後で、魔獣も殆んど出なかった。


 だが、今回は、元々は誰も近寄らないような岸壁に至る道だ。本来道など無い。調査班の辿ったルートを、案内して貰いながらの作業となる。山に魔獣が戻っているし、作業班だけでは危険だ。



「ヴィル、行ってくれるな?」

「勿論。久しぶりにマリーナちゃんの勇姿を間近で観られる」


 銀紐隊副隊長ヴィルヘルム・フッサールは、青紐隊の土木魔法使いマリーナ・フッサールの夫である。同じナーゲヤリ城塞騎士団員ではあるが、隊も違うし得意分野も異なる。仕事で顔を合わせる事は、まずなかった。


 今回の新道整備に、マリーナが参加する事は、既に決定していた。だが、ジルベルトがヴィルヘルム副隊長を選んだのは、私情ではない。

 水空籠(すいくうろう)の実戦訓練が目的なのだ。当然、パイロットである、ゲルハルト・コールも参加決定だ。


「足元が悪い所は、水空籠で行けば楽っすね」


 どうやら、優男副隊長は、妻を甘やかしたいらしい。マリーナ本人は、小柄な体で現場を駆け回り、大技を連発する豪快な女性なのだが。



「とりあえずは、専門家連れて下見っす」


 籠に乗って行くのは、ヴィルヘルムとパイロットのゲルハルト、そして、妻のマリーナ他2名の作業員だ。実際の作業も、マリーナ達青紐隊員3名が土木魔法を駆使して行う。


 後ろから、ずんぐりむっくりの鞭使いティルがついて行くのも、決まっている。土木魔法使い達と一緒に、地図に印を入れる係だ。籠の定員が5名なので、ティルは徒歩だ。

 パイロットと開発者は、降りるわけにはいかない。作業員3人は、水空籠のモニターとしての意味もあり、同乗している。


 護衛役にもう一人、誰かを連れて行く予定である。籠の速度はさして出ないので、銀紐隊員なら誰でも、置いていかれる心配は無い。


「誰でもいいすけどね」

「そうだなあ。ゲオルクに行かせるかな」

「機動力が抜群ですからね」


 慣れないメンバー構成では、咄嗟に動けるゲオルクの頼もしさが歓迎されることだろう。

次回、土木魔法使いマリーナ

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