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雑用騎士ジルと魔法のお使い  作者: 黒森 冬炎
序章・魔法使いの結婚
1/110

殿(しんがり)は双剣遣い

ジル&ジンの魔獣退治本舗、営業開始です、よ。


初回は二話更新。

R2/9/4 13:00,14:00 の予約投稿です。

 魔獣と呼ばれる醜悪な見た目の怪物達が、山の中腹から頂上までに増えている。小規模な討伐隊は時々組まれるが、それでは間に合わない位の群れが発生しているのだ。


 緑豊かな山中に似合わぬ地響きがする。大木がメリメリと悲鳴を上げて引き裂かれる。苔むした岩が魔獣の蹴爪(けづめ)に掘り跳ばされ、蔦は刃物のような鋭い角に切り裂かれて行く。



「油断するな!」

(わり)ぃ3頭抜けたっ」

「任せろ」

「構わず頂上に追い立てろ!」



 剛剣を()ね飛ばし、鉄爪猪(テッソーチョ)が駆け(くだ)る。体ばかりが膨張し、眼は紫に血走っている。短い足には、名前の由来となった鉄の蹴爪(けづめ)がついている。


 その衝撃には、丸太のような腕も耐え兼ね、剛剣遣いは、思わず利き手を押さえて(うずくま)る。


「ってぇ~」

「ばかっ、止まるな!」


 叫んだ長身の優男が、突進する魔獣から、腕を上げて顔を庇う。毒牙兎(ドクガト)の薄気味悪い(まだら)の牙が、金属の籠手(こて)を溶かして、濁った緑色の煙が上がる。


「ほらよ」

「済まねぇ」


 毒液にやられた仲間の腕に、強力な解毒剤を振りかけてやった小男が、サッと体を捻る。しかし、矢のように速い鳥の急襲は、僅かに避けきれず。氷尾長(コオリオナガ)の、毒々しい極彩色をした尾羽が掠り、厳つい頬に凍傷を(つく)る。


「くそっ」

「隊長!」

「頼んます!」



 3人を振り切った魔獣は、後ろに控えた豪傑に襲いかかる。待ち構える男は、無言で3頭を迎え撃つ。


 男は、両手に大小の剣を携え、魔獣をひたと見据えている。長剣には赤く火炎が揺らめき、辺りに熱を撒く。短剣には渦巻く風が絡みつき、空気を振動させている。


 男の眉が僅かに上がる。左足の爪先が、足元の枯葉を土塊(つちくれ)に混ぜる。先ずは灼熱の長剣を繰り出すようだ。



 今、山を挟んだ2つの都市国家による、魔獣討伐の共同作戦が展開されていた。200年前にも共同作戦は一度行われ、どちらの都市も滅びず今の時代を迎えることが出来た。


 討伐隊には、当時の記録を元に、現代の技術や生態系に即した行動が指示された。


 魔獣を追いたてる男達が、なぎ倒された生木を飛び越え、蹴散らされる大岩を避ける。共同作戦の魔獣討伐隊だ。


 体格のよい討伐隊員達は、15人程度の集団である。みなバラバラの服装だ。一見寄せ集めだが、城塞都市国家ナーゲヤリの精鋭たちである。


 腕に揃いの赤い布を巻く。共同作戦の参加章なのだ。この15人は、5つある小集団の最後尾を勤めている。


 彼等がうち漏らせば、城塞都市側に魔獣が降りて行くだろう。だが、城塞都市国家は、国民総てが魔獣への対抗手段を持つ。


 数匹ならば、問題ない。最後尾の15人は、その安心感によって、落ち着いて自分達の仕事を全う出来たのである。

鎖分銅――鎖の両端に分銅が着いた武器。黒門町の親分さんなどが得意とする。


都市国家――都市が1つの国家を成す国。古代ギリシャ・ローマ時代発祥の政治形態



この作品は、ダラダラ連載いたします。

一応完結までの下書ありますが、かなり増減しそうなので、五月雨式に更新致しまする。


由来あったりなかったり。

ラブコメですけど、R15は100%血糊方面です。


完結まで、お読み下さる皆様の、暫しの時を拝借致します。

それでは、よろしくお願い致します。

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