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雑用騎士ジルと魔法のお使い  作者: 黒森 冬炎
第二章・交易都市国家モーカル
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いざ山道へ

今回も1話です

 歩き始めたのは、朝まだ薄暗いうちであった。空気は冷たく、山鳩の声がしている。


 ジルベルトとジンニーナが住む場所から、山の麓までは、1時間程度である。その中間地点に、銀紐隊詰所が建っていた。

 銀紐の修練場から、野太い声が上がっている。走り込みをしているのだろう。


「顔出してくか」

「そうね」


 まる2日も隊を空けるのは、ジルベルトが隊長職に着いてから、初めての出来事である。

 出発前に、少し顔を出して行くほうが安心だ。



「おはようっす隊長」


 修練場に入ると、14人の銀紐隊員が、元気に挨拶してきた。


「行ってらっしゃい」

「気をつけて」

「留守は任せて下さい」


 口々に見送りの言葉を叫びながら、走る足を止めない。


「はあ、朝から元気ね」


 ジンニーナは、見ているだけで疲れたようだ。



 登山口には、ハズレと呼ばれる宿屋がある。1階は居酒屋だ。山がまだ、立ち入り禁止なので、宿の部分は休業中だ。今回の調査が終われば、また、モーカルから商人が来てくれるようになるだろう。


 居酒屋部分は、昼から営業だ。もう仕込みをしているのか、美味しそうな匂いが、鼻をくすぐる。


「帰りに寄るか」

「それもいいわね」



 山に入ると、思ったよりも倒木は無かった。


「青紐の連中が、頑張ってたからな」


 山は、市街地と違って、騎士団の管轄だ。そこで、魔法特化の青紐隊が、素早い対応をしたのだ。


 銀紐副隊長ヴィルヘルムの妻マリーナ・フッサール達、土木魔法の使い手が、地均しや瓦礫撤去で活躍した。

 風や火の魔法使いは、折れかけた大枝や、纏められた倒木等を切り刻んだり焼いたりした。水魔法では、消火や散水をした。


 中央広場の復興を担当した、環境局造園技術課との最大の違いは、やはり魔法を使用した事である。人力では実現出来ない、広範囲の同時作業が、効果を発揮した。

 原状復帰とまではいかないが、ちらほら新しい芽も出ている。



 だが、回復したのは、環境だけではなかった。


「戻って来てるな」


 2人目掛けて錐揉みで突っ込んで来た、氷尾長(コオリオナガ)を、ジルベルトは危なげなく切り捨てる。


 放っておいても、ジンニーナが張った守りの壁に激突したのだが。事実、ジンニーナの歩いた後には、潰れた毒牙兎(ドクガト)鋼棘鼠(コウシソ)が、転々と落ちている。


「死の平原に降りてた分が、山に入って来るのね」

「空からも来るしな」


 麓の林や、その先にある死の平原とは、共同討伐以前から魔獣の往来があった。これは、ジルベルト達ナーゲヤリ城塞騎士団でも、対応しきれない問題なのだ。

 まして、空を渡ってくる鳥魔獣どもは、防ぎようもなかった。

次回、モーカル魔法守備隊に挨拶


よろしくお願いします

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