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雑用騎士ジルと魔法のお使い  作者: 黒森 冬炎
最終章・未知の領域
103/110

川の安全性を調べる

僅かな血液表現あり

苦手な方はご注意下さい

 川に近づくと、ジルベルトは一旦隊を止める。清流に見える川ではあるが、何が起こるか解らない。川の周辺にいる魔獣は、今まで見た種類の他、ジルベルト達が初めて見る種類のものもいる。


 魔獣は、互いに荒いい合う。普通の動物よりも頻繁に、互いに威嚇し、飛び掛かり、噛みつき合う。川の上では、森から飛んできた魔獣と平原にすむ飛ぶ魔獣が戦っている。

 彼等の流す血は、川の水に跳ねとんで混じる。食いちぎられた肉片も、投げ捨てられて川に落ちて行く。


 毒だけではなく、血や肉が頻繁に落下する川である。水が濁っていないのは、むしろ怪しい。



「フリッツ」

「行ってきます」


 ジルベルト・タンツ隊長は、薬品マスターのフリードリヒ・ブレンターノ副隊長に水質サンプルの採取を指示する。

 紐付きの矢に付けた採取容器が、放物線を描いて川面に刺さる。広がる波紋に不審な点はない。

 突然の乱入者に、水上で暴れていた鳥の魔獣が色めき立つ。


 手元のハンドルで巻き取る紐は、魔除けや毒除けの効果を持つ薬品と強化の魔法が施されている。余程の事がない限り朽ちたり焼けたりはしない。


「変色してるな」


 ジルベルトが険しい表情になる。フリードリヒが手繰り寄せた紐は、どす黒く変色していたのだ。

 採取容器を近くまで手繰り寄せてから、ジルベルトの溶解魔剣メルトで紐だけ焼く。



 ジルベルトは、夫婦だけの魔法通信でジンニーナに助力を求める。


(ジン、採取容器の回りを守りの壁で囲んでくれ)

(解った。作業は出来るようにするけど、物体移動の魔法使える人がいる?)

(それぞれの威力は弱いけど全属性魔法使える奴がいる)


 天才パイロット、ゲルハルト・コールの事である。


(いいね。作業は魔法なら壁の中でするのが安全よ)

(そうだな)


 相談が終わると、ジルベルトはゲルハルトに指示を出す。


「ゲルト、フリッツの指示にしたがって魔法で容器の操作をしてくれ」

「緊張するなあ。ちょっと練習さして下さい」

「だな。隊長、空容器と普通の水でで練習してからにしますぜ」

「それが良さそうだな」


 水は、ヴィルヘルムの水蒸気抽出装置とゲルハルトの水魔法によって、常に充分の供給を得ている。操作練習に使うくらいの少量の水は、彼等にとって大した事がなかった。



 出発前は、常時遠隔で守りの壁を作るのは、ジルベルト1人分が限界と思われた。しかし、実際には全隊員を魔法の壁で囲っても、ジンニーナにはまだ余力がある。

 銀紐隊15名全員を壁で囲った上で、実際の採取容器と練習用容器の回りをしっかりと防壁で囲んだ。


 もしかしたら、3ヶ所の討伐隊全部に遠隔防壁を供給出来るかも知れない。

 これはいよいよ、団長に知られてはならないな、とジルベルトは愛妻を気遣うのであった。

お読み下さりありがとうございました

次回もよろしくお願い致します


終章、下書きより増加しすぎたので、章分け変更しました。

下書きはあと1話。

ざっと読み返して説明不足や不自然な部分を修正していると、やはり2~3話に伸びそうです。

完結まで今少しお付き合い下さいませ。

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