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雑用騎士ジルと魔法のお使い  作者: 黒森 冬炎
第二章・交易都市国家モーカル
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モーカル魔法守備隊を訪ねる

今回も1話です

 交易都市国家モーカルに到着した2人は、宿で着替えると、すぐにモーカル魔法守備隊を訪問した。


 山寄りの区画に建てられた、3階建ての青い建物が、一棟だけである。ナーゲヤリ城塞騎士団のような、大所帯ではないのだ。細かい隊分けもない。修練は、山に入って行う。従って練兵場も、用意されていなかった。


 1階には、受付に事務所、応接室、一般国民でも利用出来る食堂がある。そして、認可魔法使いが自由に使える待機室もあった。

 待機室は、かなり広い。素朴な材質の大テーブルと、安価な円椅子が並び、壁際に給湯装置が備え付けられている。

 ジンニーナも、認可魔法使いなので、利用する事が出来る。本人のみに与えられた権利なので、ジルベルトは入れない。


 2階には、広大な資料室と、会議室がある。隊長室も、2階だ。最上階である3階は、正規隊員の居住スペースである。



 2人は、受付に声をかける。紺色のマントを羽織った青年が、暇そうに座っていた。

 入口ホールに人影は疎らだ。植物等も飾っておらず、ナーゲヤリ城塞騎士団本部に比べて、たいへん殺風景な印象を受ける。


「山周辺の魔獣の原状と、遠方で観測された広域魔獣発生について、調査に参りました」


 ジルベルトは、受付に白い封筒を差し出した。ハインリッヒ・ハイツ騎士団長から託された、手紙だ。

 受付の青年は、体格の良いタンツ夫妻に、ややたじろぐ。が、銀色の胸紐がついた、ナーゲヤリ城塞騎士団の制服を見て、不審者ではないと判断したようだ。


 青年は、気を取り直して軽く頷くと、書簡を受け取った。


「守備隊長は、ただいま外出中ですので、2時間後にもう一度お越し下さい」


 ジルベルトは了承すると、ジンニーナの手を引いて受付を後にした。



 太陽は高くなっている。住宅街を抜けると、昼時の買い物客が行き交う小店が並ぶ。中心街のレストランより、ぐっと庶民的な飲食店も混み合う時間帯だ。


「市場で何か買って、宿で食べましょうよ」

「市場か」

「ええ。モーカル中央市場には、世界各地の食べ物があるわよ」

「話には聞いてる」

「屋台では、飲み物も売ってるから、公園でお昼にしてもいいかな」

「そうだな」



 2人は、うきうきと市場に足を向ける。ジルベルトは、物珍しそうに人々を眺めて歩く。ナーゲヤリ以外の暮らしを見るのは、初めてなのだ。


「公園は、広いのか?」

「幾つかあるけど、市場近くの花壇公園が、テーブルも多くていいと思う」


 ジルベルトは、嬉しそうに笑う。ジンニーナも、微笑みを返す。


「食べ物を買ったら、行ってみよう」

「そうしましょ」


 天気も良いし、公園ランチが有力のようだ。

次回、悪戯な鳩はお仕置


よろしくお願いします

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