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雑用騎士ジルと魔法のお使い  作者: 黒森 冬炎
第三章・銀紐隊の仲間達
59/110

崖の調査に備える

 賛成多数で、銀紐隊に崖の調査が割り振られた。


「嫁さん連れてけよ」


 団長が言うと、副団長も頷く。


「安全度が段違いだ」


 ジルベルトは、いつものことだが、一応は抵抗を見せる。


「外注扱いですよね」

「何を言ってるんだ」

「妻にも仕事がありますから」


 いくら国民には魔獣討伐義務があると言っても、こう頻繁に寸志だけで駆り出されていては、生活が立ち行かない。


「それに、世界最高峰の大魔法使いをこき使っては、諸外国から批判が殺到しますよ」



 赤毛の天才魔法使いジンニーナを、ただで使うなど、他国に知られたら大騒ぎだ。

 彼女は旅する魔女だったので、依頼するには、偶然やってくるのを待たねばならなかった。

 それが、定住した途端にタダ働きばかりとは、他国から引っ越し誘致されるかも知れない。


「こき使ってなどいない」


 団長は、確信を持って答える。団長基準では、単なる善意の協力者なのだ。


「もう説得はしませんよ」


 モーカルの時は、説得にだいぶ苦労した。そんな事を繰り返しては、夫婦の間がぎくしゃくしてしまいそうだ。

 まだまだ新婚のジルベルトにとって、そんな事は願い下げだ。



「2、3日うちに人選して団長に報告したら良いだろう」


 膠着状態に陥りそうなので、副団長レオンハルト・ハイネが、助け船を出す。


「そうだな」

「解りました」


 ハインツ団長も、ここで言い合っても仕方がないと思ったようだ。ジルベルトの方も、無駄な意地は張らずに引き下がる。

 他の隊を預かる隊長達は、余計な面倒ごとが飛び火しないように、口を(つぐ)んだ。



 隊長会議が終わると、ジルベルトは副隊長2名を呼んだ。


「隊長みんな集めといて、結局ウチかよ」


 ヴィルヘルム・フッサールが不満を露にする。


「何人で行きます?」


 フリードリヒ・ブレンターノは、初手から諦めモードだ。


「そうだなあ、留守番も考えると、やっぱり5人ずつ3班に分けて、何回か短期調査に行こう」

「やっぱ、継続的に行かないとダメっすよね」


 初回の様子見だけでは、たいした判断材料にならないだろう。巣があるかどうかの偵察程度だ。


「最初の班はどうしますか」

「崖登りのヴォルフガング・シューマン。こいつは決定だな」

「ティル」


 正確で情報量豊富な地図を作る、ティル・シュトラウス。彼は、自在に操る愛用の鞭で、樹や壁を登ることが出来る。

 勿論、精密な調査地図が、第1の選抜理由だ。


「ゲルハルト連れてって、空から攻めるか」

「いっすね」


  ゲルハルト・コールは、あらゆる乗り物を乗りこなす。今回は、からくり技師のヴィルヘルムが作った、投石装置付き飛空籠(ヒクウロウ)と言う物に乗せる予定である。

 ゲルハルトの魔法を纏った投石で、万が一堅塩鷗が襲ってきても逃げ切れる構造だった。

次回、第一次堅塩鷗調査班


よろしくお願い致します

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