片桐さんの本領
⇲看版
本間哲哉
◆「二人だけの密室メソッド」
◆「あるプロジェクトで」
◆「但馬さん、なんでぇ」
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真実は奇妙なり
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妙音寺武都
◆「ウソつき金平糖」
◆「希望の抽」
◆「SA!」
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あったとか、なかったとか
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笠田潤はフリーランスの形態だが、まだない。街をブラブラしては仕事の価値を見いだせず、悶々していた。動かなければ......頭の中はその事でいっぱいだった。歩いているうちに居酒屋が見えてくる。すると、辺りから声が聴こえてくる、だんだんと、鮮明に聴こえる。
「貴方の悩み、共有させて頂いてもよろしいですか」
その言葉に足が自然と止まる。声のする方へ、近づいてみるとそこには⇱看板が置いてあり、二人の噺家が掲示されていた。
「いらっしゃいませ、お悩みですか」
すんなりと耳に入ってくる声で言葉を取り込む。が、素直になれず、「いいえ、フリーライターなのですが、いい店を紹介したいと思いまして」と返した。すると、「いい店ねぇ、一軒、一軒個性があって。埋もれているだけ、表面的な部分だけで判断しては本当の価値を見いだせないのさ」と、返された時、ぐうの音も出なかった。居酒屋に対する失礼をしていたのだと感化され、返すことが出来なかった。
「なんてねぇ、抜粋しただけ」
「参りました」
「ただ落語つきの居酒屋です。是非寄って行って下さいね」
「是非記事にさせて頂きたいです」