9.黒水晶
屋敷に帰りついた俺は、スキルを使い、自分の部屋に戻る。
着替えを済ませ、ベッドに腰掛け、先程購入した、黒水晶を盗神眼で見てみる。
名前:変幻自在の黒水晶
説明:Sランク以上のスキル持ちがこの黒水晶に魔力を流すことによって、そのSランクスキルにあった武器を造り出す事が出来る。1度しか使用できない。
付与スキル:偽装
ランク:神話級
偽装? より細かい詳細を見てみる。
偽装 ・・・ Lv4以下の鑑定結果を誤魔化す事が出来る。誤魔化した鑑定結果は黒水晶となる。
成る程、このスキルのせいで、鑑定結果を誤魔化していたんだな。
俺は早速、魔力を流し込んでみる。
黒水晶は色鮮やかに光だし、形を変えていく。
光が次第におさまり、黒水晶から、1本の鍔のない刀に姿を変えた。しっかり鞘までついてある。
盗神眼で変化した、鍔のない刀を見てみる。
名前:盗神の黒刀
説明:???ランクの盗神スキルをもとにして、変幻自在の黒水晶が変化した姿。触れたもしくは傷つけた相手から、スキルをランダムで盗むことが出来る。
付与スキル:偽装 不壊 防汚 伸縮
ランク:創世級
「!?」
俺は、開いた口が塞がらなかった。
少しして、回復した後に、付与スキルを確認してみる。
不壊 ・・・ 決して壊れることがない。
防汚 ・・・ 汚れにくくなる。汚れた場合も、一瞬で汚れを弾く。
伸縮 ・・・ 使用者の意思で、伸び縮み出来る。
まぁ、何とも凄いスキルだな…
鞘から黒刀を抜いて、手に取り、伸縮スキルを使ってみる。
「お~~!!」
自分の意思で、ちゃんと伸び縮み出来た。伸縮スピードもかなり早い。今度はその場で黒刀を軽くふってみる。何故か手にしっくりする。前世で何か刀に縁があったのかもしれない。
黒刀を鞘に戻し、小刀サイズまで縮める。鞘にも付与スキル:伸縮がついているので、鞘ごと小さくなる。
その後、俺はベッドに入り、休むことにした。
◇
次の日から、俺は試験に備え、しっかり勉強をすることにした。
理解力や記憶力は自分で言うのもあれだが、かなり良い。そのため、俺に家庭教師はついておらず、1人で勉強している。
勉強の合間に、鍛練もしっかり忘れずに、やっている。黒刀の素振りや最近では、魔法の練習も始めた。そのおかげか、魔法スキルのレベルも上がった。上がったときは、結構嬉しかった。
勉強の息抜きに、母さんと街の散策をしたり、あの串焼きを食べに行ったりと試験までのんびり過ごしていった。その際、露店も見てまわったが、スクレさんとは結局会えなかった。
父さんは、長いこと領地から離れることは出来ないので、少し早めに卒業した兄さんと一緒に領地に帰っていった。帰る前に、父さんと兄さんから激励も貰った。母さんは父さんについていかず、俺の事が心配のようで、王都に残ってくれた。
そんなこんなで、すぐ試験当日となった。
「アインちゃん、忘れ物はない?」
「大丈夫だよ、母さん。それじゃあ、行ってくるね。」
「頑張ってね、アインちゃん。」
俺は、母さんに見送られて馬車に乗り込んだ。
俺が乗り込んだ後、馬車は試験会場にむかって、出発した。