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雑用騎士ジルと魔法のお使い  作者: 黒森 冬炎
第一章・魔獣防衛都市ナーゲヤリの人々
28/110

朝のお散歩

今回は2話


R2/9/14 23:00,9/15 0:00

 赤毛の大女ジンニーナ・タンツは、朝の街を散策していた。特に目的があるわけではない。朝食前の一時を、爽やかな朝の空気と共に楽しんでいるのだ。


 前日に買い物が出来なかった日には、早くから開いている市場も覗く。今日の朝食は、既に決めてあったので、買い物はしない。散歩は、市場を通らないルートだ。



 愛らしい緑の瞳で、生き生きと辺りを見回す。民家の生け垣に咲いた花を愛で、まだ閉まっている商店の、派手な看板に止まった小鳥の声に耳を傾ける。


 飾り気のないワンピースは、緑と茶の細かいチェックだ。脛くらいの丈から、何時ものブーツが覗いている。


 ジンニーナは、仕事でなくても、よく歩く。結婚して定住し、旅を止めた今でも。だから、歩きやすく柔らかな革靴が、たいそうお気に入りなのだ。



「ジンニーナさん、おはよう」

「おはよう」


 小型犬の散歩をしている婦人とすれ違う。朝の散歩で、この頃よく会うペアだ。犬の体は小さくて、脚が短く毛も短い。ごわごわした茶色と黄土色の縞模様をした犬の毛を、猪みたいだな、とジンニーナは思う。

 勿論、飼い主さんには告げないけれど。



「よっ、旦那元気?」

「ええ、お陰さまで」


 ジョギングおじさんは、ジルベルトと幼年学校で同級生だったそうだ。今は、環境局で、樹木管理を担当している。公園の音波雀(オンパジャク)駆除を、依頼してきた担当者だ。


 ジルベルトは、昔から体が大きく、真面目すぎて怖がられていたそうだ。幼ジルベルトを想像して、ジンニーナは、思わず吹き出した。



「ジンニーナちゃん、いいの入ってるよ」

「ありがとう。今日は卵にするの。また今度ね」


 魚屋のおばさんは、早起きだ。ジンニーナが散歩に出る頃には、お店を開けて、働いている。そのかわり、店じまいも早い。夕方の買い物は、魔獣討伐が入ると、殆ど間に合わない。



 西公園に来た。

 城塞都市国家ナーゲヤリは、北に、先頃魔獣が壊滅した山を背負う。それ以外の三方は、魔獣(うごめ)く大草原である『死の平原』に臨む。


 西公園は、その西側出口に程近い、出撃準備エリアである。に、ある、ではない。大規模討伐で死の平原に赴く時には、公園が、そのまま出発準備に使われる。



 中央公園が工事中なので、早朝だと言うのに沢山の人が、西公園に集まっていた。普段は中央公園に居る、早朝体操のグループや、楽器の練習、犬の散歩、ジョギング、子供の散歩、等々。


 西公園は、その使用目的から、物が無い。平らにつき固めた土が広がっているだけだ。生け垣や花壇などと言う、公園らしい演出など皆無だ。因みに、ベンチもない。水場はある。

次回、子犬は何処へ行ったのか

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