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雑用騎士ジルと魔法のお使い  作者: 黒森 冬炎
第二章・交易都市国家モーカル
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夫婦でハイキング

 そこへ、副団長レオンハルト・ハイネが入ってきた。


「騒がしいな。その件は、タンツの魔獣討伐本舗に正式に依頼するのが妥当じゃないか」

「勝手な事を」

「国外派遣は、団長の独断で行えるのだったかな?」

「しかし」

「まして、民間に国外視察の協力要請など、無理だぞ」


 団長が、ベテランの正論で無言になった。



「緑紐に依頼してはいかがでしょうか」


 ジルベルトは、ここぞとばかりに口をだす。そもそも、情報収集は、緑紐隊の仕事なのだ。シャルロッテ・ハイムのような分析専門官ならいざ知らず、だいたいは、単独で国外派遣もこなす連中だ。


「緑紐は、今は人手が足りなすぎる。もし、依頼を受けて貰えるのなら、感謝するよ」

「例の広域発生は、そんなに差し迫っているのですか」

「いや、情報を翻訳に回すのが遅れたからね。現状調査が緊急になってしまったんだよ」


 レオンハルト・ハイネ副団長は、じろりと団長を見る。団長は、まだ何か言いたそうではある。しかしハイネは、獅子のごときひと睨みで、ハインツ団長を黙らせた。




「ジル~、準備出来たぁ?」


 ジンニーナは、かつて旅の大魔法使いであった。旅の準備はお手のもの。1泊程度の旅行なら、朝食の後片づけをしながらでも出来る。

『鉄壁の魔女』である赤毛の大女にとって、魔獣が復活していたとしても、山越えなど、軽いハイキングでしかない。


 一方のジルベルトは、魔獣討伐遠征なら経験が豊富だ。しかし、調査任務は、慣れていない。まして情報収集など、専門外も良いところだ。

 はっきり言って、何をどう準備したらよいのか、解らない。



 とりあえずは、着替えを鞄に詰めた。防具の準備もした。あれこれ悩んで、かなりの時間を費やした。その後は、武器の手入れをしていた。


 山の状況が解らないため、どの程度の備えをすればよいか、なかなか決めることが出来なかったのである。


「うん、まあ、こんなもんだろ」


 ジルベルトは、騎士団の仕事で派遣される。その為、モーカルに着いたら、宿で騎士団の制服に着替えなければならない。だが、道中は、共同討伐の時と同様に、身軽な服装を選ぶ。



「守りの壁があるから、そこまで厳重な装備は要らないんじゃないの」


 革の胸当てやら脛当やらを着けた夫に、ジンニーナが声をかける。守りの壁は、簡易版でも、何もなければ3日は持つ。出掛けにかければ、帰宅までかけ直さなくてよい。


「まあ、念のためだ」


 万が一、光線眼熊(コウセンガンユウ)だの、毒牙兎(ドクガト)の群れだのが出た場合、一瞬、守りの壁が切れる危険性も否定出来ないのだ。


「ふうん、相変わらず慎重ね」

「だから、生きてる」

次回、いざ山道へ


よろしくお願い致します

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