絶対悪とヒーロー
俺は絶対悪になれただろうか
話は数時間前に遡り、死刑囚は最後の晩餐に
親の作ったハンバーグが食べたいと言った。
そいつの親は泣きながらハンバーグを作ったが、感情が爆発したのか、「なんでそんなことをしたの!?」と言った。そいつはそれについては何も言わずに、先ほどの言葉を述べた。
後日そいつの親が泣きながらそんなことをする奴じゃない、ヒーローになりたいと未だに言っていたと俺に泣きついた事を忘れようと焼け酒をしながら、自身への言い訳のために死んだ奴が殺した、みんなに好かれるようなアイドルや、政治家を洗った。
するとどうだろう、そいつらは全員奴隷売買だったり、abc兵器だったり、糞みたいなことを全員やっていた。そう、あいつは死んで然るべき人間を殺していたに過ぎなかった。
ならばなぜ、あいつはこれを言わなかったのだろう。それを言えば情緒酌量の余地があった筈だ。
その時、あいつの言った「絶対悪になれただろうか」という言葉を思い出した。
そう、あいつは赦されたかったんじゃない、
万人に好かれる人物を殺していくことで、万人に嫌われる人間になりたかったのだ。そうなることで、万人のストレスを一心に受けたかったのだ。
そう、彼は絶対悪になることで、ヒーローになったのだ。
後日俺は、その母親に「あいつは救いようのない、クソ野郎でしたよ」と言った。